ちょっと遅くなりましたが今年もしつこく東京カラス問題について報告します。
東京都からの発表がないのは昨年同様で、いつの間にかホームページが更新されていました(6月中旬頃はまだ更新されていなかったはず…)。
それによると、平成23年度の結果は次の通りでした。
生息数16600羽(前年比4200羽減)
捕獲数14660羽(前年比2734羽減)
苦情件数413件
生息数は多少の増減はあっても、このところほぼ横ばい状態と言えます。かわりばえのないことを延々と続けているような印象は相変わらずで、やめるきっかけさえ見つからないのでしょう。
苦情件数も当初に比べると大幅に減っています。これは生息数が減少したからではありません。
カラス対策が話題になった当時は、マスメディアでもよく取り上げられました。その結果、カラス問題が存在すること、そして、苦情を申し立てる先が東京都であることも知れ渡ったため、苦情件数も一気に増えたということです。時間がたてばメディアに登場することも少なくなり、カラス問題の存在すら忘れられつつあります。そうなると苦情件数が減るのも当然です。苦情件数は意味がある指標とは言えません。
ところで、カラス関係の資料を探していて、こんなものを見つけました。
「事業評価票・カラス対策事業」
都の仕事について、その内容、結果、課題などをまとめた文書です。上のものはカラス対策事業についてのものですが、おそらくあらゆる事業について同じような文書が作られているのでしょう。
文書を見ていただくと明らかなことですが、どれも文面が似通っていて、本当に真面目に検討したのか疑問を持ってしまいます。まあ、お役所の文書というものはこういうものなのかもしれませんが。
「このカラスの件はどうします?」
「知事が言い出しっぺだから、中止というわけにもいかないよね〜。」
「じゃあ、現状維持、ということにしときますか。」
「そうしましょうそうしましょう。」
「んじゃ、次の事業評価表へ移ります。」
といったやりとりがあったのではないかと想像してしまいます。
事業の結果を科学的に評価することもなく、何か新しい方策を考えだすわけでもなく、惰性で続けているだけだということがよくわかる文書です。与えられた仕事をその通りに実行する、というのはいかにもお役所らしい、とほめるべきなのかもしれませんがね。
事業というものは、行政であろうと企業であろうと目標を定めてそれを達成することが最重要のはずです。目標通りにならないのなら、その方法はやめてしまうべきなのではないでしょうか。そして新たな方策を探るべきです。東京都のカラス対策はそのような作戦の修正さえできないほど硬直した状態になってしまっていると言えます。