[東京タヌキ探検隊!]2011年東京タヌキ報告書の読み方
さて今年も恒例の東京タヌキの報告書が完成しました。報告書は東京タヌキ探検隊!のホームページに掲載していますのでまずはご覧ください。今年はPDF版の他にePub版も用意しました。
「東京都23区内のタヌキ、ハクビシン、アライグマの目撃情報の集計と分析(2011年1月版)」
その報告書の内容ですが、昨年と同じく直近3年間の目撃情報の集計と分析です。
まず、タヌキは例年通りというところで大きな変化はありません。
問題はハクビシンの方です。
2010年はさらにハクビシンが増え、なんとタヌキを追い抜いてしまいました。3年間の目撃情報をまとめている報告書でも、今回は前回と比べて目撃件数がほぼ倍増することになりました。情報は多いほどより正確になります。今回は統計の内容もより精度が高くなったと言えます。
ハクビシンの目撃件数がタヌキを越えたということは、ハクビシンも東京都23区内に1000頭規模、少なくとも数百頭は生息していることが確実といえます。もともとはタヌキのことを調べていたのにハクビシンのことまでわかってしまった、という副産物的な発見です。タヌキの時もそうでしたが、東京都23区内のハクビシンの生息数、生息分布を明らかにしたのはこれが初めてのはずです。これは宮本の調査研究の大成果と言えます。ハクビシンが生息することは知られていましたが、これほどいるとは誰も想像していなかったでしょう。
なお、年々目撃件数が増えていますが、これは生息数が増加していることを意味するのではありません。これまでは目撃しても正体がわからなかったり、報告先がわからなかったりして宙に浮いていた情報を、東京タヌキ探検隊!がうまくすくい取れるようになったことが原因と言えるでしょう(昨年の文章もお読みください)。生息数の増減はさらに数年は経過を見ないとはっきりとはわかりません。
さて、この報告書は数字を羅列しているだけのように見えますが、じっくり読むタヌキやハクビシンがどういう動物かわかってくるはずです。
例えば、ハクビシンは電線や樹上など高所にいる姿がよく目撃されています。これはハクビシンが樹上生活者であることを物語っています。
また、タヌキとハクビシンでは月別の目撃件数の傾向が異なることから、出産・子育てのパターンが違うのではないかと推測できます。
ただ数字を眺めるだけでなく、こういったところを読み取っていただくと面白く読めると思います。
もうひとつ、報告書では言及すべきかどうか迷ったのですが書かなかったことがあります。それはネット検索の変動のことです。
タヌキなどの目撃者が東京タヌキ探検隊!へ連絡するきっかけは「ネット検索してこういうホームページがあることを知った」というものがほとんどです。ホームページへのアクセス解析をするとアクセスの約57%がネット検索からです。そしてネット検索のほとんどはGoogleとYahoo!が占めています。ネット検索以外のアクセスも多くは東京タヌキ探検隊!を紹介したホームページ、ブログ、Twitterからのリンクをたどったものと思われます。ネット検索からのアクセスが非常に多いため、検索結果の上位に表示されることは重要です。
異変が起こったのは2010年1月後半のことでした。突然Yahooからのアクセスが急減したのです。調べてみると、東京タヌキ探検隊!のホームページが検索結果にまったく表示されなくなっていました。特に問題があるようなホームページではないので、この検索結果は非常に不可解なものでした。その後、報道等で知られるようにYahooは検索エンジンをGoogleのものを採用することになり秋以降順次切り替えていきました。東京タヌキ探検隊!へのYahooからのアクセスは11月後半から回復していきました。検索結果にも以前同様に上位に表示されています。
Yahooからのアクセスが減少したのは情報収集にとってはかなりの痛手ですが、年間を通じて見るとネット検索全体からのアクセスはそれほど減ってはいません。Yahooの減少を埋めるようにGoogleからのアクセスが増えたからです。
このYahooの異変が情報収集にどう影響したのかはわかりません。タヌキの目撃情報数は2009年より少なかったのですが、ハクビシンでは大幅に増えました。影響がまったくなかったわけではないでしょうが、Googleを併用したり、リンクをたどったりして東京タヌキ探検隊!までたどりついた人も多かったということなのでしょう。