短信 2001年(3月〜)

「いきもの通信」本編で取りあげていないニュースを簡単に紹介していきます。「COMMENT」の部分は私のコメントです。


[2001年12月20日 朝日新聞(東京版)]
山梨県は、約360匹の犬を不衛生な環境で飼育している男性に対し近く改善を勧告する。この勧告は動物愛護法第15条に基づくもの。

[2001年12月4日、12月5日 朝日新聞(東京版)]
長野県の乗馬クラブの元オーナーが、飼育していた馬に食事を与えず衰弱させたとして動物愛護法違反(虐待)で書類送検された。動物愛護法違反を衰弱に適用し、立件したのはこれが初めて。元オーナーは、同紙の取材に対し「芸を教えこむため」と語っている。

[2001年11月20日 朝日新聞(東京版)]
19日、東京都千代田区麹町、平河町でニホンザル1匹が出没。警官が捕獲しようとしたが成功していない。

[2001年11月20日 朝日新聞(東京版)]
高知・徳島県境の剣山系でツキノワグマが写真撮影された。四国でツキノワグマが確認されたのは7年ぶり。ツキノワグマは四国全域でも十数頭しか生息していないとみられ、「絶滅確定状態」といえる。

[2001年11月17日 朝日新聞(東京版) 夕刊]
国内では北海道だけにしか生息しない「イトウ」が事実上の絶滅状態になっている。イトウはサケ科の魚類で、国内最大の淡水魚。以前から数を減らしていたが、水系によっては産卵床や稚魚が確認できず、繁殖が望めない状態という。

[2001年11月14日 朝日新聞(東京版) 夕刊]
九州大学の荒谷邦雄・助教授によると、日本国内で外国産カブトムシ・クワガタムシが目撃・捕獲される例が増えているという。輸入解禁された1999年末以降の2年間に輸入された数は約87万匹にもなる。交雑などによる日本在来種への影響が懸念されている。

[2001年11月14日 朝日新聞(東京版)]
秋田県のある小学校で、今年の総合学習として「ニワトリを飼育し、解体して食べる」という授業を行なった。しかし、一部の保護者からの批判があったため、解体は中止された。
(COMMENT:動物を食べるという実感が無い現代日本においてはこういう授業も悪くないと思います。)

[2001年10月28日 朝日新聞(東京版)]
昨年、米国サンフランシスコ郊外の鉄道工事現場で珍しいヘビの死骸が見つかり、調査のため工事が18日間停止された。このヘビは「サンフランシスコ・ガーター・スネーク」という希少種(ナミヘビ科のガーターヘビの仲間)。10月25日に、工事を止めた費用として鉄道会社から建設会社に107万ドル(約1億3000万円)支払う契約が交わされた。

[2001年10月3日 朝日新聞(東京版)、同日 朝日新聞(東京版) 夕刊]
ワシントン条約付属書1(商取引の禁止)に掲載されている世界最大のインコ、「スミレコンゴウインコ」を密輸・販売した容疑で愛知県内の男性2人が逮捕された。容疑は外国為替法違反(無承認輸入)と種の保存法違反(譲り渡し)。

[2001年9月30日]
東京都の「カラス対策プロジェクト」が、報告書「東京のカラス問題を解決するために」をホームページで公開している。10月26日まで意見を受け付ける。

[2001年9月30日]
東京都は、10月1日より東京都動物保護相談センターで収容している動物の情報をホームページで公開する。飼い犬や飼い猫が行方不明になった時はこのホームページをチェックするといいだろう。
(COMMENT:このシステムについては以前から話は聞いていましたが、こんなに早く実現するとは驚きです。)

[2001年9月11日 朝日新聞(東京版)]
香川県丸亀市の工場で8日に全長約2mのキングコブラらしきヘビが捕獲された。丸亀港の輸入原木にまぎれこんでいたか、ペットが逃げたものと推測されている。

[2001年9月8日 朝日新聞(東京版)]
東京都八丈島沖の無人島、八丈小島で8月28日からヤギの捕獲が始まった。32年前の集団離島の時に残されたものが繁殖し、現在約500頭が生息。植物を食べつくした結果、地盤が崩れ、周囲の漁場に被害を与えているという。今後、全頭を捕獲する予定。
(COMMENT:野生化したヤギは、ガラパゴス諸島など世界的にも問題になっています。)

[2001年9月5日 朝日新聞(東京版) 夕刊]
ケニアと米国の研究チームのDNA解析で、アフリカゾウは2種に分けられるらしいことがわかった。森林のアフリカゾウとサバンナのアフリカゾウは以前から形態的にも違いがあることが知られていたが、これらの間の雑種もほとんどなく、別種と考えるべきだとのこと。
(COMMENT:分類学はまだ発展の可能性のあるジャンルなのです。)

