Vol. 243(2004/10/31)

[今日の事件]動物事件学への招待

その1 動物事件の定義と分類

「動物事件」という言葉は私の造語です。この言葉を意識して使っているのは今のところ私だけのようです。googleで「動物事件」を検索してみるとわかるのですが、私のホームページが第1位に記載されています。
この言葉は、元々は雑誌に連載していた「動物事件の読み解き方」という記事タイトルが初出です。それ以前にも「いきもの通信」では「事件」としてとらえていた事象ですが、きちんとした言葉になったのはこの記事が最初なのです。

「動物事件」についてはこれまでにも何回も取り上げてきました。そこで、今回はこれをきちんとした学問=「動物事件学」としてとらえ、これに関する話題を整理してみたいと思います。


定義

まずは「動物事件」を定義しましょう。簡潔に言えば、

「主にマスコミで扱われる動物に関する事件・事象」

ということになります。
扱われるメディアはマスコミだけではなく、近所の口コミといったレベルも含めていいでしょう。また、「事件」に限ってしまうと法律問題、刑事事件、民事事件に限られてしまいかねないので、例えば「今年はセミの鳴くのが早かった」というような普通の事象も含めた方がいいでしょう。つまり、上の定義はある程度境界を広めに取っていると言えます。

「動物事件」は、狭義では「鳥獣保護法や動物愛護法などにかかわる法律的事件」のことを指します。例えば、違法狩猟や動物虐待といったことです。この定義も悪くないのですが、あまりにも範囲が狭すぎるように思えます。この定義では、例えば「タマちゃんフィーバー」は含まれないことになります。

「動物事件」の広義での定義では、動物そのものの話題からわずかにそれているような事、例えば「タマちゃんフィーバーから引き起こされた現象(例えばタマちゃん人気に乗じた商売、タマちゃんの住民票)」などが含まれることになります。また、その存在が疑われている(というか、存在の可能性が極めて低い)カッパやツチノコといった動物(「動物様物体」と呼ぶべきか?)までも含みます。

この「いきもの通信」では、いろいろな話題を取り上げるために「動物事件」については広義の定義を採用しています。


分類

動物事件は数多く発生しています。そのため、それを整理・分類する必要も出てきます。
分類の方法として最もわかりやすいのは、新聞のように「社会面」「政治面」といった具合に仕分けする方法です。これを「マスコミ式分類」と呼ぶことにします。私にとって、動物事件を知る手段は主に新聞、テレビ、雑誌であるため、この分類は理にかなっていると言えます。


●社会

最もよく動物事件が登場する分野です。一般的な「事件」のほとんどはここに含まれます。

●政治

立法(法律)に関する話題です。法律が改正される時期でないとなかなか記事になりません。

●経済

動物と経済は普段は無関係です。ところが、BSEや鳥インフルエンザ、SARSなどといった事件では、畜産関係、食料業界への影響は大きく報じられました。感染症は経済への影響を無視できないのです。

●国際

報じられれる事件はよくありますが、その内容は「社会」とほぼ同じようなものです。

●生活(家庭)

主にペット問題が登場します。マンションでのペット飼育の是非の問題はよく記事になっています。

●スポーツ

まず事件はありません。唯一私の記憶に残るのは、「プロ野球の試合中に野良猫がグラウンドを逃げ回った」という事件ぐらいでしょうか。

●科学

各種硬軟の話題が登場します。かなり専門的すぎて難解な記事もある一方、子ども向けにわかりやすくかみくだいた記事があったりもします。

●文化・エンターテイメント(映画・テレビ・芸術など)

これらに関する事件はほとんどありません。

●地方

社会面とほぼ同じと考えていいのでしょう。中には、自然保護の取り組み、自然観察会の紹介などという独特の内容のものもあります。


以上が「マスコミ式分類」の一覧ですが、新聞紙面を思い出してみればお分かりのように、ほとんどの動物関連記事は社会面にかなり集中してしまいます。これでは実用的な分類とは言えません。
次回は、私が採用している、より現実的な分類方法を紹介します。


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