いきもの通信 Vol.153[今日の本]コウモリ観察ブック 

Vol. 153(2002/12/8)

[今日の本]コウモリ観察ブック

コウモリ観察ブック(ニッポン里山探検隊シリーズ2)
[DATA]
著:熊谷さとし(くまがい・さとし)、三笠暁子(みかさ・あきこ)、大沢夕志(おおさわ・ゆうし)、大沢啓子(おおさわ・けいこ)
発行:人類文化社(発売:桜桃書房)
価格:2700円
初版発行日:2002年2月21日
ISBN4-7567-1205-3

[SUMMARY]楽しく読めるコウモリ入門書

コウモリについて初心者向けにまとめられた総合的な解説書。
前半は分類、飛行の仕組み、エコーロケーション(超音波による目標の測定)、繁殖方法などについての解説、そして、コウモリの実際の観察方法をレクチャーする。
後半は日本のコウモリ全36種の図鑑、国外の代表的なコウモリの図鑑となっている。
巻末には日本のコウモリ34種(絶滅種を除く)の検索表(分類を知るための方法をまとめたもの)がついている。
さらに、翼手目(コウモリの仲間)すべて(約1000種)の分類、和名、学名、分布を記載した別冊がつく。

[COMMENT]楽しく面白くコウモリを学ぶ方法

この本は、発売後すぐに買ったのですが、仕事で忙しくてなかなか読む時間がなく、ようやく最近読み終えたのでした。コウモリの本なんてなかなかないのでもっと早く紹介したかったです。
コウモリについては以前も取り上げましたが、生態(生活場所、食べ物などなど)には様々なバリエーションがあり、とにかくとても面白い動物です。この本を読めば、それがおわかりになるでしょう。

この本の面白さは、著者・熊谷氏の軽妙なイラストのおかげもあるでしょう。イラストというよりマンガ風なのですが、リアル絵あり、マンガ絵ありで、さらに、解説の文章がだれないようかなり頻繁に配置されているため、読み進めやすい内容になっていると言えるでしょう。これが学者が書いた本だと文章がず〜らず〜らと続いて、わかりにくい図表があって…という風になりがちなのですが、それをうまく回避しています。店頭で手に取った初心者にはとっつきやすい印象を与えると思います。これも著者がイラストレーターでもあるからできることなのでしょうが(執筆料とイラスト料をまとめて安くできるから)、他の出版社も見習ってほしいものです。最近はどこも新書をばんばん出してますが、文字ばっかりでつまんなくないのかな〜と思うことはあります。一般向けならイラストをうまく利用する方法論もあるのではないでしょうか。

本書でもうひとつ面白いと思ったのは、バットディテクターを紹介していることです。バットディテクターとは、超音波を人間の耳に聞こえる周波数に変換してくれる装置のことです。コウモリが超音波を使って飛んでいる昆虫を捕まえるのはよく知られていることですが、このバットディテクターを使えばコウモリの超音波を聞くことができるのです。
実際にコウモリを観察する時刻ほいうのは日没直後で、しかもコウモリはたいてい小さく素早いのでじっくり観察するのは難しい相手です。こういう場合、わざわざ観察に行ったとしても「何だかよくわからなかったな」という感想になりがちです。そこで、なんとかもっと興味を持ってもらえる方法というのは必要になるわけで、バットディテクターはそのためのありがたい道具になるわけです。コウモリの超音波を実際に聞けるわけですから、これは面白くなるはずです。
コウモリから話はずれますが、自然観察会を主宰する側にとっては、参加者がまた次も来たくなるような面白くてためになる観察会になるよう努力しなければなりません。ただ動物や植物の名前を羅列していくだけではだめで、いかに面白く、ユニークな視点で話を進めるかがとても大切なことになります。ですから、時にはちょっとした仕掛けを用意したり、ゲーム形式にしたりといった工夫は欠かせません。バットディテクターのような小道具も重要なのです。
こういうことを考えながら本書を読むと、実際に観察会の現場に立っている著者たちの知識や話術や努力が見えてくるようで、私にはますます面白く読めるのでした。
本を読むのもいいですが、やはり本物を見るのは大切です。まずは自然観察会などに参加してみるのが初心者にはいいでしょう。コウモリの観察会については、本書の著者も参加している「コウモリの会」というものがあるのでこちらもご覧になってください。


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