[2001年9月1日 朝日新聞(東京版)]
タイで、内陸部水田でのエビ養殖の可否について専門家が検討している。エビ養殖は現金収入につながるが、水田の塩分濃度を上げ、作物が栽培できなくなるという。

[2001年9月1日 朝日新聞(東京版)]
東京都杉並区の公園の池(約300平方m)でピラニア2匹が捕獲された。杉並区が池の水を抜いて調べたところ、さらに成魚2匹と稚魚数百匹が発見された。
(COMMENT:もう何が見つかっても驚かない私です。)

[2001年8月31日 朝日新聞(東京版)]
環境省の発表によると、ウミガメ類の産卵のための上陸数が減少傾向にあるという。環境省のホームページでは、「報道発表資料」の「2001年8月30日」の項目に掲載されています。

[2001年8月25日 美方町ホームページ]
6月に美方町で発見・捕獲された動物について、「ヤマカガシ」との結論を発表した。なお、この動物は先日死去した。
(COMMENT:ということで、予想通り既知のヘビでした。ヤマカガシはヒキガエルを食べる(=飲み込む)こともあるそうですので、一度に何匹も飲み込むと確かにツチノコのように見えるかもしれません。)

[2001年8月8日 朝日新聞(東京版) 他]
鳥取県沿岸で、複数のシュモクザメが確認された。そのため県内の多くの海水浴場が遊泳禁止となった。県は県立水産高校の実習船2隻で捕獲・駆除作業を開始した。海水浴場の一部では沖合いに防護ネットを張り、遊泳禁止を解除した。
(COMMENT:シュモクザメは人を襲うという話はよく聞きますが、実際にサメに襲われる被害はかなり少ないはずです。それでも遊泳禁止は正しい措置でしょう。サメの捕獲・駆除は残念ながら効率が悪いと言わざるを得ません。沖合いに防護ネットを張る方が確実でしょう。)

[2001年7月14日 朝日新聞(東京版) 夕刊]
三重県桑名市で6月末、毒物が入ったモチを食べた飼い犬が急死した。散歩の途中にモチを食べたようだ。犬の散歩経路を調べたところ、別の毒物入りモチを発見した。付近では5月頃から犬が急死する事件が数件発生している。
(COMMENT:この種の事件はあまりマスコミには登場しないのですが、実際にはもっと多くの類似事件が起こっていると思います。)

[2001年7月9日 朝日新聞(東京版) 夕刊]
ワシントン条約付属書I記載(商取引禁止)のウシ科、チベットアンテロープ(別名チルー)の毛織物を密輸販売していたとして、東京都の販売会社社長が外国為替法違反(無承認輸入)と種の保存法違反(販売目的の陳列)容疑で逮捕された。
(COMMENT:チベットアンテロープ、といっても知らない人が多いでしょう。私も、手元の資料にこの名前で載ってなかったのでちょっとあせりましたが、図鑑では普通「チルー」または「チールー」の名前で載っています。ワシントン条約でも種の保存法でも、生きている個体だけでなく「加工品」つまり、ワニ皮のかばん、象牙、ベッコウ(タイマイの甲羅)、トラの骨(漢方薬になる)といったものまで対象となります。海外土産に漢方薬を持ちこもうとしたら、トラの骨が成分であったために持ち込みを禁じられた、という例は非常に多く発生しているはずです。)

[2001年7月5日 朝日新聞(東京版) 夕刊]
千葉県柏市の民家でオオタカ4羽が飼育されていることが確認された。飼育していた男性は千葉県警から鳥獣保護法違反の疑いで事情をきかれている。オオタカは絶滅が懸念されている。付近でオオタカを観察していた日本野鳥の会千葉県支部関係者が6月中旬過ぎに姿が見えなくなっているのに気づき、今回の無断飼育発見につながったという。オオタカは動物園に預ける方針。
(COMMENT:野生動物の無断捕獲は鳥獣保護違反ですので注意しましょう。ワシ・タカやフクロウは観察している人が意外といるものなのです。オオタカを飼育していた人は「飼っているレース用ハトを襲うから」と言ってますが、そんなのは言い訳にもなりません。)

[2001年6月25日 朝日新聞(東京版)]
石川県は、カモ類が畑を荒すのを防ぐために、川北潟干拓地近くの池に稲穂を植えてカモ類を誘導し、成功した。
(COMMENT:今時動物を殺す時代ではありません。人間は知恵があるのですから、それをフル回転させて解決しなければなりません。今回はその成功例。ところで、この時期のカモってどういう種類なんでしょう。カルガモ、オシドリ…?)

