いきもの通信 Vol.135[今日のテレビ]ウルトラマンコスモスにおける動物問題を振り返る 

Vol. 135(2002/7/7)

[今日のテレビ]ウルトラマンコスモスにおける動物問題を振り返る

昨年ここで紹介したテレビ番組「ウルトラマンコスモス」は、ご存知の方も多いように主演俳優の問題で突然番組が打ち切りになってしまいました。番組は4クールをほぼ終わり、残り約1クールを残すだけ、いよいよ終盤へとなだれ込むところだっただけに、突然の打ち切りはとても残念なものでした。
現在、番組再開の検討も始まったようですが、すぐに再開が可能とは思えませんし、必ず再開されるとは限りません。今回は放映された「ウルトラマンコスモス」を振り返って、動物問題との関わりを見ていきましょう。


まずは、以前取り上げた番組内容の分類をしてみましょう。
パターン1 地球生物 8
パターン2 地球外生物(外来種) 5
パターン3 カオスヘッダー 17
パターン4 地球外知的生命体 11
パターン5 その他 7
分類不能 1

こうして見ると、地球生物を扱ったパターン1が意外と少ないのがわかります。カオスヘッダーがらみのパターン3では地球生物がカオスヘッダーに感染することが多かったので、これも加算すると、ようやく全体の半分程度になります。う〜ん、それでも少ないですね。「怪獣を殺さない」が主要テーマならば、もっと多くていいはずなのですが。
最も多いパターンは、この番組のメインストーリーである、カオスヘッダーとの戦いです(パターン3)。カオスヘッダーは明らかに病原ウィルスをモデルにしたものですが、番組では「あらゆる生物に共通の意識を持たせ、生態系全体に秩序をもたらすために作られた人工生命体」と最終的には説明されていました。しかも、人間に感染した際に、人間の怒りや憎しみといった負の感情を知った、とされています。単純なウィルスではなく、かなり知性を持った存在ということのようです。
そうなると、カオスヘッダーも保護されるべき存在となるわけで、最終的な結末も、「カオスヘッダーとの和解」という形になったわけです。しかし、それまでにカオスヘッダーは散々破壊してきただけに、どうも都合のいい結末にしてしまったような気もします。
移入種を扱ったパターン2が少ないのは、そういうシチュエーションを想定するのが難しかったのか(なにしろ広大な宇宙空間を怪獣が飛来するのですから)、あるいは制作側があまりはっきりと認識をしていなかったからではないかと思われます。検疫のことがほとんど無視されているのもがっかりです。検疫をからめると面白い話ができそうなんですがね。それだけに、移入種を扱った回が打ち切りによって放映されなかったのは残念です。

この他のパターンは動物問題とは関係のないものばかりですが、一応コメントしておきましょう。
パターン4の宇宙人侵略ものは、まあ昔のシリーズからの定番ですが、防衛軍がやたら弱かったり、民間団体であるSRCが宇宙人との外交をするという変なストーリーはなんとかしてほしかったですね。EYESに防衛軍出身の隊員がいるというのは面白い設定なんですが。
パターン5は上記4パターンに分類されないものですが、印象的なのは妖怪ものと古代遺跡ものでしょうか。制作スタッフがこういうのが好きなんですね、としか言いようがありません(苦笑)。

番組の中にはこれらに分類できない回もありました。第24話は怪獣の正体がよくわからず、対処方法には疑問が持たれます。他の回は良くできているだけに、きちんとした説明の欠いたこの回だけは評価できません。
もうひとつ難点を挙げるとすれば、「怪獣を倒さない」としつつも、カオスヘッダーや知的宇宙人は破壊していったことです。私のように冷静に分析できればいいのですが、子どもには果たして「倒す」「倒さない」といった対応の仕方の違いというものが理解できたでしょうか。親もそれをちゃんと子どもに説明できたでしょうか。この点ではまだまだ改良の余地があった番組でした。

さて、多少の問題点はあるものの、全体を見てみるとこの番組は自然保護の観点からはほとんどの場合において正しい内容であったことも指摘しておきましょう。スタッフの事前の勉強ぶりがうかがわれますし、ウルトラマン・シリーズの新しい方向性を破綻無く示せたという点で、画期的な番組になったと思います。「怪獣を倒さない」という方針はこれからの新シリーズでも維持してほしいものです。
それだけに番組打ち切りは非常に残念なことです。俳優を交代してでも番組をきちんと放映してほしいですし、テレビ放映が無理ならばビデオでの続行を希望します。


おまけ
ウルトラマンコスモスのエクリプスモードが強そうに見えないわけ

ウルトラマンコスモスは状況に応じて、ルナモード、コロナモードに変身します。番組後半ではさらにパワーアップしたエクリプスモードが登場します。しかし、このエクリプスモード、あまり強そうに見えないと思った方も多いのではないでしょうか。これは明らかにデザインの失敗です。
特に失敗しているのが、配色です。白い部分が太く、目立つように配されてるため、赤や青の部分が分断されてしまっていて、間抜けな印象になってしまっているのです。また、一部で黄色が使われていますが、これも白に隣接していて色の印象が非常に弱くなっています。黄色ではなく、もっと印象の強い色を使うべきでした。黒なんかはいい色だと思うのですが、黒はカオスウルトラマンが使っているのでダメですね。下半身がまるで青いズボンをはいているように見えるのも失敗です。私ならもっといいデザイン描いてあげたのに(笑)。
一方で、ルナモードの「青いウルトラマン」、コロナモードの「非対称デザイン」というのはとてもいいデザインだと思います。ウルトラマン・シリーズを通しても、青いウルトラマンは今回が初めてではないでしょうか。
ところで、「エクリプス」とは天文用語では日食・月食といった「食」のことを意味します。また鳥類学では、繁殖期を終えたカモ類のオスが、地味な羽色にはえかわることをいいます。どっちにしろあまり強そうには思えない名前ですよね。ネーミングでも失敗していると私は思います。


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