Vol. 588(2014/10/26)

[今日の事件]各地でサバフグ混入事件

新聞のデジタル化については以前も書きました。当時は紙の方をメインにしていたのですが、2013年2月からiPadでも紙面イメージがそのまま表示されるようになってからは紙はまったく読まなくなってしまいました。
定期購読者は過去1年分の記事の検索もできます。これには地方版の記事も含まれるので情報収集にはありがたいものです。

今年、デジタル新聞を見ていてある事件に気付きました。それは単一の事件ではなく、同じような事件があちこちで発生しているのです。事件の概要は次のようなものです。


スーパーなどで売られているマアジのパックにシロサバフグが混入していることがわかり、商品の回収を始めた。


マアジといっても成長したものではなく、通称マメアジやコアジと呼ばれる未成長の小さなものです。アジではなくてシラスだったりする場合もあります。
混入しているのはシロサバフグの他にクロサバフグの例もありました。
記事検索をして見つかった事件の発生した場所と月を並べてみると次のようになります。

8月 神奈川県横浜市
8月 大分県大分市
9月 神奈川県相模原市
9月 神奈川県横須賀市
9月 神奈川県横浜市
9月 神奈川県藤沢市
9月 岐阜県中津川市
9月 新潟県
9月 愛知県一宮市
10月 島根県出雲市
10月 島根県松江市
10月 神奈川県茅ヶ崎市

神奈川県がやたら多いように見えますが、この他にも各地で同じような事件が発生していると思われます。
参考までに、行政の資料を紹介しておきます。

魚介類にフグの稚魚が混入した事例について」(神奈川県)

フグの混入にご注意ください」(農林水産省)

この事件は特定の企業がかかわっているのではなく、各地で独立して発生している事件です。
それぞれの小売店または卸売り市場などでパックされた商品にフグが混入しているのです。工場製品ではないため販売数が限られ、騒動が広がらなかったという面があります。

この事件、確かにフグは危ないよね、と誰もが納得するところですが、異論も出てきました。
というのは、「シロサバフグは無毒」という説もあるからなのです。ネットで検索してみると無毒と書いてあったり、有毒性についてはっきりしない書き方をしているホームページが見つかります。いったいどれが正しい情報なのがはっきりしません。
現在、最も信頼できそうな情報は次のページになりそうです。

厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル:魚類:フグ毒

これによるとシロサバフグもクロサバフグも毒があり、肝臓、卵巣、腸は食用不可となっています。

萩市近海産シロサバフグ肝臓の毒性」(谷山、他、2010年)

要約によると「日本近海産のシロサバフグは微量ながら肝臓に毒をもつことがあり、食品衛生上注意を要することが示された。」とのことです。

つまりシロサバフグも絶対安全ではないということです。「無毒」という情報に惑わされないようにしてください。

もしシロサバフグが無毒だったとしても、この事件のような状況では安全とは言いきれません。
混入していたのが他のサバフグあるいはフグ類だったらどうでしょう。例えばドクサバフグは全部位が食用不可です。何が混入しているかはっきりしないのならば商品は回収すべきでしょう。
購入者はフグの種類についての知識があるわけではありません。商品をぱっと見ただけではわからないこともあるでしょうし、シラスのような小さな魚に混じっていては判別も不能です。
そう考えると商品の回収は当然のことです。


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