Vol. 109(2001/11/4)

[今日の勉強]動物食と植物食 その3

哺乳類以外の動物は?

前回までで「動物食」「植物食」「雑食」について説明してきましたが、これらは哺乳類についての話でした。それでは他の動物の場合はどのようになっているのでしょうか。今回はそれをみていきましょう。

動物食というとライオンのような大型哺乳類が代表のように思われるかもしれませんが、もっと徹底した動物食の動物がこの世には多くいます。それは例えば、ヘビ(爬虫類)とカエル(両生類)です。ヘビもカエルも獲物をかまずに丸のみしてしまうのですから。最近はヘビをペットとして飼う人もいるようですが、その場合のエサはだいたいハツカネズミとなります。問題はそのハツカネズミの供給です。近所に爬虫類を得意としているペット屋があればいいのですが、必ずしもそうはいきません。となると、自分でハツカネズミを飼育・繁殖させるしかありません。ヘビはそう大食いではありませんが、ストックは常に必要ですので、きちんと飼育しなければなりません。そうなると、ヘビを飼っているのかネズミを飼っているのかわからなくなるという、おもしろ悲しい事態になってしまうのです。ネズミの肉あるいは死体でもいいのではないかと思われるかもしれませんが、ヘビは(そしてカエルも)生きた動物しか食べないのです。動物園のように大蛇や毒ヘビを飼っているところではさすがに生きている動物を与えるのは危険を伴いますので、殺したばかりの新鮮な死体でも食べるように慣らしているそうです。
爬虫類や両生類が全部動物食かというとそういうことはなく、トカゲやカメの多くは雑食ですし、ガラパゴスゾウガメは植物食です。

鳥の場合はどうでしょうか。動物食の鳥は多くいます。ワシ、タカ、フクロウ、カモメ、ペリカン、ウ、サギ、カイツブリ、ペンギンなどなど。魚を食べるため、海鳥はたいてい動物食です。植物食の方はどうでしょうか。これが不思議なことに、純粋な植物食の鳥は少ないようです。ハト類(主に果実食)、ハチドリ類(花の蜜)ぐらいでしょうか(ハトも雑食かも)。ツル類は植物食のように見えますが雑食です。ツルの長いくちばしはもともと小動物の捕獲に適しているものです(サギ類のように、長いくちばしの鳥はほとんど動物食)。が、なんらかの理由で雑食に移行していったものと思われます。カモ類は植物食に見えますが、海にいるカモには潜って貝などを食べる種類もいます。また、アイガモを調べてみると小型昆虫もよく食べているようで、雑食なのです(害虫も食べてくれるからこそアイガモ稲作農業が成立するのです)。稲作の天敵のように言われるスズメも雑食です。スズメを退治したら害虫が大発生してかえって不作になったという話を聞いたことがあります。魚を捕らない陸鳥、特に小型の鳥はほとんど雑食なのではないかと思われます。

このように見てみると、植物食というのはかなり特殊な食性だといえると思います。植物食は消化器官内で発酵をするという特別な機構が必要となるため、どんな動物にも可能なものではないのです。

ところで、この他の無脊椎動物の食性はどうなっているのでしょうか。無脊椎動物はあまりにも種類が多いので、ここでは昆虫にしぼって考えてみましょう。
昆虫の中でも特殊なのは、花の蜜を吸うチョウと、樹液を吸うセミです。これらは細長い管状の口を持つため、液体以外のものを食べることはできません。これまた究極の偏食なのです。それでも生存できるということは、体内の微生物が栄養を作り出す仕組みを持っているのだろうと推測せざるをえません。手元に資料がないのではっきりとはわからないのですが、動物の持つ消化器官の仕組みというものは思ったよりも多彩で複雑なもののようです。

消化器官の事まで考えなくても、動物が何を食べているかを知っていると観察にはとても役立ちます。というのも、動物がよく来る場所というのは食べ物がある場所である、という場合が多いからです。そういう所を探してみると、お目当ての動物を発見できた、ということはよくあることです。
動物の食性を知ることは動物をより理解できるということです。自然観察や動物園へ行く機会があれば、そういう観点から動物を見てみるとより楽しめるのではないでしょうか。


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