[2001年6月22日]
井の頭公園で、男がドバトを傘を持って追いかけ回し、3羽を殺すという事件があった。パトカーが現場に来た後、ちょうどカイツブリ観察に来ていた私も偶然その現場に到着。事件の内容はその場を目撃していた女性があれこれと周りに説明していたのでわかったのだった。犯人はパトカーの警官に現行犯逮捕、だと思う。この事件は新聞などでは報道されなかったようだ。

[2001年6月21日 朝日新聞(東京版)]
東京都建設局は27日から聟島(むこじま。小笠原諸島の無人島)のヤギ駆除を始める。ヤギは江戸時代に食用として放牧されたが、植物を食いつくすおそれがあるため去年に引き続き駆除を行う。
(COMMENT:ヤギの食いっぷりはすさまじく、ガラパゴス諸島など世界的に問題になっています。)

[2001年6月21日 朝日新聞(東京版)]
宮内庁は20日、皇居・吹上御苑でオオタカの巣が発見され、繁殖した可能性が高いと発表した。
(COMMENT:オオタカの生息は以前から知られていました。東京のど真ん中でもこういうことがあるのです。都市と自然は相反するものではないのです。ちなみに、皇居の生物については先日「皇居・吹上御苑の生き物」(世界文化社)という書籍が出版されましたので、興味ある方はご覧ください。)

[2001年6月21日 日本テレビ「レッツ!」]
北海道札幌市、石狩市でこの2ヶ月ほどに十数件の犬の虐殺事件が発生している。被害にあったのはすべて飼い犬。脚や耳の切断、首つりなど非常に残虐な殺害方法である。

[2001年6月19日]
個人的所感。新宿の某パソコン専門店で、AIBO(立ち耳型)が中古で売られていた。捨て犬みたいに見えて、なんだかかわいそうだった。

[2001年5月24日 朝日新聞(東京版)]
4月5日、大阪市平野区の公園で、散歩中のイヌがインスタント食品用の麺をなめて急死した事件について、無職の男性が器物損壊の疑いで逮捕された。この男性は「イヌのフンを放置している人たちに腹が立った」と供述しているという。
(COMMENT:やはり動物殺傷目的でしたか…。動物愛護法違反でないのはどうしてなんですかね?)

[2001年5月15日 朝日新聞(東京版)]
「シゲタ動物薬品工業」(富山県小矢部市)がイヌ、ネコの血液型を判定する試薬の開発に成功、6月から血液型判定の受託サービス事業を始める。
(COMMENT:実はここしばらく、イヌ、ネコの血液型判定試薬が国内には無い状態が続いていたのでした。これで一安心。)

[2001年5月14日 朝日新聞(東京版)]
13日未明、岩手県金ヶ崎町の農家にツキノワグマが入り込み、座敷でリンゴ約20個を食べた。物音に気づいた男性が座敷をのぞいたところ、クマを発見、約50m離れた長男宅に駆け込み、警察に通報した。クマはカギのかかっていない縁側から侵入していた。クマはその後行方不明。
(COMMENT:今年はクマの当たり年なのか、事件が多く発生しているようです。)

[2001年4〜9月 NHK総合 連続テレビドラマ「ちゅらさん」]
月曜のオープニングだけに登場する昆虫。この昆虫は「サイカブト」または「タイワンカブト」というカブトムシです。日本では沖縄だけにしかいませんが、アジアに広く分布しています。メスにも小さな角があります。でも、サイカブトはヤシやサトウキビを食べる害虫なんですよね…。

[2001年5月10日 朝日新聞(東京版)]
9日、京都市右京区の嵐山公園にツキノワグマが現れ、観光客らが避難する騒ぎになった。このクマは午後3時過ぎに近くで射殺された。

[2001年5月9日 朝日新聞(東京版)]
東京都は9日よりカラスの緊急捕獲作戦を開始する。昨年と同じ内容だが、今年は都内全域で実施する。また、この日の天声人語でもこのことをとりあげている。
(COMMENT:天声人語で、都の言い分として「戦いを仕掛けたのはカラスだ」ということが紹介されています。前後の文脈がわからないのですが、都のこれまでの方針からするとなんとも奇妙なコメントです。今時こんな発言をする人がいるのでしょうか? 断片的なコメントを取り上げられても困るのです。カラス問題はカラスに原因があるのではなく、人間こそが原因であるというのは広く認知されていることだと思うのですが。)

[2001年5月9日 朝日新聞(東京版)]
ロシアの白海で子アザラシ約20万頭が氷に閉じこめられ餓死しそうになっている。研究者たちは救出作戦の資金援助を求めている。

