Vol. 42(2000/4/23)

[今日の事件]噴火の町のペットたち

災害時のペット対策

[ON THE NEWS]
3月31日、北海道・有珠山が噴火した。周辺住民は避難したが、ペットを家に置いたままにした家も多かった。また、ペット連れで避難したものの、避難所生活の配慮などから一緒に生活することが難しくなったりする例もある。そのためにペット専用の避難所を設ける動きもでてきた。

4月8日、朝日新聞(東京版)夕刊より
道の調査では、虻田町、壮瞥町の避難区域内に犬約200匹、猫約150匹が残っていることがわかった。
4日、北海道警察は、虻田町の立入禁止区域に警官6人を派遣、犬や猫にペットフードを与えた。その後は噴火の活発化でこのような活動はできなくなった。

4月14日、朝日新聞(東京版)夕刊より
虻田町では、2階建ての小屋を業者から借り、犬40匹、猫10匹、ハムスターやインコなどを収用する予定。
伊達市では、北海道獣医師会によってプレハブのペット救護センターが設置された。犬、猫、小鳥など計約120匹が預けられている。

[EXPLANATION]
地震にしろ火山噴火にしろ、まず最優先されるのは人命です。その時、ペットはどうなっているのか? 当然ながら、それが報道されるのは避難生活が一段落してからということになってしまいます。有珠山の現場の状況は、残念ながら私にはわかりませんので、今回は一般論として災害時のペットについて気をつけたいことを書くことにします。

・ペットは連れていきましょう
今回の避難で意外だったのは、ペットを残してきた家が多いということです。避難所は多くの人が集まるし、動物を飼えるスペースがあるかどうかもわかりませんので、遠慮した方が多かったのでしょうか。避難も一時的だと思った方も多かったのでしょうか。
しかし、避難はいつまで続くかわかりませんので、ペットはぜひ連れていくようにしてください。避難所でのペットの扱いは、その現場の指示に従わなければなりませんが、ペットを飼う家もかなり多いはずなので、行政当局もそれなりの対応をしてくれると思います。もし、行政側の対応が期待できないような場合は、ペットを飼っている方々で相談・協力して解決策を探ってみるようにしましょう。
今回の避難では犬の鎖をはずして避難された方もいるようですが、そのようなことをしては野犬化してしまうおそれもあり、勧められることではありません。
(とは言っても、水槽設備が必要な熱帯魚などは一緒に持っていけるようなものではありません。きっぱりとあきらめる覚悟が必要になる場面もあるでしょう。)

・ペットフードも災害時のための用意を
神戸での地震などの経験から災害に備えて緊急物資を家庭に備えている方もいるかもしれませんが、ペットの食糧も忘れずに準備しておいてください。これは意外と忘れられていることかもしれません。

・救援物資にペットフードも
大災害時には各地からいろいろな救援物資が届けられますが、人間向けの物資は当然として、余裕があるようならペット向けの食糧なども送ってあげてください。

・動物が嫌いな人もいます
避難所生活ではペットの居場所の確保も難しいものです。体育館のような所で大勢の人たちが生活している場合、ペットは必ずしも歓迎される存在ではありません。うるさい、におう、あるいは犬嫌い・猫嫌いの人も少なからずいます。避難所生活ではストレスもたまりがちなので、ささいなことでも喧嘩になりかねません。ペットと生活をする場合は、周囲の了解は必要ですし、飼う方にも相当の配慮が必要になります。一緒に暮らすのが困難と思われる場合は、ペット向けの収用施設に一時預かってもらうことを検討してください。

・ペット専用の収用施設設置も忘れずに!
今回の噴火ではペット専用の収用施設も設置されたようですが、やや出遅れている例もあるようです。それでもこういう施設ができているということは非常にありがたいことです。
行政側も人命優先であることは当然ですが、ペットにも配慮することを忘れてほしくありません。できれば、災害時の避難計画にペットの扱いのことも明記しておくようにしていただければと思います。

今回の話は、災害に遭遇した場合にもペットのことを忘れないでほしい、という注意を喚起するために書きました。実際に災害が発生した時に、ここに書いてあることを思い出していただければ幸いです。


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