Vol. 45(2000/5/14)

[今日の本]環境六法 平成12年版

環境六法 平成12年版
[DATA]
編集:環境法令研究会
発行:中央法規
価格:5850円
初版発行日:2000年3月20日
ISBN4-8058-4253-9

[SUMMARY]動物法律問題の基礎資料

環境関係の法律、条約を収録した本。毎年発行されている。
2768ページの厚い本なので詳細まで紹介できないが、動物関連では「種の保存法」「動物愛護法(旧:動物保護法)」「鳥獣保護法」「ワシントン条約」などが収録されている。

[COMMENT]もっと手軽に法律にアクセスしたいのだが…

この本は調べものをするために先日買った本です。こういうのは常備しておいた方がなにかと便利でもありますし。まあ、普通の人には必要性の無い本ではあるのですが、法律問題をきちんと調べるときには必須となる本なのです。
この本は動物関連の法律ばかりではなく、「環境」一般の法律を網羅しているので2700ページを越える非常に厚いものになっています。「環境基本法」に始まり、大気汚染、騒音、水質、農薬、廃棄物、リサイクル、国土利用…とあらゆる環境問題にかかわっていきます。動物問題も環境問題の一部ではあるのですが、こうして見ると全体のほんの一部なんだな、ということが確認できるわけです。環境問題がなかなか理解されにくいのは、この複雑多様な実態のせいかもしれません。

さて、動物関連の法律としては「鳥獣保護法」「動物愛護法」「種の保存法」が3大法律と言えると思いますが、この他にもこまごまとした「基準」や「指針」——例えば、「犬及びねこの飼養及び保管に関する基準」とか「動物の処分方法に関する指針」などなど——も載っていますので、興味のある方は一度ご覧になってはいかがでしょうか。購入まではしなくても、図書館などで閲覧してみてもいいかと思います。

ところで、この本では条例までは収録されていません。条例は地方自治体が独自に制定するものですから、すべてを収録するなどそもそも不可能なわけです。とはいえ、「動物愛護法」は実質的な事柄はほとんど地方自治体まかせになっているため、都道府県・政令指定都市の条例まで調べないと意味がありません。東京都の場合は「東京都動物の保護及び管理に関する条例」などがそうです。地元ならまだしも、全自治体の条例を調べるのは大変です。
インターネットが普及しつつある現在、法律や条例はすべてWWW上に掲載されていて当然だと思うのですが、実際には部分的にしか存在しません。法律・条例は言ってみれば「公共財産」であり「インフラストラクチャー(社会基盤)」です。政府・地方自治体はこれら全文をWWWで公開すべきではないでしょうか。アメリカ合衆国ではそのようになっているとも聞きます。日本の官庁はインターネットをまだまだ理解していない、と私には思えるのです。

本書ではワシントン条約も掲載されていますが、肝心の「附属書」が省略されています。この「附属書」とは、取引を制限する動植物種のリストで、これこそがワシントン条約の肝心かなめなのですが、たびたび内容が変更されるためか、専門的すぎて手に余るのか、本書に限らずほとんどすべての本には掲載されていないようです。学名と和名さえわかれば十分ですし、無理に翻訳しなくても学名と英名だけでもかまいませんから、ぜひ附属書も掲載してほしいものです。


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