神社や公園で普通に見られるハト、正しい名前は「ドバト」といいます。あらためて説明するまでもないごくごく普通の鳥です。普通すぎて彼らは「野鳥」と思われていないようです。飼育鳥ではなく野生なのですから「野鳥」でもいいと思うんですが。ドバト、ハシブトガラス、スズメは都会の3大野鳥、最も身近な野鳥でしょう。さて、この誰もが知っているドバト、意外と知られていないことも多いような気がします。というわけで、何回かにわたってこのドバトのことを取りあげてみようと思います。
ドバトの群れを見ていて、皆さん不思議に思ったことはありませんか?
「オスとメスってどうやって見分けるのだろう?」
確かに外見だけではちょっとわかりませんね。判別する方法はないんでしょうか? 実はあるんです。といってもこの判別方法は万能ではないのが欠点ですが。まず、公園にでも行って、ぼーっとドバトの群れを眺めてみましょう。ずーっと眺めていると、おや、1匹のドバトが尾羽を地面につけるように広げ、体をふくらませて別のドバトを追っかけています。けんかでも始まるんでしょうか? いえいえ、これ、実は「求愛」なんです。追っかけるのがオス、追われるのがメス。ほら、これでオス・メスの区別がつきました。実に簡単な(だが効率的ではない)方法です。
しかし、このような疑問を持つ方もいるかもしれません。
「求愛は繁殖期の頃でないと見られない。限られた時期しか通用ない方法ではないのか?」
ごもっとも。ところがですね、ドバトは1年中繁殖期なんです。だから1年中この「追っかけ」を見ることができるのです。私も正月の神社の境内で「追っかけ」を見たことがあります。もちろん暖かい季節の方が「追っかけ」を見る機会は多いと思います。こうやってドバトの追っかけを見ていると、オスがやや大きめで体格もよく、メスはやや小さく体も細めであることがわかります。体格で見分けるには複数のドバトを比べなければならないので、これもいつでも使える方法ではありませんが、オス・メスを見分ける助けになります。
「追っかけ」といえば、こういう現場を目撃したことがあります。オスがメスを熱心に追いかけまわしています。だが、どうもメスは関心がなさそう。しつこく追いかけるオス。と、そこへ別のメスがすれ違いました。するとオスはくるりと反転してそちらを追いかけ始めたのです。まるでナンパをしている若者みたいに見えたのでした。
追記
そのナンパ(求愛)の写真を撮ったので掲載します。
当然、左がオスです。尾羽を広げて、地面につけています。体全体の羽毛をふくらませ、頭もきゅっと持ち上げています。多分、これがハトの世界では「カッコイイ」姿なんでしょう。メスはなんとなく迷惑そうにしているようにも見えます(笑)。
(2000/6/4)