[今日のいきもの]東日本大震災・ツバメたちにも家を!
関東地方にツバメが帰ってきました(4月19日、厚木市で確認)。ツバメたちが南から渡ってくる季節になったのです。東北地方の太平洋岸に巣を持っていたツバメたちは今年はびっくりしてしまうでしょう。住んでいた家(巣)がなくなっているどころか、街の風景もまったく変わってしまっているのですから。しかしもたもたしている暇はありません。すぐに産卵と子育てをしなければなりません。
ツバメは人家などの建造物に好んで巣を作ります。東日本大震災の被災地では巣を作る場所として避難所を選ぶ可能性は高いと思われます。また、巣を作る場所は屋根がある場所、つまり雨風が避けられる場所を選びたがります。そのため屋根やひさしがある建物の出入口近くに巣を建築することが多くなります。
ツバメはカラスほどの嫌われ者ではありませんが、巣から落ちるフンが嫌われることは珍しくありません。特に出入口に巣を作られたら確かに迷惑です。怒って巣を壊してしまう人が出てくるかもしれません。
ですが…家(巣)を失ったという意味ではツバメたちも被災者と言えるのではないでしょうか。ぜひツバメたちを暖かく迎え入れてあげてください。
ツバメといっしょに暮らしていく方法はあります。今回はそのヒントを書きます。
(※震災にかかわらず、近年ツバメたちの住宅事情は悪くなる一方です。被災地ではない場所でも参考にしてください。)
まだツバメが到着していないならば、巣の建設場所を誘導することを考えてみましょう。まず、ツバメが巣を作ってもかまわない場所を探します。人があまり来ない軒やひさしなどはないでしょうか。そのすぐ下に板を設置しておきます。大きさは20cm×20cmもあれば十分でしょう。水平にしっかりと固定します。
ツバメが来てほしくない場所には、目の細かいネットを張ったり、板でふさいだりしておきましょう。ただし、ツバメは時々建物の奥の方にも巣を作ることがあるので完全に防御することは難しいです。
もし既にツバメが来てしまい、巣もできあがってしまったら次のような対策をしましょう。
まず、真下に人が立ち入れないようにします。カラーコーンや立て看板などで注意を促します。フンの落ちる場所には新聞紙などを敷いて、汚れたら交換していきます。
あるいは巣の下に大きめの板をぶらさげる・取りつけるなどして、それでフンを受け止める方法もあります。これなら通行の妨げにはならないでしょう。
ツバメについて意外と知られていないこと、そして忘れてはならないことがあります。それは、ツバメは2回産卵する、ということです。最初のヒナが巣立った後、またすぐに同じ場所で産卵します。ヒナが巣立ったからといってすぐに巣を撤去しないでください。
都合の悪い場所に巣が作られてしまった場合、1回目の子育ての後すぐに巣を壊してしまう、という方法もあります。しかし、ツバメは別の場所にまた巣を作らなければならないのでちょっと気の毒です。なるべく巣はそのままにしてあげるようお願いします。もし壊すならば、代わりの場所を近くに用意してあげていただけるとありがたいです。
2回目のヒナが巣立った後は、ツバメはもう戻ってきません。食べ物になる昆虫が多い農地や河原などへ活動場所を移します。ですので巣は撤去してもかまいませんが、巣があっても問題ない場所ならばそのまま残して来年以降も使わせてあげてください。
ツバメは人間と共に生活する動物です(繁殖期だけですが)。ツバメもまた街の住民なのです。帰ってきたツバメたちを見かけたら、「お帰りなさい!」と声をかけてあげてください。