Vol. 136(2002/7/21)

[今日の観察]カエルとトンボの近い関係

まずはクイズです。
カエルとトンボの共通点は何でしょう?

とんちクイズではない、真面目なクイズです。ちょっと考えてみてください。

さて、どれだけの方が答えられたでしょうか?
カエルは両生類、トンボは昆虫。分類や形態には共通点はありません。
答えは、「子どもの頃に水中生活をする」です。
カエルの子ども(幼生)は「オタマジャクシ」、トンボの子ども(幼虫)は「ヤゴ」で、どちらも水中でエラ呼吸しながら生活します。そして大人(成体または成虫)になると水場を離れます。

もうちょっと具体的に見ていきましょう。
カエルの卵は乾燥に弱く、水分が常に必要となります。爬虫類や鳥類の卵は固い殻を持っていますが、カエルなど両生類の卵には殻がないからです。ただし、カエルには非常にさまざまな種類があり、地面に穴を掘って産卵する種類や倒木の下など湿った場所に産卵する種類もいます。
幼生であるオタマジャクシはエラ呼吸なので、やはり水中でなければ生きていけません。
おとな(成体)になると肺呼吸に切り替わりますので、水の必要性は少なくなります。トノサマガエルのように水田に住みつくている種類を見ると、成体になってからも水が必要なように思えますが、アカガエルやヒキガエルは水場からかなり離れた所でも見つけることができます。

トンボの卵は水中に産み落とされます。
幼虫であるヤゴは、やはりエラ呼吸であるため水中生活するしかありません。
成体になるとカエル同様に水場から離れた生活も可能になります。アキアカネのように暑い夏を山の上で過ごす種類がいます。一方で、シオカラトンボのように水辺からあまり離れない種類もいます。

カエルとトンボの子どもが同じような環境で育つ、ということからは次のような推測ができます。

「オタマジャクシがいるならヤゴもいるだろう。ヤゴがいるならオタマジャクシもいるだろう。」

この法則はたいていの場合にあてはまります。ここからさらに推測を広げると、

「カエルがいるならトンボもいるだろう。トンボがいるならカエルもいるだろう。」

ということも言えるでしょう。ただし、カエルの成体、トンボの成虫には水場を離れる種類もいるので、慎重に判断しなければなりません。
それを前提にしても、カエルがいる所にはトンボもいる、という法則はだいたい成り立つようです。一方その逆の、トンボがいる所にはカエルもいる、という法則は、都会では成り立たないこともあるように思えます。もっとも、私がカエルを発見できていないというだけのことかもしれません。アズマヒキガエルならばちょっとした水場でも繁殖することができそうです。

カエルとトンボを探すということは、水場を探すということでもあります。水場はカエルやトンボの他にも魚や昆虫などを育てる場所でもあり、鳥などが集まってくる場所でもあります。水場があるということは、生物も存在するということです。水場、そしてそこに住む動物は自然観察では欠かせないポイントなのです。


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