Vol. 364(2007/6/3)

[今日のカラス]東京カラス問題2007

さて、またカラスの季節がやってきました。
東京都の理不尽なカラス対策は相変わらず続いています。しかも石原都知事が再選され、あと4年もこの状態が続くのは確定です。
それでも都のカラス対策には抗議していかなければなりません。


この1年の都のカラスに関する発表は2月8日のものだけのようです。

内容は例年とあまり変わりのないものです。
今回の数字を並べてみると、
・平成18年度の生息数は16600羽
・捕獲トラップでの捕獲数は平成19年1月末現在15500羽、3月末見込み18000羽
・平成18年度、巣の撤去によって、ヒナ約4200羽、卵約2500個を処分
というものです。

都はカラスの生息数が「ピーク時の半分以下」ということを自慢しているようですが、実態はどうでしょうか。
上の数字を検討すればすぐわかることですが、「生息数よりも捕獲数の方が多いのにカラスは絶滅しない」というミステリーがあります。いや、その答えはわかりきっています。カラスは毎年繁殖していて、その増加分を捕獲しているだけ、ということなのです。確かにやらないよりは効果がある、とは言えます。それは認めましょう。しかし、これを止めた時にどうなるか考えとことがあるのでしょうかね? トラップ捕獲を止めた途端にまたカラスが急増しかねないのではないでしょうか? トラップ捕獲を永遠に続けるつもりなのでしょうか? そんなことよりも私が常々言っているように恒久的なゴミ対策をすることで生息数をコントロールすべきではないでしょうか。
着地点の見えない自然環境対策というのは上策ではありません。

捕獲トラップは有効に機能しているように見えますが、よく見ると効率が低下していることがわかります。まず、捕獲トラップの設置場所が移動しています。どうやら、大きなねぐらにトラップを集中させて、捕獲効率を上げているらしいのです。また、昨年も報告したように捕獲期間が徐々に長くなり、今では通年になっているようなのです。つまり、カラスの捕獲効率が下がっているらしいのです。捕獲数だけ見れば成績を維持しているようですが、実態は無理をして底上げしているのです。


都のカラス対策の最大の問題は、この対策の立案と結果が科学的に検証されていないことです。科学的な疑問点は多々あります。
本当にトラップに効果があるのか? カラスの年齢構成はどう変化したのか? 生息数の調査は本当に正確なのか? 局地的な分布の変化はどうなっているのか? 近隣県での生息・生息変化はどうなっているのか? 生息数の変化には捕獲トラップとゴミ対策とではどちらがどれほど寄与しているのか? ゴミ対策による長期的な効果はどうなのか?…等々。
こういった検証がされなければ、カラス対策が正しかったのか、本当に有効だったのかはわかりません。現在の都のカラス対策はひたすらカラス殺戮を実行しているだけの、知恵も理想もない下策だと私は断言します。

私が提案するカラス対策は、これまでにも述べているように、ゴミの夜間回収です。そして、もうひとつ挙げるならゴミの物理的隔離です。つまり例えば、ゴミをカラスが開けられない強固なボックスの中に入れておけばいいのです。ネットのような軟弱なものでは手ぬるいのです。もっとも、ボックスはにおいがすごいことになるのでこれはこれで大変ですが。毎週水洗いすれば悪臭はなんとかなると思うのですが、やりたがらない人も多いでしょうねえ。
カラス対策というと、撃退グッズの類いは今もいろいろあるようですが、長期的に効果が持続するものはありませんので、期待しすぎるのはよくありません。数週間ごとに別の種類のグッズに取り換えるぐらいのしつこさが必要です。
また、「カラスには中が見えないゴミ袋」というのもありますが、簡単に偽物が出回るようでは評判が落ちるだけですよ…。偽物では効果がないことはテレビなどで報道されている通りです。ちなみに、私が住む杉並区は、ホンモノのカラス対策ゴミ袋が使われているのですが、えー、うちの近所での普及率は非常に少ないのですよ…というか、まず見かけない!(笑)。スーパーに置いてあるのは確認しています。でも誰も(私も)使ってない。おそらく被害が少ない地域だからなのでしょうがね。こういう効果がありそうなグッズでも、導入率が低すぎては効果をどれほど期待できるのでしょうか。これは杉並区独自の対策なのですが、その実行のちぐはぐさには首をひねるばかりです。
本当にカラス対策が大切だと考えるのなら強制的な施策を実行すべきではないこと思うのですが、杉並区はカラス対策よりもレジ袋削減の方が重要だと考えているようです(宣伝量が明らかに違う)。まあ、カラス対策なんてその程度のプライオリティしかないんですよね。住民の注目度も低いので議会での注目度も低く、行政は好き放題に(または、テキトーに)やっている、というのが現在の都のカラス対策です。


少なくともあと4年は続くのが確定した都のカラス対策。この対策は適正なのか、効果があるのか。そして、この対策が終わるとどうなるのか、新たな対策は何か。こういった問題解決のために、私は少しでも考えていかなければならないようです。


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