[今日の勉強]あなたの飼い犬は警察犬になれるか?
最近、マスメディアでは小型犬が警察犬に合格したというニュースが時々取り上げられています。
私のスクラップから探してみると以下の記事が発見できました(いずれも朝日新聞掲載記事によるもので、年月日は新聞掲載日)。
2010年1月19日、和歌山県、ミニチュア・シュナウザー
2011年7月19日、岡山県、柴
2011年11月10日、奈良県、チワワ(ロングコート)、ビーグル
2011年11月29日、鳥取県、トイ・プードル
2012年1月6日、岩手県、ビーグル
2012年2月9日、宮崎県、ミニチュア・シュナウザー
警察犬というと、シェパードやドーベルマンといった獰猛そうなイヌを思い浮かべてしまいますが、小型犬でもなれるものなのでしょうか?
警察犬になれる品種は本来は次の7品種とされています。
ジャーマン・シェパード・ドッグ(通称シェパード)
ドーベルマン・ピンシャー(通称ドーベルマン)
エアデール・テリア
ボクサー
コリー
ラブラドル・レトリーバー
ゴールデン・レトリーバー
いずれも中型犬以上の大きさです。警察犬の活動は長時間になることもありますし、気候の条件がいつもいいとは限りません。そうなるとスタミナがある大柄な品種の方が有利であり、小型犬は不向きなのです。また、「凶悪犯を押さえ込む」とか「貴重品を守る」といったパワーが要求される仕事も小型犬では無理です。
イヌは品種によって正確がはっきりと違うことも重要な点です。上記の7品種は特に人間の指示を的確に理解し、忠実に従うという資質があるからこそ警察犬として認められているのです。
しかし、これらの品種ならどんなイヌでも警察犬になれるかというとそうではなく、中には飼い主の言うことを聞かなかったり、要領が悪いイヌもいたりして警察犬に適さない個体もいます。
それほど大変な警察犬の仕事が小型犬にも勤まるものなのでしょうか? 確かにスタミナとパワーが要求されるハードな仕事は小型犬向きではありません。しかし、限定的な仕事ならば小型犬にも可能性があります。たとえば、犯人や被害者が落としていったものを探したりといったことです。広範囲ではなく、狭い範囲内での捜索なら小型犬でも可能でしょう。
上に挙げた7品種は、別に法律などで定められたものではないので、資質さえあればどんな犬種でも警察犬になれる可能性はあるのです。
ところで、「小型犬が警察犬になった」というニュースでは、普通の一般家庭のイヌが合格しています。警察犬は警察で訓練しているんじゃないの? と疑問に思う方が多いでしょう。
確かに、警察自身も警察犬を飼育し、訓練しています。このような警察犬は「直轄警察犬」といいます。しかし、警察もイヌを大量に飼うわけにはいきません。かといって頭数が少ないと遠くの現場へすばやく派遣することが難しくなってしまいます。そこで、普段は一般家庭で飼育されているイヌを必要な時だけ招集する仕組みが考えられたわけです。これが「嘱託警察犬」です。嘱託警察犬はどんなイヌでもいいということではなく、各都道府県警察の試験に合格したイヌだけが選ばれるのです。
ここで重要なのは、事件が発生した時に呼び出されるのはイヌだけではなく飼い主もセットだということです。そりゃそうです、イヌは飼い主の指示に忠実に従うのですから、他の人間が代理をすることなどできないのです。飼い犬を嘱託警察犬にするということは、飼い主自身もいつでもどこでも捜査に参加しなければならないという覚悟を持たなければなりません。人間だけ楽をすることはできないのです。
それでも飼い犬を警察犬にしたい!というならばきちんとした訓練を(イヌも人間も)受けてください。詳しくは社団法人日本警察犬協会のホームページなどをご覧ください(訓練試験科目一覧)。
試験内容はいろいろありますが、飼い主の指示をきちんと実行できることが最低限の条件になるのは当然です。「待て」とか「伏せ」といった基本中の基本もできないようなイヌでは合格の見込みはまったくありません。
さて、あなたの愛犬は警察犬になれそうでしょうか?