いきもの通信 Vol.200[OPINION]あなたが望む世界 

Vol. 200(2003/11/16)

[OPINION]あなたが望む世界

「いきもの通信」も今回で200回目になりました。ご愛読の皆様ありがとうございます。動物にまつわる事柄は無限に存在します。今後も延々と動物のことを書いていきたいと思います。
しか〜し。いろいろとピンチな状況になっている今日この頃。誰か仕事ください。お願いします(かなり切実)。


さて、ここから今日の本論です。

総選挙も終わったばかりですですが、動物問題とか自然環境に関心のある私にとってはつまらないものでした。マニフェストを読んでも動物・環境のことは書かれてないか、あってもかなりランクが低い位置。そりゃあ、経済問題や政治的争点に比べれば重要度が低いのも仕方ないのはわかります。でも、これでは動物・環境に関心を持つ人を引きつけることはできませんよね。
なぜ動物・環境問題のランクが低いのかというと、その重要性が認識されていないから、と言えるでしょう。議員さんやその身近なスタッフには、こういったことについて体験的な知識が無いのでしょう。だから実感がわかず、重要性が理解できない。この調子では、動物・環境問題が政治の争点になる日はいつまでたっても来ないでしょう。

だからといってこのままでいいわけでもありません。では、どうやって理解してもうらうのか。それは、問題があるということを知ってもらうことです。
「知る」ということは心で思うということ、まずこれがなければ次には何も起こりません。何も知らなければ心で思うこと・考えることすらできません(最近のベストセラー「バカの壁」を思い起こさせますな)。だからもっと動物のことを知ってほしいのです。

世の中を変えるには、望む世界のイメージが頭の中になければ始まりません。イメージが無くては何も変えられません。今回の総選挙のマニフェストがぱっとしなかったのは、この「イメージ」がはっきりしなかったからかもしれません。
「あなたはどんな世界を望むのですか?」
あなたが望むその「イメージ」の中に動物や環境のことが存在してほしい、と私は思うのです。


「あなたが望む世界」という観点から動物・環境問題を見ていると、気になることがあります。後半はその話です。


クジラ・イルカを捕っていいのか、いけないのか、という「捕鯨問題」があります。
「捕鯨反対派」が望む世界とはどのようなものなのでしょうか。クジラ・イルカが殺されない世界というのはある意味理想的です。しかしその結果、海洋生態系が崩れるようなことがあってはこれまた迷惑な話です。反対派は海洋生態系の全体的な問題について科学的な論争を避けているようにみえます。反対派はどんな世界をイメージしているのか見えてきません。
「捕鯨賛成派」が望む世界とはどのようなものなのでしょうか。この場合、賛成派とは主に日本政府(水産庁)のことです。捕鯨が可能になったとして、いったいどうするのでしょう。政府の言っていることから類推すると、「捕鯨産業の復活」を望んでいるようなのです。いまさら「産業」ですか? 市場も、技術も失われつつあるというのに。この頃は海洋生態系のバランスについても主張しているのですが、背後に「捕鯨産業復活」の影がちらついているようにしかみえません。
私が捕鯨問題について賛成派にも反対派にもくみしないのは、双方からその「望む世界のイメージ」が伝わってこないからです。

移入種であるブラックバスを認めるのか、認めないのか、という「ブラックバス問題」があります。
これについての私の立場は明快で、「現状の自然環境の人為的改変は不可」つまりブラックバス反対派です。ある環境の中には、そこにしかいない生物や希少な生物が含まれている可能性があります。そういったものを犠牲にしてまで移入種を持ち込む必要はありません。
「ブラックバス賛成派」が望む世界というのは、そこにいるべき生物を犠牲にする世界です。このような世界は私は受け入れられません。
では、「ブラックバス反対派」の望む世界が一致しているかというと、これがどうもあやしいのです。問題なのは漁業関係者です。彼らは今のところブラックバス反対の姿勢のように見えます。では、彼らの望む世界とはどのようなものなのでしょうか。私には「漁業関係の権益を守れればそれでいい」というイメージにしか見えないのです。例えば仮定の話で、ブラックバスがばく大な漁業利権を生み出すとすれば、漁業関係者は簡単にブラックバス賛成派についてしまうでしょう。
「ブラックバス反対派」といっても一枚岩ではないのです。ブラックバス問題で私が不安を感じるのはこのような事情があるからなのです。


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