Vol. 599(2019/2/24)

[今日のカラス]東京カラス問題2018

またまた遅くなりましたが毎年恒例の東京カラス問題についてです。

都知事はオリンピック・パラリンピックと築地市場に夢中なようで、カラス行政は相変わらず今年も通常運転です。
都は事業の見直しとやらはやっているようですが、カラス行政に変化があったようには見えません。なんだかんだ言っても都はお金持ちなのでこの程度のことは問題視されないということでしょうか。
オリンピック・パラリンピックが大赤字になって、慌ててカラス行政を打ち切る、ということもありうるような気がします。

2017年度の東京都のカラス対策の結果は下記のホームページに、いつものように掲載されています。
生息数等の推移(取組状況)|東京都環境局 緑の創出と自然環境の保全

概要は
「・都内における生息数は、前年度に較べ100羽減少
・カラスの捕獲数は、前年度に較べ約1,380羽減少
・都庁によせられたカラスに関する相談等件数は、14年度比約94%減」
とのことです。

グラフに示された数字は、
生息数は8600羽
捕獲数は7051羽
苦情相談件数は227件
となっています。

そろそろ費用対効果が減少してくる段階に入りつつあるのではないかと思われます。
同じことをずっと続けるのではなく、うまく終了することを考えるべき頃合いではないでしょうか。ある日突然カラス対策を打ち切ったらどうなるのか私にも予想できません。
カラスの捕獲は徐々に減らし、ゴミ出し対策などに重点を移していく…という戦略が必要になるはずです。ですが都がそこまで考えているようには見えません。


ここで別のカラスの話題を。
東京都ではありませんが千葉県市川市でカラス被害防止条例が定められました。

市川市 カラス被害防止条例が施行されました

正確には「市川市民が安全で安心して快適に生活することができる環境の向上のためのカラス被害の防止等に関する条例」という長い名前です。
条例の全文は市川市のホームページから検索できます。

市川市例規集(千葉県)

文字入力ボックスに「カラス」と入力して「目次内検索」をクリックすると条例と施行規則へのリンクが表示されます。

主な対策内容は
・ごみの適正な排出
・集合住宅ごみ集積場所の管理
・カラスへの餌やり等の禁止
です。
市民の行動が不十分・不適切だったとしても罰則はありません。助言、支援、指導、勧告にとどめてあります。
この程度のことで罰則などが発生するのはやりすぎです。なんでもかんでも法律で押さえつければいいというものではありません。

普通、カラス対策のようなものは行政側が行うものなのですが、市川市では行政のやり方では不十分と思われたようで、市議会議員によってこの条例が発議されました。
東京都議会に比べれば頼もしく見えてしまいます。都議会はいったい何をやっているのだ?

この条例には「カラスを殺処分する」という内容はありません。そうではなく住民ができる対策を後押しするものです。「殺せば解決」という東京都に比べれば非常にまともな内容です。


話はかわりますが、条例本文は普通にネット検索してもまず見つかりません。ネットが発達した現在でこの状況というのは不思議なことです。
これは条例本文がデータベースのシステム内にしかないためにネット検索システムからは見えない状態になっているからです。
ちなみに国の法令は「e-Gov法令検索」が普通にネット検索できますので問題はありません。

各自治体の条例は市川市のようにホームページ内の「例規集」から検索できるようになっているのが普通です。
あるいは「条例Webアーカイブデータベース」というものもあります。 ただし、すぐに反映されるわけではなく、市川市のカラス条例はまだ掲載されていません。(他にも条例検索のサイトがあります。)

条例はすべての人に公開されていなければならない情報です。 その条例がネット検索で見つからない、というのはおかしな話です。この状態が変だということに誰も気付かないのでしょうか。
いつ改善されるのか、こっそり見守っていこうかと思います。


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