いきもの通信 Vol.298[東京タヌキ探検隊!]リトルネイチャーを探して 

Vol. 298(2006/1/8)

[東京タヌキ探検隊!]リトルネイチャーを探して

唐突ですが今回から東京都23区内のタヌキについての記事には「東京タヌキ探検隊!」を冠することにします。ちゃんとした活動ができるようになればいいなあと現在考えているところです。興味のある方は時々ホームページで情報を確認してください。

さて、今日の本題。
昨年(2005年)12月、東京都の秋葉原と北千住でタヌキが発見されたというニュースがありました。都会にタヌキということで驚いた人も多いでしょうが、東京都23区内にタヌキが普遍的に生息しているということはこの「いきもの通信」や拙著でも繰り返し書いてきたことで、愛読者の皆様にはそれほど驚くようなことではなかったでしょう。23区内に生息していることは不思議でも何でもないことです。いて当然なのです。北千住の方では、タヌキが人をこわがらないのでペットではないかとも言われているようですが、これは誰かが食べ物を与えていて人間慣れしているせいでしょう。ペットである必然性はないのです。
何度も言ってきたことですが「都会には自然は無い」という固定観念は捨ててください。拙著にも書いたように東京のような都会にも自然はたくさん残っているのです。23区内のタヌキの予想生息数が2000頭以上であることがその証拠です。住宅ばかりが立ち並ぶ、自然が無いように見える場所でも、小さな自然「リトルネイチャー」が断片的に散在しています。例えば、公園、寺社、大学、工場敷地、河原、雑木林…。タヌキがそういう場所を好むというのは私が持っている情報からも明らかです。
リトルネイチャーの定義とは、といっても私にもまだ確たる基準を持っているのではないのですが、次のようなものになります。

・植物が豊富(樹木、草原など多様な植物がある方がより好ましい)
・地面が露出(根元が固められた街路樹ではダメなのです)
・人口密度が低い

最後の「人口密度が低い」は、植物が繁茂するほど人が入れなくなるので1番目の条件が満たされれば自動的に人口密度は減少します。ただ、あまり植物がないけれども人口密度が極端に低い工場敷地のような例もあるのでこれもあえて条件に加えておきましょう。
このようなリトルネイチャーならどこでもタヌキがいるわけではありませんが、例えば野鳥が集まりやすい場所であるのは明らかです。また、植物が多ければそれを食べ物とする昆虫、さらにその昆虫を食べる昆虫あるいは小動物が多数生息しているのは当然のことです。つまりリトルネイチャーは動植物の生息場所になっているのです。都会の自然生態系の主要な構成要素になっているといってもいいでしょう。
「自然」というとどうもたいていの人は知床とか屋久島とかの大自然を思い浮かべてしまいます。もちろん大自然も重要ですが、そればかり注目するのはちょっと違うんだよな、と私は思うのです。私たちの近くにあるリトルネイチャーも忘れてはならない自然環境なのです。

話をタヌキに戻しますと、タヌキの目撃情報が得られた時、私はまず地図を開いてその場所周辺のリトルネイチャーを確認するようにしています。実際に地図で調べてみると、タヌキが目撃された場所のそばには確実にリトルネイチャーが存在します。
このことは逆に何の情報も持たずにタヌキを探す時にも応用できます。つまり、リトルネイチャーを探せばその周辺にタヌキがいる可能性も高いのです。私はどこかへ出かけた時も(東京以外の場所でも)、「この場所はタヌキがすめそうだな」と考えたりすることがあります。

リトルネイチャーよりもさらに小さな自然環境も存在します。名付けて「マイクロネイチャー」。例えば民家の庭がそうです。そして小さな鉢植えの植物もそうです。小さな小さな自然。さすがにタヌキはすめません。でも小鳥がやって来ることはあるでしょう。昆虫は必ず来るでしょう。鉢植えの植物にいつの間にかアブラムシがびっしり付いていて悲しい思いをした方がいることでしょうが、それも立派な自然環境、マイクロネイチャーなのです。小さな鉢植えが自然環境なのか?と思いたくなるかもしれませんが、小さな植生でも昆虫の体のサイズから見れば巨大な森林にみえるわけです。鉢植え程度は大したことないように見えるかもしれませんが、これを積み重ねればより大きなネイチャーに匹敵するものにもなるのです。決して無意味なものではありません。

私たちの身近にあるリトルネイチャー、マイクロネイチャー。こういう小さな自然を大切にしたいものです。そして、小さな自然な大切さがわかれば大自然の本当の大切さも理解できることでしょう。


ところで、「リトルネイチャー」「マイクロネイチャー」という言葉は私が発明したばかりの造語で、まだほとんど使われていないようですね。都会の自然を説明する言葉として以後使わせてもらうことにします。

東京都23区内での最新のタヌキ情報については
東京タヌキ探検隊!
のページをご覧ください。

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