Vol. 528(2011/9/18)

[今日の観察]タヌキの道路標識

日本各地には「動物注意」の道路標識があります。その形状は頂点を上下左右に置いた正方形で黄色をしています。そこに描かれた動物は各地方さまざまです。
動物注意の標識にはタヌキが描かれたものもあります。それは東京都や神奈川県にもあります。

私が初めて意識してタヌキ標識を見つけたのは昨年のことでした。横浜市の丘陵地をバスに乗っていた時、ちょうど信号待ちでバスが停止しました。すると、ちょうど私の目の前にタヌキ標識があったのです。

この写真は後日あらためて撮影に行った時のものですが、日没時刻に近く、見事にピカピカ反射した写真になってしまいました。
場所は横浜市緑区三保町。

※画像をクリックするとストリートビューで表示されます。
※ストリートビューのデータは不定期に更新されるものです。数年後には画像が表示されない、あるいはタヌキ標識が見えなくなっているかもしれないことをお断りしておきます。


また、その少し後のこと、保土ケ谷バイパスを走行中に同乗者からここにはタヌキ標識があることを教えてもらいました。上りと下りで道路脇に目を凝らしてみたところ、確かに複数の標識があることを確認できました。これもストリートビューで確認できますので、皆さん探してみてください。上りに3ヶ所、下りに2ヶ所あります。

高速走行中に何とか撮れたのがこの写真です。上の標識とは絵柄が違っています。 というか、タヌキのようなタヌキでないような、奇妙な動物ですね…。

タヌキ標識は意味もなく設置されるものではありません。動物注意の標識は、実際に動物事故が発生しやすい場所に設置されます。そして標識に描かれるのは最も事故にあいやすい動物です。
保土ケ谷バイパスの場合も、道路沿いの土地の標高が高くなっていて、タヌキが容易に道路に入り込みやすい場所に設置されています。もし道路が高架ならばタヌキが入り込むおそれはないので設置する必要はありません。


東京都23区内にもタヌキ標識があります。このことは以前から聞いていましたが、具体的な場所までは知りませんでした。こういう時に便利なのがストリートビューです。現場に行かなくても道路標識ぐらいは確認ができます。おおまかな場所は、練馬区の大泉のどこか、埼玉県境に近いところにあるということまではわかっています。かつ、タヌキがすみそうな緑地というと…「大泉中央公園」があやしいです。そこでさっそくストリートビューで現地に行ってみました。すると、簡単に発見できました。

近くには他にも緑地公園や朝霞駐屯地があります。タヌキの生息は十分可能な場所です。


さらに昔の記憶を引っぱりだしてみました。以前、10年以上前のことですが、小田急線・鶴川駅から南へTBSスタジオ方面に行ったことがありますが、その時にタヌキ標識があったようななかったような記憶があります。ストリートビューで調べてみると…ありました。

ここは東京都町田市と神奈川県川崎市の境界線の道路です。道路標識というものは普通はドライバーから見て左側に設置します。ところがこの道路標識は右側(神奈川県側)にあります。これはどうも神奈川県が設置したもののようです。
神奈川県にはあちこちにタヌキ標識があるようで、積極的に設置しているらしいのです。横浜市も川崎市も大半が丘陵地で緑地も多く残っているため、タヌキやハクビシンにとっては暮らしやすい環境です。タヌキやハクビシンが両市に広く分布していることは東京タヌキ探検隊!の情報収集でもわかっています。交通事故にあうタヌキも少なくはないようで、そのためタヌキ標識が多いのです。
それに比べると東京都のタヌキ標識は少ないようです。東京都多摩地区には当然タヌキもハクビシンも生息しています。なのに標識が少ないというのは、野生動物に対する行政の姿勢が反映されているのかもしれません。


動物標識が少ない東京都ですが、瑞穂町にはキツネ標識があります。これは過去の新聞記事から場所を特定できました。キツネ標識ということはこの付近にはキツネがいるということなのでしょう。東京タヌキ探検隊!にはキツネの情報はほとんど無いので非常に興味深いです。
ちなみにここから北に行ったところにはタヌキ標識もあります。


タヌキがいる所、タヌキ標識あり。これはタヌキ情報を集めている私にとっては重要な情報です。もしタヌキ標識をご存知の方はぜひ教えてください。連絡先はこちらのページに書いてあります。東京近辺だけでなく、全国が対象です。詳細な位置はストリートビューを利用して教えてください。また、タヌキ標識だけでなく、キツネ、ハクビシン、イタチなど中型・小型の食肉目動物の標識でもかまいません。よろしくお願いします。


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