Vol. 564(2013/6/16)

[今日の事件]残り物には虫がわく

2013年4月23日、朝日新聞(東京版)にこういう記事が掲載されました。
ある母子がお好み焼きを食べたところアレルギー症状が出ました。お好み焼きの粉を調べたところ、1グラム あたり22800頭のヒョウヒダニが見つかり、これが原因だとわかりました。この粉は開封された後、常温で保存され、賞味期限から2年以上過ぎていたとのことです。
ダニアレルギーはダニの死がいやフンでも引き起こされますが、加熱してもアレルギー症状は出るそうです。

放置した食品・食材で昆虫類が繁殖するというのは実はそれほど珍しいことではありません。あまり問題化しないのは、繁殖する前に使いきってしまうことがほとんどだからです。
ダニの場合は小さすぎて肉眼では確認できませんが、目に見える大きさの昆虫も繁殖します。
例えばシバンムシです。タバコシバンムシ、ジンサンシバンムシといった種類が代表的です。タバコもジンサン(朝鮮ニンジンのこと)という名前からもわかるように、乾燥食品を特に好みます。動物性でも植物性でも食べますので安心できません。お菓子、乾燥麺、小麦粉などの粉類などなど台所にありそうな食品・食材は狙われやすいです。また、ドライフラワーや畳までも食べることがあります。

最近はそばを打つことを趣味にしている人が増えているという話も聞きますが、そば粉がある場所でよく見かけるのはヒラタムシという昆虫です。ヒラタムシは名前からすると平べったい姿のように思えますが、実際は極端に平べったいということはありません。ただ、ヒラタムシはとても小さく(よく知られたノコギリヒラタムシは体長約3mm)、隙間に簡単に入り込むことができます。
ヒラタムシは床にこぼれてたまった粉でも繁殖するほどです。こういうことは飲食店でも容易にありうることで、掃除をきちんとする必要があります。ヒラタムシは粉類やお菓子を主に食べますが、ヒマワリの種の中に潜り込む種類もいます。小動物のエサとしてヒマワリの種を袋で買う方もいるでしょうが、そのヒマワリの種をひとつかみ取り出してひとつひとつ表裏をじっくり調べてみてください。小さな穴が開いている種が必ずいくつか見つかるはずです。これは中にヒラタムシが入り込んでいる証拠です(詳しく解説した文献はないが、成虫が穴を開け中に卵を産みつけているのではないかと思われる)。

食品・食材を好む昆虫は他にもいます。「貯穀害虫」「食品害虫」といった言葉でネット検索してみてください。

こういった害虫の対策は、とにかく開封後は早く使いきることです。食べられる前に食べる!というのが当たり前かつ最善の対策なのです。
もし長期間保管せざるをえない場合は、タッパーなど密閉できる容器に入れましょう。輪ゴムや洗濯ばさみで口をふさぐぐらいでは対策にはなりません。さらに、容器ごと冷蔵庫で保管するのもベターですが、冷蔵庫が満杯になりそうな時には難しいかもしれません。
また、当然のことですが賞味期限、消費期限を大幅に超過したような食品・食材はきっぱり廃棄しましょう。モッタイナイとか言っている場合ではないのです。


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