Vol. 244(2004/11/7)

[今日の事件]動物事件学への招待

その2 より現実的な分類方法

前回は「マスコミ式分類」について紹介しましたが、これには分布に偏りが出てしまうという欠点があることも指摘しました。今回は、私自身が採用している、より実用的な分類方法を紹介してみようと思います。

まず、私の分類法の場合、

「野生動物」「飼育動物」「動物事件」「その他」「特別な項目」

の5つの大項目に分類します。まず、「野生動物」「飼育動物」という分類をする理由は、動物事件の場合は法律的な面からも、人間との関係性の面からもこう分類する方が理にかなっているからです。

「野生動物」は人間の管理下にない動物について扱います。
「飼育動物」は人間の管理下にある動物、特にペット動物について扱います。
「動物事件」は狭義の動物事件、つまり法律に直接かかわる事件を扱います。
「その他」は以上に分類されない項目です。
「特別な項目」は記事(報道)が特に集中するために別項目にして扱うものです。

次はそれぞれの大項目内の細分類を見てみます。


●野生動物

哺乳類
海棲哺乳類
鳥類
爬虫類・両生類
淡水魚・淡水環境
海水魚・海水環境
昆虫、陸上無脊椎動物

動物は以上の分類でほぼすべて網羅できます。「昆虫、陸上無脊椎動物」などはおおざっぱな印象を受けるかもしれませんが、記事数がそもそもとても少ないため、これ以上の細分はあまり意味がありません。
魚類をひとまとめにせず「淡水・海水」で分け、しかも他のものといっしょにしたのも理由があってのことです。水環境を考えた場合、淡水と海水ははっきりと違う領域であるのは間違いありません。魚だけでなく、そこにすむ動物全般を淡水・海水にわけてくくった方がわかりやすくなるのです。この分類の場合、サンゴやエチゼンクラゲは「海水魚・海水環境」に、コイヘルペスは「淡水魚・淡水環境」となるわけです。
また、「海棲哺乳類」=クジラ、アシカ・アザラシを特別に扱っているのも、これらが独特のジャンルを築いているからです。

サル
カラス
クマ
ネズミ
シカ
脱走動物・移入動物

これらは特に「事件」になりやすい動物であるため、各項目を割り当てています。見ればわかるように、これらは「害獣」として扱われる動物たちです。「脱走動物・移入動物」は、脱走したアライグマ、イグアナ、ワニといった事件を扱います。これらはたいてい元々日本にはいない移入動物でもあります。


●飼育動物

ペット
働く動物
動物園水族館
動物愛護

飼育動物の中心になるのは当然のことながら「ペット」です。これをさらに「イヌ」「ネコ」「ハムスター」…と細分してもいいのですが、複数にまたがる事件も多いためまとめて扱っています。
「働く動物」とは、盲導犬、警察犬に代表される、人間とともに活動する飼育動物のことです。
「動物園水族館」は文字通りの意味です。私の読んでいる朝日新聞東京版は、意外に上野動物園の記事が多いのです。
「動物愛護」は「動物愛護法」関連の項目です。法律そのものについて、あるいは虐待事件が含まれます。これは次の大項目「動物事件」に含めてもよさそうですが、動物愛護法が対象とするのは飼育動物であるためこちらに分類しています。


●動物事件

密輸密売
動物事件事故

狭義の動物事件、つまり法的にかかわりのある事項です。「密輸密売」はワシントン条約関係、「動物事件事故」はその他の事件を分類しています。事件性のある記事は、上記の動物愛護法関係以外はすべてこれらの項目に含めています。


●その他

環境問題一般
古生物
感染症・害虫
遺伝子・クローン
伝承
海外

これまでの項目には含まれにくい事項です。「環境問題一般」は諌早湾問題や環境問題など、生態系に関する項目です。「古生物」は恐竜だけに限らず、古生物全般を含みます。「伝承」はカッパやツチノコなどの伝承動物のことです。「海外」は海外の記事を野生動物も飼育動物もまとめています。


●特別な項目

鳥インフルエンザ
SARS

動物事件では特定の事項に記事が集中することがあります。「鳥インフルエンザ」「SARS」は最近特に記事が多い事項です。鳥インフルエンザは、京都の養鶏場で感染した事件が大騒ぎになったため、今年1〜6月の間に朝日新聞東京版だけで297件もの記事がありました。これは動物事件としては異例の多さです。少し前なら「タマちゃん」もこの特別な項目に含まれていたでしょう。


以上が私の分類法です。この分類では記事が適度に分散し、後から記事を探しやすいという利点があります。こうして分類してみると、マスコミに登場する動物事件の種類がどのようなものか、よりわかりやすいのではないかと思います。もし、私と同じように新聞記事をスクラップしているような方は、この分類法を参考にしてみてください。
この分類法をすべて覚えるのは大変でしょうが、大分類だけでも頭に入れておけば、新聞などで動物事件が載った場合に「これはこういう種類のものだ」と頭に入りやすくなるのではないでしょうか。そして動物事件への興味もより深くなるでしょう。


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