[今日の勉強]蒸散剤の正しい使い方
先日ドラッグストアの店頭を眺めていて「つるすだけ」「置くだけ」型の防虫剤が増えていることに気がつきました。何年か前から増えていたのかもしれませんが、これまではあまりなかったタイプの防虫剤です。
この防虫剤は使い方に注意点がありますので今回はそれを解説します。
このタイプの防虫剤は「蒸散剤」と呼ばれます。樹脂に薬剤成分をしみ込ませてあり、それが徐々に蒸散する仕組みになっています。
(「薬剤」とは殺虫剤や防虫剤などの総称です。以下、「薬剤」という言葉はこの意味で使っています。)
蒸散剤は使い方に注意が必要です。製品の注意書きを見るとたいてい「狭いところでは使わないように」と書かれてあるでしょう。これは、狭い場所かつ密閉度が高い場所では空気中に放出される薬剤成分の濃度が高くなりすぎることがあるためです。人がほとんど入ることがないなら使ってもいいのですが、一般家庭のリビングや台所、寝室など人間が長時間滞在する場所での使用はお勧めできません。オフィスや店舗のような場所でもお勧めできません。
蒸散した薬剤成分は空気中をただよい、食品などに付着することがあります。その量は微量ですが、食品を使用する場所では使用しない方がいいでしょう。食品をむき出しにしているような飲食店や食品庫での使用はやめるべきです。
蒸散剤の製品の使用法にも、風通しのいい場所や玄関や屋外のイラストが描かれていますが、つまりそのような場所に置くのが適切だということです。
また、効果を高めようとして1ヶ所にいくつも置いてはいけません。放出された薬剤成分の濃度が必要以上に高くなるからです。
蒸散剤はどんな昆虫にも効果があるのではありません。買う前に「対象となる害虫」の項目も読んでおくべきです。だいたいの製品はユスリカとチョウバエを対象にしているようです。ユスリカとはカに似た昆虫(血は吸わない)、チョウバエはトイレや風呂場でよく見る逆ハート型の昆虫です(詳細はネット検索で調べてみてください)。ユスリカは屋外の昆虫、チョウバエは主に屋内の昆虫です。メーカーはどういう状況で蒸散剤を使ってもらいたいのか、私にもよくわかりません。しかもチョウバエはトイレや風呂場、台所などでよく見かけます。そういう場所では蒸散剤は使いたくありません。
蒸散剤に限らず、どんな殺虫剤・防虫剤もあらゆる昆虫に効くのではありません。製品によって効きやすい昆虫、効きにくい昆虫というのが必ずあります。蒸散剤も対象昆虫以外には効果はないと思った方がいいでしょう。カやハエ(大型ハエやショウジョウバエなど)対策ならばそれらを対象にしている殺虫剤・防虫剤を選ぶべきです。蒸散剤を使っても期待した効果がないと感じたなら使用を中止した方がいいです。
もうひとつ重要なことがあります。それは、殺虫剤・防虫剤には使用期限が必ずあるということです。それを過ぎると何の効果もありません(害虫に直接噴霧するエアゾール剤や煙を発生させる殺虫剤などは特に使用期限はありませんが、早めに使いきるようにしましょう。)
蒸散剤の場合、製品によって差はありますがだいたい2〜3ヶ月程度が使用期限になっているはずです(製品の使用法に必ず書かれています)。一度設置するとそれだけで安心してしまい、忘れてしまうという人は多いはずです。期限が切れた後の蒸散剤は置物以上の価値もありませんので、定期的に交換する習慣をつけておくようにしましょう。