「動物の見つけ方、教えます! 都会の自然観察入門」 文・イラスト・写真:宮本拓海
監修:佐々木洋
発行:数研出版
価格:1365円(税込) ISBN4-410-13809-X
概要 第1章 帰ってきた動物たち
代々木公園の噴水池に現れたカワセミ。都会のど真ん中にも動物はいるのです。この章では陸鳥を中心に解説します。第2章 自由研究の「虫」
観察がしやすい昆虫の話。トンボ、セミの羽化、チョウ、テントウムシを取り上げています。第3章 定点観察のすすめ
某公園でのカイツブリの1年を追ってみました。カモなども紹介しています。第4章 見えない動物を見る
東京都世田谷区某所に現れたタヌキ一家! 状況証拠を積み重ねていくと23区内に1000頭以上のタヌキが生息しているのは確実なのです。他にも都会の哺乳類を紹介しています。第5章 いきもの事件簿
東京カラス問題とタマちゃん騒動を独自の視点で分析します。第6章 デジカメで撮る動物の世界
動物写真の基礎を紹介します。最終章 都会の森 青空対談
監修者の佐々木洋氏と新宿御苑で対談しました。巻末付録 都会を代表する66の動物たち
イラスト付きで66種の動物を簡単に解説します。鳥、哺乳類、爬虫類、両生類、昆虫の主な種類を網羅しました。この文章を書いている時点ではまだ店頭に並んでいる所は見ていないんですが(大きな本屋に行ってないから)、ネット書店には並んでますし、新聞にも載ったし、ラジオにも(電話で)出演しましたんで、さっさと紹介しちゃいましょう。
またのタイトルは「東京動物探検記」
本書は私の初単行本です。ぱちぱちぱちぱちぱち(拍手)。
やっと出せましたよ。
本書の内容は、この「いきもの通信」の総まとめではありません。もちろん、「いきもの通信」で書いたことと重なる部分もあります。ただ、「いきもの通信」はその時々の途中経過報告的なものになりがちで、今回はそれを整理してまとめた内容にしてあります。
また、「いきもの通信」でこれまでわざと取り上げなかった内容ももりこんでいます。例えば、「セミの羽化の観察」とか、「タヌキ探索の詳細」という話題です。「ニコテン」は執筆直前に発見したネタで、「いきもの通信」に書く暇が無かった、というものです(「ニコテン」の意味は本書を読んで確認してください)。この本のタイトルは、当初は「東京動物探検記」のつもりでした(私としては)。ところが、出版社的には「東京」という地域限定名称が入ると全国的に売れなくなる、という問題があり、そのためこのタイトルはあきらめざるを得ませんでした。本書を実際に読んでみると、「東京動物探検記」というタイトルだとしても問題ないことがわかるはずです(笑)。
で、あーでもないこーでもない、と編集担当「うー君」(仮名)と頭をひねった末に決まったのが「動物の見つけ方、教えます!」というタイトルだったのでした。その時、本文はとっくに書いてしまっていたのですが、正式タイトルに合わせて文章の追加や修正をしました。まあ、ある程度の推敲はもともと必要だったので、それほど面倒な作業ではありませんでした。自然観察はクールでミステリーでアドベンチャーでハードボイルド
本書は、自然観察、都市動物といったことがテーマになっています。が、「自然にいやされる体験」とか「動物との感動のふれあい」なんてものを期待してはいけません。
実際、本初の中では「かわいい」という言葉は1ヶ所だけしか使っていませんし、「癒し」とか「感動」とか「なごみ」とかいう言葉も使ってません(「感動」は小泉首相のコメントとして引用しただけ)。
編集担当うー君(仮名)は最初「いやし」とか「なごみ」とかそういうものを期待していたようなのですが、私はそういう要素を一切切り捨てた原稿を書いたのです。では、その完成した原稿がつまらないものかというと、そうではありません。クールに自然を見つめ、時にはミステリー仕立、そしてまたある時は新発見に打ち震えるアドベンチャーありのハードボイルド(笑)な内容になっているのです。この原稿を読んで、編集担当うー君(仮名)も納得してくれました(はずです)。
自然観察というのは甘っちょろいもんじゃないのです。文章もイラストも写真も全部担当
この本では、文章だけでなく、写真もイラストも私が担当しています。「文と写真」あるいは「文と絵」というのはそれほど珍しくはありません(写真集とか絵本とかがあります)が、これら3つを全部一人でやるというのはかなり珍しいはずです。しかも、どれも気合いを入れていて、手抜きはしていません! 表紙も当然、私が描いたものです。
ただし、対談の章の写真は自分で撮れないので編集担当うー君(仮名)が撮影しています。また、プロフィールの佐々木氏の顔写真は佐々木洋事務所提供です。ま、これは当然のことですね。写真は以前から撮っておいたストックばかりですが、このストックはイラストの資料としても役に立ちました。特に、カモ類の複雑な羽毛の模様を確認するにはいろいろな方向から撮った写真が必要です。本書の第6章でも紹介していますが、上から撮ったり、正面から撮ったり、後ろから撮ったりという普通は撮らないような写真の方が資料としての価値が高いのです。また、トンボはもともとイラストの資料にするために撮ってきたということもあって、イラスト作業もかなり楽でした。
写真とイラストはそれぞれ別の種類の「アート」なのですが、私にとってはこのように密接な関係にあるものです。文章・イラスト・写真を全部ひとりでやる、ということは私にとってはそれほど不自然なことではないのです。超スピード執筆
本書執筆時の資料を調べ直してみますと、最初のプロットを編集担当うー君(仮名)に渡したのが12月上旬です。そして、すべての作業が終わる「校了」が2月末。なんと、たった3ヶ月で本1冊ができあがった、という超スピード作業なのです(その前に1年以上もうだうだやっていたことはここだけの秘密だ!)。単行本で3ヶ月というのはかなり早い方です。しかも、文章だけでなく、多量のイラストも描き下ろしなんですよ! 写真はほとんど過去のストックで補えたのであまり苦労はしていません。
