[今日の映画]映画「山形スクリーム」とヒバリのフン
2008年4月、あるメールが届きました。内容は「ヒバリのフンの色と形を教えてほしい」というものでした。話を聞いてみると、映画「山形スクリーム」で「頭の上にヒバリのフンが落ちてくる」というシーンを撮りたいのだということでした。それは専門家に聞いた方がいい、とアドバイスしましたが、私からも簡単に鳥のフンについての解説を返信しておきました。
その映画「山形スクリーム」は2009年夏に公開されました。
「スクリーム」というタイトルからも予想される方が多いでしょうが、一応ホラー映画です。…いや、監督が竹中直人という時点でただのホラー映画ではないことは明らかです。…というか、コメディですよね、これ。
ストーリーは、山形県の山村に行った東京の女子高生たちが、よみがえった平家の落ち武者とゾンビたちに襲われる、というものです。でもコメディです、多分(笑)。
さて、ヒバリのフンですが、映画開始から約19分ほどたったところのシーンで登場します。竹中直人演じる落ち武者(部下)の頭にぺちゃりとフンが…。
以上、たったそれだけの場面です。
鳥のフンを再現するにはどうすればよいか、あらためて考察してみましょう。
鳥は尿(液体)もフン(固体)もいっしょに排泄します。これは排出の出口が「総排泄口」1つしかないためです。ですので以下では特にことわりがなければまとめてフンと呼ぶことにします。
一般論として、鳥のフンは白いものです。これは尿の成分に尿酸が含まれているからです。フン(固体)の方は必ずしも白くはありませんが、白い液体にくるまれてしまうために全体としても白くなってしまうのです。フンをかきわけて観察すれば、白くない部分も見つかるでしょう。
フン全体は場合によっては果実(果物とは限らず木の実一般)の果肉の色に染まることもあります。木の実をよく食べる秋のころには色がついたフンも見られる可能性があります。
尿は液体ですが、ある程度の粘性があるので水のようには垂れません。
フンの固体部分と液体部分をうまく再現できれば、鳥のフンらしく見せることができます。具体的な方法までは私はわかりませんが、小道具係さんが知恵を絞ればきっとできるでしょう。映画「山形スクリーム」でのフンの再現度は十分でした。
問題はフンの量にあるかもしれません。
鳥のフンの量は、実はそれほど多くありません。私たちがよく見るフンは、カラスやヒヨドリなど体が大きい鳥のフンが地面に落ちたものでしょう。これらの鳥のフンは1回あたりの分量も多いのでよく目立つのです。体が大きければ比例してフンも大きくなる、というのが一般的な法則です。
ヒバリのフンは、私は見たことがありませんが、体格から推測すると小さなものでしょう。映画「山形スクリーム」でのヒバリのフンの量はちょっと多いかな、と思います。
しかし、本当にリアルに少量にしてしまうと何が起こったのか観客にわかりにくくなるでしょう。ある程度、量を増やすというのも演出的にはありえる判断です。私も、この「山形スクリーム」のシーンならば量についてはリアリティーにこだわりすぎない方が正解だと思います。
そうそう、この映画、サウンドトラックは私のひいきの栗コーダーカルテットが担当しています。栗コーダーカルテットの作風とあっているのか?!という疑問はありますが大丈夫です。ちなみに栗コーダーカルテットの4名は映画中でも妙な所に登場してきます。それを楽しみに見てみるのもいいでしょう(ただしファン限定)。