[2001年5月2日 朝日新聞(東京版)]
ロンドンのトラファルガー広場で、ハトのエサ売りが排除され、ハトの数が激減している。ロンドン市当局がこの作戦を実行している。これについては保護団体からも賛否両論がある。(ロイター)
(COMMENT:ハトは人間がエサを与えなくても自力で食べていくことはできますし、繁殖力も強いので、この程度のことで絶滅したりはしません。フン害などのことを考えると、こういう施策も否定はできません。日本でも広島市の平和公園で同様の措置をとり、ハトの数を減らすことができています。)

[2001年4月26日、同日夕刊 朝日新聞(東京版)]
25日、鹿児島県鹿屋市の路上で、電動車いすに乗っていた男性(89)が3匹のイヌに襲われ死亡した。イヌは同市内の男性の飼い犬で、イノシシ猟に使われていた。23日にイノシシ駆除をしている時にイヌたちは行方不明になっていた。飼い主の男性は動物の愛護及び管理に関する条例違反(係留義務)の疑いで事情聴取されている。
(COMMENT:「動物愛護法」ではなく条例であることに注意してください。イヌの係留義務はほとんどの自治体の条例で義務づけられているはずです。)

[2001年4月19日 日本テレビ「レッツ!」]
名古屋市の天白川でワニと思われる動物が最近目撃されている。ワニではなくワニガメ、アリゲーターガーの可能性もあると番組では指摘していた。

[2001年4月14日 朝日新聞(東京版)]
東京都でニホンザルが逃走中。6日に杉並区、13日に品川区で目撃されている。このサルの身元は不明。

[2001年4月7日 朝日新聞(東京版)夕刊]
沖縄県竹富町で飼い猫の登録を義務づける「ネコ飼養条例」が町議会で可決された。西表島のイリオモテヤマネコにネコエイズが感染するのを防ぐための条例。
(COMMENT:イヌについては各地にいろいろ条例があるのてすが、「ネコの登録」とは初耳です。他には東京都小笠原村に例があるだけだそうです。でも、小笠原に野生ネコっていましたっけ?)

[2001年4月6日 朝日新聞(東京版)]
サウジアラビア、カタールで、イスラム教の公式指導者が「ポケットモンスター」を禁じる判断を下した。その理由の1つは「登場するキャラクターは進化論に基づく」からとのこと。
(COMMENT:生物は神が創造したもの、というのはキリスト教、イスラム教に共通の信仰で、進化論は肯定できない思想なのですが、ここまでするとは。それはさておき、ポケモンにおける「進化」という用語は生物学での「進化」とは別のものであるということは指摘せねばなりません。ある生きている生物個体が、別の種に生きたまま「進化する」ことはありません。親生物から生まれた子生物が別の種になることはあり、これを「進化」といいます(多分これが生物学での共通認識のはず)。ポケモンでの「進化」は正しくは「変態」(例えば昆虫が幼虫→さなぎ→成虫と形を変えること)と言うべきなのです。ということは、現在世界中の子供たちは「進化」という言葉を間違った意味で理解しているのです! これはかなりまずいことなのでは?)

[2001年4月6日、同日夕刊 朝日新聞(東京版)]
4月5日、大阪市平野区の公園で、散歩中のイヌが粉のかかったインスタント食品用の麺をなめたところ急死し、現場を確認した飼い主と警官ものどの痛みがあり入院した。粉は農薬であったことがわかった。
(COMMENT:一見、動物とは関係ないようですが、このようなあからさまに不審なものを人間が食べるとは思えません。動物、例えばネコを殺傷する意図があった可能性があります。)

[2001年3月18日 朝日新聞(東京版)]
石川県から山口県の日本海沿岸で、オオミズナギドリの死骸が確認されただけでも600羽以上、推測で1000羽以上流れ着いている。海が荒れてエサとなる魚が捕れず餓死したと推測されている。この時期は北の繁殖地に戻る渡りの途中である。

[2001年3月17日 朝日新聞(東京版)]
昨年夏にニホンオオカミらしき動物が撮影されたという大分県某所の山小屋で、管理人がはり紙を発見した。その内容は「ニホンオオカミに間違われて撮影され、お騒がせしたのは純血の四国犬です。ご迷惑かけました。」というもの。
(COMMENT:ニホンオオカミらしき動物の撮影場所は公表されていなかったが、2月に放映されたTV番組「たけしの万物創世期」(テレビ朝日系)で暴露されてしまった。番組では場所名は伏せられていたものの、あの映像やその他の情報から場所の特定はそれほど難しくないと思われる。このはり紙もいたずらだろう。)


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