Vol. 452(2009/5/10)

[今日の地図]東京消失川を探せ!・その2

前回紹介したのは、桃園川の南を流れる消失川でした。実は、北を流れる消失川もあるのです。今回はそれをたどります。
(撮影は2009年3月)



出発地点は前回とまったく同じ場所です。ここから北へ向かいます。

突然、斜め脇方向に分かれる狭い道(左側)。そう、これが消失川なのです。この道に面した玄関が無いことから、かつては川だったことは間違いありません。
実は、私は一時期このすぐ近くに住んでいて、この狭い道のことも知っていたのですが、これが消失川だと気づいたのは最近のことなのでした。


狭い道が続きます。

JR中央線の高架下に出ます。高架下には狭い道路がありますが、この道路から東西(線路の方向)を見ると、ここの標高が最も低いことがわかるはずです。


高架の北側へ道は続きます。ここには水路のフタらしきコンクリート製の道になっています。この下は今も水が流れているのかもしれません。


道がいきなり直角近く曲がります。


普通の道路に出たところで、消失川は突然途切れてしまいます。


付近の川らしい場所を探してみました。この写真の道がそれらしく思えるのですが、どうも確信が持てません。もしこれが川だったとしても、相当昔に完全に埋め立てられてしまったようです。


さらに西に進んで馬橋通りのもうひとつ先の道路に出ます。この道路は谷地形であり、ここが消失川のようです。再び北へ向かって進みます。


先に進んだところでまたもや消失川は途切れてしまいます。もはや追跡不可能です。


見失ったものの、道をそのままたどっていくと、道路が妙に曲がっています。これは昔の川の流れが残っているのかもしれません。

川の痕跡は消えてしまいましたが、、消失川の起点になる場所は実は最初からわかっています。それは馬橋公園のはずなのです。


馬橋公園の池。どうやらこの池が水源地だったようです。もっとも、現在の池の水は地下水のくみあげか、上水道のはずです。


さて、桃園川の北を流れる支流はこれだけではありません。もうひとつの支流もたどってみましょう。


桃園川緑道の小さな脇道。先ほどの出発地点から少し東へ行った所にある。とても狭いので、気づかない人が多いだろう。


狭い道を通り抜けると商店街で行き止まりになります。


川は北へと続いているはずです。ぐるっと北側へ回ると、また道がありました。


この道はとても狭くなっています。


その先はまともや行き止まりです。


また北側の方へぐるっと回っていきます。すると、そこはJR高架下です。先ほどの川があった場所からは東へたった20mほどの場所です。2つの川がほとんど並行して流れていたことがわかります。


高架の北へ細い道が続きます。かなり長い距離の途中で交差する道が無いことから、これが消失川であったことは確かです。


途中からコンクリート製のフタがなくなります。しかし、そこにあるのは水の無い水路でした。この水路は現在は使われていないようです。


長い長い一本道を抜けると商店街に出ます。川はここで途切れてしまいます。


ずっと北へ行った所で、狭い道を見つけることができました。


道を進んでいくと、すぐに公園に出ました。「馬橋北第二公園」という小さな公園です。
この公園が水源地なのか?と思いましたがそうではありませんでした。公園から北へ、さらに道が続いています。


しかし、その先はまたまた行き止まりです。
実は、地図上では川らしい痕跡があることがわかるのですが、私有地の中にあるためにこれ以上の確認はできませんでした。


ここで地形図を見てみましょう。今回歩いたのは北側の緑の線です。この地図からも川が2本あったことがわかります。(南の青い線は前回歩いた消失川)


消えてしまった過去をたどることに何の意味があるのか?と思われる方には、この記事は面白くもなんともないことでしょう。
最近は街歩きが流行している、という話もあるようですが、この消失川探索は繁華街やグルメや有名史跡を巡る街歩きとはかなり異質なものです。普通の街歩きに飽きた人にはちょうどいいテーマになるかもしれません。
東京タヌキの調査では、地形を把握することは重要です。東京都23区のタヌキは、高低差のある場所でよく目撃されています。高低差のある場所、それはつまり川が谷を刻んでいる場所です。その川には消失川も含まれています。動物に関係のないように見えて、実は密接な関わりがあるのです。


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