さて、今年もカラスの季節がやって来ました。
毎年同じようなことを繰り返していますが、今年もやります。
まず、東京都環境局からの2008年度分の報告を見ていただきましょう。
「カラス対策の状況をお知らせします」平成21年5月1日、東京都環境局
主な結果は次のようになります。
・推定生息数は21200頭(前年度より増加)
・捕獲数は12217頭(前年度より増加)
生息数が増加していますが、「区部(23区)では減っている」と書かれています。捕獲トラップは古くなったものの更新が進んでいるようで、今年はさらに増設されるようです。
生息数と捕獲数は都が詳細を公表していないので、発表を額面通り受け取るわけにはいきません。「区部では減っている」とはどの程度なのか、各トラップごとの捕獲数はどれだけなのか、そういったことが明らかにならないと外部の人は分析できません。都がやっていることが適切なのかどうか検証できないのです。
都は何年もカラスを捕まえて殺すことに一生懸命になっていますが、この方法ではもはや限界であることに気づかないようです。生息数の変化を見ればわかるように、現在の方法では生息数をこれ以上劇的に減らすことは無理でしょう。どんなに捕獲トラップを作ったところですべてのカラスがひっかかるわけではありません。やがては自然増と殺処分の均衡状態に移行するはずです。現在はどうやらその均衡に達したのではないでしょうか。おそらく2万羽前後が安定的な生息数だと思われます。
そもそも、「カラスの適正な生息数」などというものは簡単にわかるものではありません。人間が勝手に決定できる数字でもありません。ましてやお役人の一存で決まる数字でもありません。
捕獲トラップが増えることで、来年はまた生息数が減るかもしれません。しかしそれは一時的なもの。すぐにまた均衡状態になってしまうでしょう。
つまり、都のやり方ではこのあたりが限界なのです。もしカラスの数をもっと減らしたいのなら、いや、カラスとうまく共存していくためにはもっと専門家に意見に耳を傾けてください。
カラスについての苦情の減少については昨年書いたので繰り返さないでおきます。これは「都行政の成果」などではありません。
報道資料の中には防鳥かごについて述べられていますが、これは適切な対策でしょう。これまではゴミ袋にネットをかけただけの対策が多かったのですが、ネットぐらいなら多少の重りをつけたところでカラスは簡単にめくってしまいます。より重い防鳥かごなら動かすことも難しいでしょう。同じ意味でゴミボックスも効果があると思われますし、ゴミ置場に鉄製の柵を作ってしまうのも有効でしょう。
こういうことを都が指導していくことこそが有効なカラス対策になるはずです。カラスを殺して仕事をしたつもりになっているようではいけません。そもそも野生動物を殺すことが役人の仕事ではないでしょう。
今回はちょっと短いですが、私の主張が変化したわけではないので同じことを繰り返す必要もありません。早くカラスたちに平穏が戻ることを願うばかりです。