Vol. 309(2006/3/26)

[今日のいきもの]日本人は短足好き?

前々からずーっと思っていたことがあります。それは「日本人は短足動物が好きなのではないか?」ということです。では、外国では足長が好まれるのかというと、そういう情報は一切持ち合わせていませんので比較することはできないのですが、とにかく日本で好まれる動物を見ていると「短足好き」なのではないかなあという疑惑をいつも感じてしまうのです。

短足動物の代表選手というと、間違いなく「ダックスフンド」です。最近の小型犬ブームの中の中でもミニチュア・ダックスフンドは飛び抜けた人気です。ダックスフンドが人気になった理由は「某有名タレントが飼っているから」という話を聞いたことがありますが、それだけの理由でここまでの人気になるとは思えません。チワワの場合はあの有名CMの影響が大きかったことは明らかなのですが。
ダックスフンドが人気というだけでは短足動物好きとは言えないのではないか、と思われるかもしれませんが、別の短足犬「ウェルシュ・コーギー」の人気もじわじわ上昇してきているのを見ると、やはり「日本人=短足好き」仮説は正しいのではないかと思うのです。ただ、ウェルシュ・コーギーでも人気になっているのはもっぱらペンブローク(短尾(※これは断尾しているためで、本当はちゃんと尾がある)。茶/白の体色が多い)の方で、カーディガン(長尾。黒/白の体色が多い)の方はあまり注目されていません。しかし、カーディガンの人気が出てくるのも時間の問題である、と予言しておきましょう。
※ペンブロークとカーディガンは両方とも「ウェルシュ・コーギー」が冠されますが、起源は別と考えられています。

イヌ以外の動物では、去年、風太君で有名になったレッサーパンダも短足です。風太君の立ち姿をよーく思い出してください。後脚がとても短かかったことを覚えていますか? 四足歩行をしている時にはあまり気づかれないのですが、立ち上がると胴体が長いこともあって短足がより強調されてしまいます。これが足が長い動物だったらあまり話題にならなかったのではないでしょうか。レッサーパンダと同じグループの食肉目は短足がそろっていて、クマやアライグマ、フェレット(イタチ)などもそうです。クマはぬいぐるみになるほどですし、アライグマはラスカルで有名、フェレットは実際にペットとして飼われており、いずれも短足動物として活躍しています。
他の動物で言えば、ペンギンも短足です。あのよちよち歩く姿は日本人の心をつかんで放しません。カメも短足。日本にはカメ・マニアがたくさんいます。ちょっと無理があるかもしれませんが、アザラシも短足です。アザラシは後脚が短すぎて、陸上でははって移動するしかありません。アザラシに近縁のアシカは四肢を使って器用に歩くことができます。アシカとアザラシではどちらが人気なのかはよくわかりませんが(そもそも両者を区別できている人はどれだけいるのでしょう?)、アザラシはタマちゃんという例もありましたし、マンガのキャラクターにもなっています。アザラシの人気には根強いものがあります。

どうでしょう。「日本人=短足好き」仮説はかなり真実に近いと思いませんか? 短足動物を見ると「かわいい!」と感じてしまうのが日本人なのではないでしょうか。
短足動物に引かれる理由は、その動作にあるのかもしれません。短足動物は脚が短いため、速く移動する時には脚をすばやくちょこちょこと動かさなければなりません。その動作がかわいらしく、面白く、好意的に受け取られるのではないでしょうか。
ちょこちょこ歩くというのは、体が小さい小型犬でも同じことで、小型犬が定着したのもその動作のかわいさが影響しているのではないかと思えます。

ちなみに私はというと、短足動物に特に引かれるということはありません。なぜダックスフンドが人気なのかまったく理解ができないほどです。私はいつも動物を冷静に観察しているので、脚の長短が特別な意味を持つことがないからでしょうか。

ところで、イヌに比べるとネコの体型のバリエーションの幅はとても狭く、どの品種もだいたい似たような体型をしています。ところがそれでも短足の品種というものが存在します。それは「マンチカン」という種類です。最後に予言。マンチカンは近い将来日本で人気が出ます。(当たるかな?)


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