いきもの通信 Vol.266[今日の観察]すぐできる自然観察/スズメのお宿はどこだ? 

Vol. 266(2005/5/8)

[今日の観察]知っておきたい危険な昆虫

春になると本格的な昆虫の季節です。昆虫は身近な生物なので、街中でも公園などでも見つけることができます。昆虫採集といった本格的なものでなくても、昆虫を観察するのは面白いことでしょう。特に子供たちにはお勧めの自然観察です。
しかし、昆虫の中には危険なやつもいます。昔は子供たちは仲間や大人から教わったりしてその危険を学習したわけです。しかし、現在ではそういった関係がほとんど消えてしまったため、危険を知らない子供たちも多いはずです。最近のお父さんお母さんも外遊びをあまりしなくなった世代ですので、彼ら自身が何が危険で何が安全か知りません。ですから子供が虫をさわろうとすると「さわっちゃダメ!」と全否定してしまうこともあるようです。
昆虫の多くは安全な種類です。危険な種類を覚えれば安心して昆虫とつきあえます。これは基本常識としてぜひ知っておいてください。

・刺す昆虫

危険な昆虫、その代表はハチ類でしょう。刺されると命の危険にかかわることもあります。ハチ類すべてが危険なわけではありませんが、ハチだと思ったら一応警戒するようにしましょう。ハチに対して攻撃的なことをしない限り、普通は刺されることはないはずです。じっとしているか、ゆっくり離れるかすれば大丈夫でしょう。
実はハチには刺さない種類も多くいます。また、刺すのはメスだけです。どの種類が危険かは図鑑などを頼りに覚えていくしかありません。ただ、特に危険なハチといえばスズメバチ類であるのは間違いありません。これは攻撃性が強いので特に注意が必要です。
ハチの特徴は、頭・胸・腹の接続部分が細くくびれていることが特徴です(アリもハチと同じグループなのでくびれている)。また、黒色と黄色であることが多いです。これは自分が危険であることをまわりに知らせる色であると言われています。

刺す昆虫で意外と知られていないのがサシガメ類です。サシガメとはカメムシの仲間ですが、カメムシとは体型が異なるので知らないといったい何の種類かわからないかもしれません。幼虫の時は翅(はね)が無いのでますます種類がわかりにくい種類です。一見すると甲虫のようにも見えるのです。その代表としてヨコヅナサシガメを紹介します。
サシガメは針状のくちで刺すのですが、これがかなり痛いものだそうです。毒はないらしいのですが、手で持つ時には注意が必要です。

針が無いからといって安心してはいけません。例えば毛虫です。チャドクガやイラガというガの幼虫は毛に毒があり、触れると刺さって赤くはれ、かゆくなります。気づかずに触れることも多いようです。原因が思い当たらない場合はとにかく皮膚科に行くのが正解です。
毛が無い幼虫「イモムシ」の場合はたいてい無害なようです。ナミアゲハの幼虫はいじったりするとオレンジ色の角を出しますが、特に毒があるというわけではないようです。
ところで、普通私たちが目にする毛虫、イモムシはだいたい鱗翅目系(チョウ・ガ)だと思っていいでしょう。甲虫目、膜翅目(ハチ・アリ)の幼虫もイモムシですが、たいていは地面の中や木の幹の中などにいて目にする機会は少ないので安全だと言えます。テントウムシ類の幼虫は珍しく外で活動する幼虫ですが、これもまったく安全です。

・かむ昆虫

刺す昆虫というとアブを思い出す人もいるかもしれません。が、正確にはアブ類は口でかみつくのです。ブユ(ブヨ)もアブと同じく双翅目(ハエの仲間)で、やはりかみつきます。アブ類にもかみつく種類もいればそうでない種類もいます。これも図鑑や経験で覚えていくしかありません。
予防法としては蚊取り線香が有効とされています。また、防虫スプレーも効果があります。防虫スプレーは昆虫観察の必需品と思ってもいいでしょう(そう言う私は常用していませんが…(笑)。鱗翅目や双翅目は特に専門というわけではないので…。)。かまれた時はステロイド軟膏(虫刺され用の軟膏剤)を塗りましょう。それでも心配な方はやはり皮膚科へ行きましょう。

・悪臭昆虫

強烈なにおいを出す昆虫といえばカメムシです。これは手に取らないに限ります。対処法は特にありません。とにかくさわるな!なのです。

ここまでは危険な昆虫ばかりを紹介してきましたが逆に安全なものも紹介しましょう。というか、上記以外のものはだいたい安全なのですが。
まずトンボです。トンボは毒を持ちません。かまれると痛いですが、これは持ち方に気をつければ大丈夫です。小型のトンボはかまれても痛くはないですが、大型のトンボは痛いのでご注意を。中型のシオカラトンボはよくかみついてきて、けっこう痛いので注意してください。これは私の経験談です。なぜかシオカラトンボなのです。
カマキリもカマを持ちますが、これも正しく持てば大丈夫ですし、出血させるほど強力でもありません。
セミも安全です。カメムシに近い仲間ですので口は針状ですが、樹液を吸う植物食ですので人を刺すことはありません。
他にもチョウ、バッタ、甲虫など安全な昆虫はたくさんいます。


何が危険かそうでないかを知れば、自然観察は安全なものです。これらの知識を体得して、昆虫たちと親しんでください。
最後に、昆虫観察について提案を。昆虫というと昆虫採集を思い浮かべる人は多いでしょうし、実際それが昆虫観察の重要なジャンルであることは否定しません。昆虫をじっくり観察するためには採集は欠かせない方法です。
しかし、昆虫観察は捕まえるだけがすべてではありません。捕まえずに、昆虫の生態や動きを観察するのもとても大事なことです(「捕まえない」ということは今回取り上げたような危険をある程度避けることもできるということです)。例えば、花壇でじっと待ってどんな昆虫がやって来るか観察してみましょう。チョウだけでなくハチやアブ、ハナムグリなどもやって来るでしょう。このように、昆虫の生活そのものを観察するのも昆虫観察には大切なことなのです。昆虫観察にもいろいろな方法があるのです。


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