Vol. 124(2002/3/24)

[今日の観察]バイオカイトは鳥を呼ぶ、か?

以前、新発明の凧「バイオカイト」を紹介しましたが、今回はその続きです。このバイオカイト、トビのような鳥型のタイプのものを上げると、本物のカラスやトビがやってきて攻撃してくる、ということが本でも紹介されていました。そこで、これは本当か?ということを検証しようというわけですが、前回の時点では2回しか試してなかったのでなんとも言えない、ということになっていました。

その後のバイオカイトの飛行の様子は以下のようなものでした。
二子玉川付近の多摩川の河原では都合3回上げました。使用バイオカイトは、トビ、ナミアゲハです。内、最後の1回はアウトドア系同好会「ブルーシートの会」の企画です。最初に行った時は、周りをカラスに囲まれるような感じで上げたのですが、カラスたちは全然動じませんでしたね。う〜ん、凧慣れしているんでしょうかねえ。すぐ近くにバイオカイトが墜落した時はさすがに飛んでいってしまいましたが、それ以外はまったく無関心でした。芝生の河原でも上げてみましたが、バイオカイトの真下をツグミが歩いていたり、私のそばをドバトが歩いたり、と小型の鳥たちでも緊張感のようなものはありませんでした。
小金井公園ではトビ、ナミアゲハを上げました。が、この時は調整がうまくいかず十分に上げられませんでした。ここの広場は凧好きなおじさんたちが集まる場所のようで、クラシカルな凧をいろいろと拝見させていただきました。ただ、これらの凧は最初上げる時にある程度走らなければならないので大変です。バイオカイトはある程度の風があればその場に立ったままでもするする上がっていくのでとても楽です。
水元公園にも再び行ってきました。使用バイオカイトは、トビ、ナミアゲハ、アホウドリです。しかし、この日は強風。バイオカイトは風が強すぎると安定しない傾向があります。バイオカイトはどちらかというと弱風向きの凧なのです。安定しない場合にはしっぽ(とりあえず細長く切った新聞紙をつなげたもの)をつけて、強制的に安定させます。それでも長時間上げ続けることはできず、鳥たちの反応を十分に見ることはできませんでした。

これらの結果だけでは結論は出しにくいのですが、鳥型バイオカイトなら必ずカラスが襲ってくるというものではなさそうです。ただ、今回バイオカイトを上げた場所はどこもトビが出現しない場所でした。トビはバイオカイトを積極的に攻撃するそうですし、クラシカルなトビ型の凧も襲うことがあるそうですので注意が必要かと思います。事前にトビがいないことを確認しておいた方がいいでしょう。トビは川や海などの水辺に生息しますので、近くにそういう場所がないなら心配はいらないでしょう。


私がバイオカイトを何度も上げてみたのは、実はバイオカイトが鳥類に与える影響を心配していたからなのです。大型の野鳥がバイオカイトを攻撃するということは、見ている人間には面白いかもしれませんが、野鳥にとっては生活域に侵入してくる外敵に見えている可能性もあるわけで、彼らの生活・生態に悪影響を及ぼす恐れもあるわけです。また、小型の鳥にとってはバイオカイトは強大な捕食者に見えるかもしれません。バイオカイトのせいで野鳥の行動が変化してしまうとすれば気の毒な話です。そんなこと考えすぎだ、と思われる方もいるでしょうが、野生動物への配慮というものはこの程度のことでも注意を払うぐらいの用心深さが必要と私は思います。
私が観察した限りでは、そのような心配は無いように見えました。皆さんも安心してバイオカイトを試してみてください。ただ、トビの場合は何が起こるかわかりませんので、トビがいる場所では慎重にお願いします。


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