[EXPLANATION]
和名:ツバメ
学名:Hirundo rustica産まれました。あ、いや、トキのことではありません(注:1999年5月21日、中国から来たトキの卵が孵化した。日本で初めてのトキの人工孵化でもあった)。ツバメの話です。
最寄りのJRの高架のガード下にツバメが巣を作っています。去年気付いた時はもうヒナが巣立つころでした。今年は写真とビデオで記録するぞ〜、と考えていたので4月から巣を時々観察していました。土曜日、カメラを持って下で構えていると、巣に戻ってきた親に大きく口を開いているヒナが3羽確認できました。羽毛がほとんど生えていないところを見ると、この1週間内に孵化したばかりと思われます。
ツバメは都会にもよく適応した野鳥です。人家や人通りが多いところにも平気で巣を作りますが、これは天敵を避けるためと想像されます。このガード下にいるツバメもなかなかうまい場所を見つけました。この駅は商店街に囲まれ、店から出るゴミをねらってカラス達が毎日たくさんやってきます。ところが、このガード下はゴミ集積場から離れている上に人通りも多いのでカラスの襲撃は無いようなのです。ただ、カラスが気付いていないはずはありません。ゴミをあされば十分食べていけるのでツバメには興味がないのでしょうか。
都会に適応したといっても、私が住む場所ではツバメはかなり珍しい鳥です。数が少ない理由は簡単、水が少ない環境だからです。川も池もないんですから。ツバメは水辺を好む鳥です。まず、巣の材料として泥が必要です。そして、水辺の方がエサが多い。水辺には陸の動物だけでなく水辺の動物もいるので、水がない環境よりもエサが相対的に多いのです。また、川原などは自然環境が比較的残っていて生物が多いということもあります。
それにしても都会で野鳥の孵化や巣立ちが見れるとは。その意味でツバメは最も身近な野鳥と言えるかもしれません。
ところで、このガード下は昼間は人通りが多いので、観察は人が少ない朝にやっています。すると、朝8時過ぎにここは近所の女子高校の通学路となってしまうのです。まさか都会の真ん中で野鳥観察をしているとは誰も思いませんから、「このおっさんはなに天井を見つめてるんだろう」と見られているのは確実です(ま、たまにツバメに気付いてくれる人もいますが)。野生動物は都会にいないと思い込んでいるあなた、それは間違いです。スズメもカラスもハトも野生動物です。自然は遠くの海・山にだけ存在するのではありません。目の前にも自然はあるのです。
5/30追記
今朝観察すると、ヒナは幼毛が生えて、もう親並みに大きくなっていました。ヒナは4羽。先週は3羽しか観察できませんでしたが、その時はまだ1個卵が残っていたのでしょうか。
6/5追記
そろそろ幼毛も抜けはじめて、大人そっくりの姿になりはじめました。よく観察するとヒナは5羽いるではありませんか。先週撮影したビデオを見てみると、確かに先週も5羽いました。あんな狭い所にぎゅうぎゅう詰めです。早く産まれたと思われる2羽は巣の縁に立って羽ばたきの練習をしていました。初飛行の日も近いのかもしれません。
6/9追記
今朝見に行ったら巣はもう空でした。ヒナ5匹、あっという間に巣立っていったようです。といっても、南に帰るのはまだ先のこと。「巣」は子供が育ったらもう用無し。もっと生活しやすい場所に引っ越していったのです。