いきもの通信 Vol.54[今日の本]クジラ・イルカの図鑑を3冊 

Vol. 54(2000/7/30)

[今日の本]クジラ・イルカの図鑑を3冊

完璧版 クジラとイルカの図鑑
[DATA]
編著:マーク・カーワディーン
発行:日本ヴォーグ社
価格:2500円
初版発行日:1996年4月1日(原書発行は1995年)
ISBN4-529-02692-2

[SUMMARY]
今回紹介する3冊の中では最もベーシックな図鑑。それぞれのクジラ・イルカの基本的知識とイラストによって構成され、フィールドでの種の同定に使用できる。
実際にフィールドに持っていくにはこの本が一番か。


海の哺乳類 FAO種同定ガイド
[DATA]
著:トマス・A・ジェファソン、スティーブン・レザウッド、マーク・A・ウェバー
訳:山田 格(やまだ・ただす)
発行:NTT出版
価格:4300円
初版発行日:1999年1月10日(原書発行は1993年)
ISBN4-7571-6001-1

[SUMMARY]
国際連合食糧農業機関(FAO)の指導により、専門家3名が著述した本。クジラ目だけでなく、海牛目(マナティ、ジュゴン)、食肉目鰭脚亜目(アシか、セイウチ、アザラシ)やイタチ、クマなど海洋に棲む哺乳類全般を取り上げている。書名の通り、フィールドでの種の同定に役立つような情報を掲載している。なお、本書の図版は白黒のみでカラーはない。
全種の頭骨イラストを掲載するなど、やや学術的。食肉目鰭脚亜目の資料は意外と少ないので、こちらの記述の方がありがたいかも。


クジラ・イルカ大百科
[DATA]
著:水口 博也(みなくち・ひろや)
発行:TBSブリタニカ
価格:4800円
初版発行日:1998年7月18日
ISBN4-484-98298-6

[SUMMARY]
クジラ・イルカの写真で有名な水口氏による本格的なクジラ・イルカ図鑑。ただし、上記2冊に比べると図鑑的要素が弱い。そのかわりに、美しく、かつ貴重な生態写真が満載されていて、イラストでは味わえない迫力がある。表紙にも登場する「白鯨」(マッコウクジラのアルビノ)は特に貴重な写真である。
ハードカバーで大きいので、フィールドに持っていくのはつらい。

[COMMENT]まずは基礎知識から

イルカといえば水族館の人気者ですし、海で一緒に泳ぐことにあこがれる人も多いようです。クジラも最近はホエール・ウォッチングなどで身近に見ることもできるようになってきました。クジラやイルカに興味を持つ人は多いのですが、ではちゃんと知識を身につけているかというと、どうでしょうか。

クジラとイルカは分類上は同じ「クジラ目」に属しています。このクジラ目には約80種が属しており、その大きさも生態もさまざまです。私たちが普段目にするクジラ・イルカはこれらの中の一部にすぎません。クジラ・イルカ図鑑を見ると名前も知らないようなクジラ・イルカがたくさんいることに気づくでしょう。
クジラ・イルカは水中にすむため、その生態はまだ完全には解明されていません。種によっては、目撃例がほとんどなく、漂着死体や骨でのみ知られている謎のクジラもいたりします。クジラ・イルカは現在も未解明な部分の非常に多い動物なのです。

クジラと言えば、捕鯨の問題もあります。これについては以前に賛成派側の本を紹介しましたが、捕鯨問題に興味を持たれたならば、まずはクジラ・イルカの基礎知識を身につけることをすすめます。いきなり賛成・反対の激論に飛び込むのではなく、その前にクジラ・イルカとはどういう動物であるのかを知っておいて欲しいのです。

というわけで、今回は上記3つの図鑑を紹介するわけですが、図鑑の目的がそれぞれに異なるため、内容も異なったものになっています。そのため、私自身もこれらを3冊とも購入しているのですが、それぞれに特徴があるため、3冊とも立派に役に立っています。
まずは自分に合うと思われるものを選んで読んでみてはどうでしょうか。


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