Vol. 8(1999/6/27)

[今日の事件]北の島の死闘!?

ネコ vs ウミネコ どっちが強い?

[ON THE NEWS]
ウミスズメやウミガラス、ウミネコなどの海鳥の繁殖地として知られる手売島。この島では近年野生ネコが海鳥を襲う被害が続出している。地元ではこれまでに電気さく、去勢手術、「猫だまし」(ネコの絵を板に描いたもの)などの手を打ってきたが、いずれも十分な効果をあげられていない。
(SOURCE:朝日新聞夕刊(東京版)19996年6月21日)

[EXPLANATION]
この記事は夕刊の1面トップに掲載されたのですが、見出しの「猫、ウミネコを襲う」でぎょっとしました。だって、鳥の中ではウミネコをはじめとするカモメ類はけんかをさせると結構強い方なんですよ。特に空中戦・集団戦が得意です。ワシ・タカなど猛禽類も強そうなのですが、単独行動・爆撃型(地上の獲物に狙いを定めて急降下で捕獲する)という戦法のため、やはり空中戦・集団戦型のカラスにはしょっちゅう追いかけまわされています。
この新聞記事自体は、手売島で多くの野鳥が野良猫に襲われているという話で、ネコたちがウミネコばかりを捕まえて食べているという話ではありません。まぎらわしい見出しです。もっと内容に即した的確な見出しを付けてください。

ですが、記事中に1ヵ所「ウミネコの成鳥も首を食いちぎられ、腹を割かれていた。」と書かれているので、ウミネコも被害にあっているのは事実のようです。ネコ対ウミネコ…集団戦になると単独行動型のネコはかなり不利です。とすると、1対1で戦ったのでしょうか…例えば夜寝ている所を襲うとかすれば猫の方が断然有利なのかもしれません。あ、いや、カモメ類は夜は海上で眠るんでしたっけ? それでは夜襲は無理ですね。とすると、陸上に巣を作る繁殖期が狙われるのでしょうか? もっと詳しい話を聞きたいところです。

ところで、この新聞記事本来の内容について言うと、野生生物を脅かすのは(大規模な自然災害を除けば)大抵人間なのです。今回の件も、人間が直接の原因ではありませんが、イエネコを持ち込んだことがそもそもの原因であるわけです。小さな島で移入動物がもともといた野生動物を駆逐した例は、あちこちにあります。移入動物はヤギだったりマングースだったりしますが、いずれにせよ持ち込んだのは人間。小さな閉じた環境ではちょっとしたことでも大きなインパクトを与えることを忘れてはいけません。

※カモメ、カラスは「空中戦・集団戦型」と書きましたが、エサをとる時は当然ながら単独行動です。ですが、他の鳥からエサを奪ったりするときは集団で襲うこともあります。集団といっても、高度なチームプレーをするわけでなく、それぞれが目標めがけて突進する、という感じではありますが。


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