いきもの通信 Vol.536 [今日の勉強]害虫から最も縁遠い昆虫 

Vol. 536(2012/2/12)

[今日の勉強]害虫から最も縁遠い昆虫

昆虫は多かれ少なかれ害虫としての一面を持っています。
そんな昆虫でも害虫から縁遠い昆虫もいるはずです。それはどんな昆虫でしょうか。グループ別に見ていくことにしましょう。生物の分類にはいろいろな段階がありますが、今回の話では「目」(もく)レベルで扱うのが都合がよさそうですので、「目」のグループごとに調べてみましょう。

まずは、「キング・オブ・害虫」と言えばそれはゴキブリであることにほとんどの方は賛同していただけるでしょう。ゴキブリ目は最も目の敵にされている害虫のはずです。各種の殺虫剤もゴキブリをメインの対象にしているものが多いことからもわかるように、害虫駆除の主戦場はゴキブリなのです。
ただ、ゴキブリのほとんどは屋外にすみ、分解者として自然生態系に貢献しています。このような別の一面はもっと評価されていいものです。

双翅目(そうしもく)にはハエ、アブ、カなど害虫界のスターたちが並んでいます。こちらは「害虫軍団」とでも表現したらよいでしょうか。このグループにはさまざまな種類が含まれており、対抗策も多様な準備をしなければなりません。
もちろんその全部が害虫ではありません。ハエたちがいるからこそ自然界の動物の死骸が速やかに消滅するのですから。ゴキブリ同様、分解者としての貢献は大きなものです。

シロアリ目も有名な害虫です。実はシロアリはゴキブリに近縁です。
ノミ目、シラミ目も名が知られた害虫ですね。

甲虫目には非常に多くの種類の昆虫が含まれます。カブトムシ、クワガタムシ、ホタルなど害虫には無縁な昆虫もいますが、種類全体が多いため害虫も多く含まれます。
シバンムシ、ヒョウホンムシ、カツオブシムシあたりが代表的な害虫です。

鱗翅目はチョウ、ガの仲間です。チョウは優雅ですが、モンシロチョウの幼虫(青虫)のように農業害虫になる種類がいます。
ガの仲間は大半が無害ですが、チャドクガなど人間に被害を与える種類がいます。

膜翅目はハチ、アリの仲間です。
ハチは刺すし、アリは家の中に入り込んでくるし、何かと迷惑なやつらです。

半翅目はセミ、カメムシの仲間です。
セミは無害なのですが、カメムシはご存知のようにとてつもない悪臭を出しますし、サシガメは刺します。

直翅目はバッタ、コオロギ、キリギリスの仲間です。
カマドウマは無害なのですが、家の中によく入ってくるので嫌われます。このような実害がない害虫は「不快害虫」などと呼ばれることがあります。
アフリカなどで空を埋め尽くすほど大発生するサバクトビバッタは有名です。


では、無害な昆虫というのはいるのでしょうか。ここまででほとんどの昆虫が出尽くしたようにも見えますが…まだ残っていました。
トンボ目とカマキリ目です。トンボもカマキリも無毒ですし、人間を襲うこともありません。まあ、カマキリの前脚に指をはさまれることがあるかもしれませんが、血が出るわけでもありませんし、注意すれば回避できることです。また、どちらも屋内に侵入してくることはまれです。体が大きいので狭い隙間からは入り込むのが難しいのでしょう。
トンボもカマキリも動物食であることは興味深い共通点です。いずれも食べる獲物は自分よりも小型の動物で、主に昆虫類です。しかも、基本的には生きている獲物しか食べません。また、体が大きいため食事の量も多くなります。トンボ、カマキリにとって、屋内は食べ物が乏しい環境です。わざわざ屋内に入り込む理由がないのです。

というわけで、トンボとカマキリについては皆さん安心して観察してください。これほど安全な昆虫はいないのですから。

なお、有害・無害ともにさらにマイナーな昆虫はいるのですが、今回は省略しました。興味のある方は昆虫図鑑をすみからすみまで読んでみてください。


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