いきもの通信 Vol.231[今日の観察]頭骨標本を作った話 前編 

Vol. 231(2004/8/1)

[今日の観察]頭骨標本を作った話 前編

去年はヘビの完全な抜け殻を拾いました。そして今年はある動物の骨を拾いました。今回と次回はその話です。


6月中旬のある日、私は東京都のはずれの、とある公園にトンボを探しに行っていました。トンボ探しの成果はさておいて、ちょっと茂みの深い道を歩いていと時のことです。茂みが途切れてしばらく歩いた所の小道の真ん中に小型動物の白骨化が進んでいる死体がごろりと横たわっているのでした。まるで見つけてくれと言わんばかりの状況です。

これが発見当時の写真です。肋骨は完全に露出しています。
当然のことながら、私は大喜びしました。死体を見つけて喜ぶなんて変なやつと思われること間違いなしですが、動物の研究者とか獣医なら普通のことだと思いますので、あまり偏見の目で見ないでくださいまし。
私が大喜びした理由は、単に死体を見つけたからではありません。この死体、明らかに哺乳綱食肉目の動物です。つまり、イヌ、ネコの仲間ということです。大きさはネコ大。しかし、鼻面が長いのでネコではありません。東京都23区内に生息するこの程度の大きさの食肉目というと、イヌ、タヌキ、ハクビシンぐらいです。体型から見て(尾はそれほど長くない)、ハクビシンは除外されます。とすると、イヌかタヌキ、ということは明らかです。
イヌかタヌキか。この状態、そして私の知識では判断できません。が、脚を見ると、イヌにはほとんど無いと言われる狼爪(おおかみづめ・ろうそう=足首にある5本目の爪)がはっきりとあります。また、この公園にはタヌキが生息していることは以前から知られていることです。これはタヌキに違いない!と私は判断したのでした。
そこで私はこう考えました。頭骨標本を作ればいい証拠品になるぞ、と。タヌキが東京都23区内に生息するという証拠にもなります。ありがたいことに頭部も腐食がかなり進んで頭蓋骨の一部が見えています。これなら標本作りの手間もあまりかからなそうに思えました。標本の作り方は、基本的なことは知っていましたが実際にどうすればいいのかわかりません。そこで、PHSで知り合いの獣医に電話していろいろとアドバイスをしてもらいました。あれこれ知恵を出してもらった結果、「持ち帰って腐植土に埋める」という方法をとることにしました。死体にはウジ(ハエの幼虫)がわいていましたが、これが肉の部分を食べるし、腐植土中の微生物も骨以外の部分を分解してくれるはず。この方法なら時間はかかるけど手間がかからない、というのが理由です。
この時、たまたまカッターナイフを所持していたので、これで頭部と周辺の皮膚を切断しました。そして、これまたたまたま持っていた家電量販店のビニール袋に二重に包みました。持ち帰る途中、においがもれるのはあまり良くありませんし、ウジがこぼれるのもイヤですからね。教訓その1:自然観察にビニール袋は必需品

そうしてこうして、死体の頭部を持ち帰ったのですが、家に帰る前に腐植土を調達しなければなりません。ディスカウント店には園芸用品が置いてあるのはわかってましたが、そういう店にあるのは大きな袋入りの腐植土です。そんなに大量にいるわけではないのにな…と、ちょっと迷ってしまいました。その時、そういえば近所の大きめの100円ショップにも園芸用品は置いてあったな…ということを思い出し、そこに寄りました。腐植土2袋と、死体の頭部が十分に収まる大きさの植木鉢を購入。計315円でした。教訓その2:困った時の100円ショップ

家に帰ると、さっそくビニール袋を取り出したのですが、
「ぎゃ〜〜〜〜〜!!」
頭部にウジがわいているのはわかっていたのですが、いつの間にか大量にビニール袋中にわさわさわさわとわいて出てきていたのでした。その数は予想を超えるものなのでした! 床にこぼれたウジをひとつひとつ拾っていくのは大変です(T_T)。それでも袋を二重にしておいたので被害は最小限だったといえるでしょう。教訓その3:物を包む時は二重に 教訓その4:こういう作業は外でやりましょう
さて、腐植土に死体頭部と、ウジもいっしょに埋めて外に置いておくことにしました。これで第1段階の作業は終了です。後はこのまま何週間かほったらかしにしておけばいいだけです。

この続きはまた来週!


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