文章は、実はわずか1週間で書きました。本書の企画が正式決定したのが年末の仕事納めの日(おいおい)。それから1週間で書き上げたのです。編集担当うー君(仮名)にとっては、正月休み前に原稿を依頼して、休みが明けると原稿が完成していた!ということになるわけですから、私は手がかからない、なんともありがたい執筆者、というわけなのですよ、えへへん(^_^)(爆)。その1週間はずーっと執筆をしていたわけなんですが、大みそかの夜にテレビを見ながら「ボブ・サップにのされてリングにべったりはりついた曙はベルツノガエルに似ているな〜」と思うぐらいの余裕はありました。1週間で書いたといっても、その後大小の追加や修正をやってますんで、総計では3週間分ぐらいになるでしょうか。今回は新たに取材することがなかったので短時間ですんだと言えるでしょう。
意外と簡単にすんだ文章とは違い、イラストの方はまるまる2ヶ月もかかりました。カラーイラストは動物全66種ですが、カモやトンボはオス・メス両方描かねばなりませんのでのべ79種描いたことになります。よって、1日1種以上のペースで描かねばならないことになります。さらに表紙イラストや本文中の説明イラストも描き、1万枚以上ある写真ストックからのチョイスとか原稿の追加修正とかもやりながらですので、かなりきつい分量です。スケジュール的にかなり危ないということは最初からわかっていましたので、企画が承認される前からイラスト作業を先行してやらねばならなかったほどです。イラスト作業が無かったら、もっと早く本はできていたでしょうねえ。
幸運だったのは、今年は花粉が全然飛ばなかったことです。例年なら2月上旬あたりから鼻水だ〜らだらになるのですが、今年はまったく大丈夫! マスクすら必要ありません。花粉症の症状が出るとペースダウンは避けられないところでしたので、本当に運が良かったです。こうして、超ハイスピードで本は完成したのですが、いつでもこのペースで仕事ができるわけではありませんのでご了承ください。
なぜトンボのイラストは右向きなのか?
動物イラストは類似種を比較しやすいようにすべて左向きで描いてあります。ところが、なぜかトンボだけは右向きです。その理由は、ようするに単なるミスなんです。
自分で撮ったトンボの写真はすべて右向き、イラストもそれに合わせて右向きで描きました。本当は、完成したイラストを後で左右反転するつもりでした。ところがトンボは校了直前に一番最後に描いたイラスト。あわてていてうっかり向きを反転するのを忘れてしまったのでした(しかも徹夜続きでふらふらだったし)。編集担当うー君(仮名)も気がつかなかったみたいです。いやはや失敗失敗。
しかも、このトンボのイラストには他にもミスがあるのです。でも、見てもまずわからないでしょうし、本質的なミスではないのでこのまま秘密にしておくことにしましょう。井筒監督大絶賛!?
ところで、昨日(3/27)はラジオ番組に電話インタビュー出演したんですが(ニッポン放送「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」)、井筒和幸監督はこの本のイラストを絶賛していました。って書いてもいい?書いてもいい? でもホントにベタほめでしたよ。
井筒監督は「辛口評論家」として有名なんだそうで、番組の担当さんも「テレビで見るほどこわい方ではありません」とか念を押していたし、編集担当うー君(仮名)も「監督は辛口ですよ…」となんとなく不安そうな口調でした。私はそんなことは全然知りませんでした(^_^;)(映画「のど自慢」をビデオで見たことがあるぐらいしか知らない)。
その監督が絶賛なんですから、このことはもっと自慢していいんですかね? どうですか、編集担当うー君(仮名)?
というわけで、まだお読みになっていない方はぜひ読んでみてください。
そして、動物ネタはいくらでもありますので、「いきもの通信」はまだまだ続きますし、本もどんどん出していきたいです(なので仕事ください〜(T_T))。
訂正 ・見返しカラーイラストで、ハクセキレイの尾が切れてしまっています。実際はもうちょっと尾が長いのでご注意ください。p190の白黒イラストが正しい姿です。
・p183上段4行目 誤「ヒカンザクラ」→正「カンザクラ」
白っぽい花だったのでヒカンザクラ(カンヒザクラ)ではありません。時期的にもヒカンザクラには早過ぎです。・p167 イラストで三脚の脚の1本の先端が変な風になっています。正しいデータを納入したのになあ…。
・p37最後の行 誤「トンボはどんなに小さくても3センチメートルはあります」→正「トンボはどんなに小さくても2センチメートルはあります」
正確には、体長1.6cmほどのトンボが何種類かいるそうで、日本のハッチョウトンボもその1つです。ただ、国内の種はハッチョウトンボ以外は3cm以上はあるので元の文章でもそう間違ってはいません。昆虫全体で見ても、やはりトンボは大型の方に属します。・p117コラム中段6行目 誤「人間が襲われることはありません」→正「人間が襲われることはほとんどありません」
2004年4月、ブラジルでチスイコウモリ類から狂犬病をうつされ、13人が死亡したという事件が報道されました。この事件のような大被害は珍しいのですが、同様のことはこれまでにもまれに発生していたようです。
・イーエスブックス、4月第4週に「アウトドア」で第1位、「趣味」で第46位でした。また、「みんなの書店」で取り上げられていました(点数低いけど…)。
・3月24日 読売新聞(東京23区版のみ)で紹介されました。→記事
・3月27日ニッポン放送(ラジオ)「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」に
電話インタビュー出演しました。井筒監督も絶賛! →番組の紹介ページ