Vol. 295(2005/12/11)

[今日の観察]ネコ撃退もほどほどに?

ネコの害、例えば庭を荒らされたりフンをされたりといったことに悩まされているという方は少なからずいることでしょう。ずいぶん前に私が実行した対策を紹介したことがありますが、今回はまた違った視点からネコ対策を見てみましょう。今回も念のために申し上げておくと、私はネコは好きですがネコ被害はやはりいやです。そしてネコ対策にはより穏やかな方法をとるというのが私の方針です。ネコを捕獲したり傷つけたりする方法は絶対にとりません(そんなことをしたら動物愛護法違反あるいは器物損壊罪(刑法違反)になりますしね)。


さて、私の近所では怪現象が発生しています。というとオカルトっぽいのですが、そこまでアヤシイものではありません。ある場所を通過すると、非常に高音の「ピキッ!」という音がして、耳が少しだけツンとくるのです。最初はあまり気にもならなかったのですが、同じ場所を通過するたびに同じ現象が起こるのです。そして、その現象を意識するようになるとその高音がかなり耳障りになってきました。
…え? なんでネコと関係ない話をしているんだって? まあまあ、あわてず読み進めてください…
高音のする場所と方向はいつも一定でしたので、その方向を見てみると、小型の箱が置かれています。他にそれらしい装置類はありませんので発生源はその箱だと断定できました。なんだあの箱は?と思ったもののそれをしばらく忘れていたのですが、ある日それがネコ防除の装置であることに突然気づいたのです。その装置は人間の耳に聴こえない超音波(高周波数の音波)を発生してネコが近づかないようにしているのです。装置の前を何かが通過するとそれを検知して超音波を発生する仕組みになっているのです。
この装置は人間に聴こえない音波を出しているはずなのですが、私はヒト平均以上の高周波も聴こえるようです。可聴域を調べてみると、

ヒト=20Hz〜20kHz
ネコ=60Hz〜65kHz
イヌ=15Hz〜50kHz

とのこと。よって、20kHz以上の超音波なら人間には聴こえないはずなのです。ただしこれには個人差があるわけで、私の場合は幸か不幸か平均以上だったのです(平均以上といっても実利はまったくないので自慢にもならない)。ネットで超音波ネコ防除装置を調べてみると、「18〜23kHz」あるいは「25kHz」の音を発生しているらしいことがわかります。前者のタイプならこの音が聞こえる人はけっこういるのではないでしょうか。
この装置は私にとっては迷惑なものですが、だから使うのを止めろ、と言いたいのではありません。そもそもこの装置の設置の仕方が間違っているのです。私が迷惑している近所の装置の場合、道に面した方向に装置が向けられており、その道がセンサーの有効範囲内に完全に入っており、しかも地形の都合上ちょっと高い位置に置かれていてちょうど人間の耳を直撃するのが問題なのです。設置した方は超音波が聴こえないのでわからないのでしょうが…。この装置は隣家や道路に向けないというのが鉄則でしょう。
ところで、この装置の効果についてですが…私自身で試したことがないのでなんとも言えませんが、宣伝では効果があるように書かれています。まあ、試してみるのは悪くないかもしれません。ただ、超音波の届く範囲には限界があること、周囲の迷惑を考えるとどこにでも設置できるわけではない、という制約があることも忘れないようにしましょう。

ネコ撃退方法にはこのように迷惑になりかねないものが他にもあります。
例えばスプレー型の忌避剤。これはネコのいやがるにおいで追い払ってしまおうという発想なのですが、人間にとってもいやなにおいであったりすることもあるようで、これまた使用には気をつけなければなりません。しかも、忌避剤は数週間で効果が無くなるのが普通ですので、継続的に使用しなければなりません。
ペットボトルもネコ撃退に使用されてきましたが、実際には何の効果もないことは既によく知られた事実です。テレビ番組「トリビアの泉」の中の「ガセビアの沼」(ガセビア=嘘のトリビア)でもこのことがガセであることが紹介されたほどです。それでもいまだにペットボトルを置いている所がありますよね。あれは実害はないものの景観を損なっていると思いませんか? これも一種の迷惑物体と言えるのではないでしょうか。
ネコの形状のボードにビー玉の目玉を入れたネコ撃退グッズもありますが、これもまた効果がないことが知られた製品です。でもこれはアクセサリーっぽく見えるのであまり迷惑には思われないかもしれません。

ネコ撃退に一生懸命になるのもわかりますが、やり過ぎが近所迷惑になることもあるわけで、ほどほどにしておく方がいいのではないかということです。


まあ、ネコを撃退したいのならば特殊装置ばかりに頼らずに、ネコが寄りつかない、寄りつくことができない方法を考えるのが得策ではないかと私は思います。労力は多少必要になりますが。
撃退方法を詳しく書くと長くなりますし、個別の状況によって採用手段も異なってきますので、今回は簡単にポイントを書くことにしましょう。

・フンを防止したいなら
ネコがフンをするのは砂の上です。そこで次のような方法が考えられます。
砂を取り除く
水でびちょびちょにしておく
ふたをする
金網で覆う(植物を栽培している場合)

・侵入を防止したいなら
物理的に入ってこれないようにするのが原則です。次のような方法があります。
ネコが侵入してくる可能性がある場所を完全にふさぐ(金網を使う)
狭い場所や塀の上には剣山をしきつめる(ちょっと過激ですが)
中に入ってきたネコはしつこく追い回す(心理作戦です)

それでも門などは簡単に乗り越えてきますからなかなか難しいかもしれませんね…。敷地全体を防御するのではなく、被害ポイントをしぼってその場所を防御するようにした方が効果的かもしれません。

現実にはそれぞれのケースごとに対策方法は違ってきますので専門家のアドバイスを求めた方がいいのですが、料金は高くなるでしょうねえ…。私が依頼されたとしても、効率を考えるととても引き受けることはできません。結局、個々人で戦っていくしかないのですが、それには労力がかかります。徹底抗戦も大変です。やはりほどほどの労力でそこそこの効果を狙うのが一番効率がいいのかもしれません。


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