Vol. 77(2001/2/18)

[動物写真を撮る]ぼけない・ぶれない撮影方法

動物写真で最も重要なのは、ぼけた写真、ぶれた写真を撮らないことに尽きます。このことは写真一般でもあてはまることなのですが、動物写真は記録性も同時に持つことになりますので、鮮明な写真であるほど価値があると考えていいでしょう。では、いかにしてぼけない・ぶれない写真を撮るのか、その方法を紹介しましょう。

シャッター速度を速くする

動物の写真を撮る時に非常にやっかいなのが、「動物は極めて高速に動作することがある」ということです。例えば、キジバトがエサを探してつつく動作、チョウのはばたき…シャッター速度が遅いと、被写体が流れてしまって、ピンボケのようになってしまいます。こうなると、シャッター速度は初めから速い数値に設定しておくしかありません。つまり、シャッター優先モードにしておくのです。シャッター速度は1/500秒もあれば十分です。条件が悪いとしても最低でも1/250秒は必要でしょう。
シャッター速度を速くしなければならない理由はもうひとつあります。望遠レンズ・超望遠レンズを使う場合、ちょっとしたカメラの揺れでも大きな「ぶれ」となってしまうからです。手持ちで撮影する場合、一般的にレンズの焦点距離の逆数よりも速いシャッター速度が必要になるといわれます。たとえば、300mmレンズならば1/300秒以下にしなければならないわけです。

フィルム感度が高いものを使う

シャッター速度をできるだけ速くしたいのだが、暗くてそれができない--というのはよくあることです。動物写真はいつも晴れた日中に撮影できるわけではありません。夜間は別にしても、どんより曇っていたり、夕暮れ時だったり、被写体が日影にいたりと暗い条件での撮影は少なくありません。こういうことを考えると、やはり感度の高いフィルムを使うにこしたことはないでしょう。フィルムにはいろいろな種類があってどれを選ぶとよいのかわかりにくいものです。選ぶときの基準としてまず最初に考えるべきは感度でしょう。
ただし、感度が高くなると犠牲になるものもあります。それは画質です。感度の低いフィルムの方がきめの細かい鮮明な画像になります。感度が高いものは粒子が粗くなってしまいます。感度を優先するか、画質を優先するか、非常に迷うところかもしれません。カメラを複数持っていれば、感度の違うフィルムをセットして使い分けることもできるのですが、それは初心者には無理な相談ですよね。フィルムをいろいろ試しながら、自分のやり方にあうものを見つけるしかないでしょう。
ちなみに、私はISO400のものを使っています。

ポジかネガかの選択は、私はポジをお勧めします。最終的にフィルムスキャナーでパソコンに取り込むのならばどちらでも変わらないと思われるかもしれませんが、実際にやってみるとネガは画像処理が難しい印象がありました。また私の場合、仕事で写真を使うこともあるのでポジを使う方が都合がいいのです。ただし、ネガも初心者の練習用には悪くありません。

三脚・一脚で手振れを防ぐ

300mmを超える超望遠レンズを使う場合は、手振れの影響は無視できないものになります。そうなると三脚を使ってカメラをしっかり安定させる必要があります。そうすれば、シャッター速度も遅めにすることができます。
しかし三脚にはいくつかの問題点もあります。まず、設置にやや時間がかかることです。あちこち動き回る動物を追いかける度に、三脚をたたんで運んでまた広げて…ということを繰り返していてはシャッターチャンスを逃すことにもなります。また、足場が十分確保されていないと三脚は使いにくいものです。3本の脚を置くことができる場所があり、段差や傾斜が無ければ三脚は使いやすいのですが、フィールドでは必ずしもそういう場所ばかりではありません。
そこで一脚の登場です。一脚は脚が1本しかありませんので、三脚よりも設置が素早くでき、場所も選びません。また、三脚に比べてかさばらず、軽いというのも利点です。ただ、一脚の問題点はブレを完全に解消することができないことです。それでも、手持ちよりははるかに安定するので、かなり便利と言えます。私もカメラには一脚を使用しています。(ビデオカメラの場合は三脚を使わざるを得ないのですが、それについては別の機会で。)

手振れ補正レンズ

もうひとつ、手振れを防ぐための方法に「手振れ補正レンズ」を使うという方法もあります。このレンズは手振れを打ち消すような機構を持たせたもので、三脚を使わない手持ちでの撮影に効果があります。十分なシャッター速度があるならあまり必要性は無いとも言えますが、暗めでシャッター速度を遅くせざるをえないときに役に立つでしょう。
ただし手振れ補正レンズは価格も高めになっています。現時点ではこの機能を持つレンズを製造しているメーカーは限られていますので、カタログなどで確認してください。
私もキヤノンの手振れ補正レンズ「EF75-300mm F4-5.6 IS USM」を使っています。


次回は、動物写真とデジタルカメラについてです。

連載第1回 Vol. 66 動物写真は極限の写真/カメラの選び方

連載第2回 Vol. 69 動物写真に適したレンズとは?

連載第4回 Vol. 82 デジタルカメラは動物写真に使えるか?

追加 Vol. 104(2001/9/30) 続・デジタルカメラは動物写真に使えるか? FinePix6900Zを使ってみて


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