Vol. 26(1999/11/21)

[今日の観察]東京で一番のゴイサギ撮影スポット

まずは写真から見ていただきましょう。

ゴイサギです。私が撮った写真です。なかなかよく撮れているでしょう? この写真、トリミングはしていません。フレームいっぱいにゴイサギが写っています。レンズも150mm程度で超望遠レンズを使ったわけでもありません。つまりかなり近くで撮影しているわけです。念のため言いますと、リモート撮影ではありませんし、飼育されているゴイサギでもありません。野鳥の写真を撮ったことがある方ならおわかりと思いますが、この距離は常識的には不可能な近さなのです。しかし、私は難無くこの写真を撮ることができました。
そこで質問です。この場所はどこでしょう?
ヒント:東京都23区内です(ますます混乱させるヒントかも)。

(はい、考えてください)

難しいですか? それではもうひとつヒント。この写真をご覧ください。

……では答です。

この場所は上野動物園のペンギンの所なのです。つまり、オウサマペンギンのすぐ横あたりにゴイサギがじっとたたずんでいるわけです。私もこれを見た時は驚きました。ゴイサギは1羽ではなく、頭上の木の枝にもいたりして、3〜4羽が常駐しているようなのです。普通に飛ぶこともできるようなので明らかに野鳥です。「なぜ君たちがそこにいるの?」と思ったのですが、その答は簡単でした。彼らはペンギンのエサを横取りしようとねらっているのです。ちなみにすぐ隣はカリフォルニアアシカがいるのですが、そこにはゴイサギはいません。やはり大動物はこわいのでしょうか(アシカは肉食ですしね)。

ところで、このペンギンの所にはこのような鳥もいました。

その時、手元に資料がなかったので「別の種類のサギか?」と思ったのですが、これはゴイサギの幼鳥(若鳥)なのです。鳥の場合、幼鳥の時期は非常に短く(長くても数ヶ月)、体の大きさも羽の色もすぐに成鳥同様になってしまうので、老若の区別は外見からではわかりません。つまり幼鳥の期間は短く、普通繁殖期は夏ですから、私もこれが幼鳥であるはずがないと思い込んでしまったのです。ところが、ゴイサギの場合はこのような色の時期が3年ほど続くという珍しい鳥なのです。

親子でいるということは、このペンギンの所に代々住み着いているのでしょうか? 動物園は飼育動物のいる場所ですが、木々や水辺も多くあり、野生動物にとっても住みやすい環境と言えます。先日、上野動物園、多摩動物公園に行ってきたのですが、カルガモやマガモやオシドリが住み着いているのも目撃できました。動物園では日本にいない珍しい動物を楽しむのもいいのですが、このように野鳥を非常に接近して観察することもできます。今度動物園にいく機会があればこんな鳥たちにも注目してみてください。


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