Vol. 184(2003/7/27)

[今日のカラス]カラス捕獲トラップはここにある 2003年版

今年も9月からカラスの捕獲が始まります。今回は、その捕獲トラップの設置場所についてです。2001年度の設置場所についてはVol.119に書いています。その後、トラップはより多くのカラスが捕獲できそうな場所へと一部が移されています。

今回の情報は、東京都の入札情報から得たものです。トラップからのカラスの回収、エサの補充、清掃は外部の業者に委託しており、入札が行われます。その入札の仕様書に設置場所が書かれているのです。
今回の情報は、「入札情報サービス」に掲載されていたもので、誰でも見ることができる情報です。ただし、入札の情報は短期間しか掲載されません。今回の入手のものは、7月上旬に掲載されたもので、現在は消えています。また、「特定調達」ではないので都の公告には掲載されていません。
今回の入札仕様書のタイトルは「東部公園緑地事務所管内カラス捕獲トラップ管理委託(単価契約)」および「平成15年度カラス捕獲トラップ管理委託(単価契約)」です。発注元は財務局ですが、実際の事業を管理するは東京都環境局自然環境部です。
上記タイトルからわかるように、環境局多摩環境事務所が発注していると思われる西部公園緑地事務所の捕獲委託については情報が得られませんでした。これには井の頭公園、井の頭自然文化園など多摩地区(23区以外)の公園が含まれます。
また、恩賜上野動物園、多摩動物公園もリストに入っていませんが、それぞれ独自に捕獲しているか、捕獲を委託しているはずです。

捕獲トラップの設置場所についての新しい情報は以下の2つです。

・トラップの設置場所は捕獲実績を見て移動することがある。移動は期間途中であっても実施されているらしい。

・国の施設や民間の施設にも設置されるようになった。個人の民有地にも置かれている可能性がある。


以下、トラップの設置場所のリストです。

●東部公園緑地事務所

名称 住所 設置台数
代々木公園 渋谷区代々木神園町
水元公園 葛飾区水元
日比谷公園 千代田区日比谷公園
城北中央公園 練馬区氷川
和田堀公園 杉並区成田
石神井公園 練馬区石神井台
光が丘公園 練馬区光が丘
善福寺公園 杉並区善福寺
砧公園 世田谷区砧
篠崎公園 江戸川区上篠崎
戸山公園 新宿区大久保
林試の森公園 品川区小山台
六義園 文京区本駒込
浜離宮恩賜庭園 中央区浜離宮
雑司が谷霊園 豊島区南池袋

●市場関係

名称 住所 設置台数
築地市場 中央区築地
1
食肉市場 港区港南
2
大田市場 大田区東海
1

●水道関係

名称 住所 設置台数
和田堀給水所 世田谷区大原
2
駒沢給水所 世田谷区弦巻
1
砧下浄水場 世田谷区鎌田
1
玉川浄水場 世田谷区玉川田園調布
1
三園浄水場 板橋区三園
1
境浄水場 武蔵野市関前
2
深大寺浄水場 調布市深大寺南町
1

●下水道関係

名称 住所 設置台数
新河岸下水処理場 板橋区新河岸
1
三河島下水処理場 荒川区荒川
1

●民間施設等

住所 設置
台数
推定設置場所 コメント
文京区大塚
護国寺または
豊島ヶ岡御陵
これらは隣接している。カラスの寝ぐらとしては有名な所。
文京区白山
小石川植物園
(東京大学大学院
理学系研究科附属植物園)
 
渋谷区代々木神園町
明治神宮
(宗教法人明治神宮)
代々木公園に隣接。23区内でおそらく最大の寝ぐら
新宿区内藤町
新宿御苑(環境省)
 
世田谷区岡本
岡本公園
 
世田谷区上用賀
馬事公苑
(日本中央競馬会JRA)
 
世田谷区経堂
福昌寺?天祖神社? 他に大きな敷地がないのでこのどちらかだと推測するしかない。
大田区中央
大森赤十字病院?太田神社?稲荷神社?春日神社? 3つもトラップを設置できる場所とは? 他にも学校などの施設があります。すぐ近くの池上本門寺よりもトラップを多く設置しています
世田谷区田園調布
多摩川台公園
 
練馬区向山
としまえん
 
大田区池上
池上本門寺
 
墨田区東墨田
墨田清掃工場?
墨田清掃工場は東京二十三区清掃一部事務組合の管轄だそうで、つまり都の管轄ではないということでしょうか。付近には神社、寺もあるのでそちらの可能性も。
国分寺市東恋ヶ窪
日立製作所中央研究所
 
調布市入間
NTT中央電気通信学園
 
八王子市大船町
相武カントリー倶楽部
5つもトラップを置いている…。
三鷹市大沢
国際基督教大学?
富士重工業?
これらは隣接しています。
港区白金
氷川神社?
ここは北里大学、聖心女学院といった場所もあります。多分、氷川神社でしょう。
西東京市緑町
東大農場
(東京大学大学院
農学生命科学研究科
附属農場)
または東大演習林
 

これらの施設については具体的な施設名称が記されていません。ここでは仕様書に掲載の住所から場所を推定してみました。

以前設置されていてその後無くなったトラップがどこに行ったのかというと、これら「民間施設等」に移動しているわけです。「等」とあるように、国の施設にも設置されています。
推理のポイントは簡単で、「樹木が多い」「人が少ない(または、夜間は無人になる)」という場所を探せばいいのです。
個人の民有地にも置かれている可能性があります。上記に書いた候補地の内、場所の特定ができなかったものがそうなのかもしれません。


以上のリストのトラップの台数は計74台です。全部で120台あるはずなので、残りの46台は多摩地区の公園、上野動物園、多摩動物公園に設置されているということになります。
しかし、これはちょっと変な数字かもしれません。多摩地区の公園というと、井の頭恩賜公園、井の頭自然文化園、野川公園、神代植物公園、小金井公園に以前トラップが設置されていましたが、これに上野動物園、多摩動物公園を入れても7ヶ所です。すると1ヶ所あたり6台以上設置されていることになります。これはいくらなんでも多過ぎです。多摩地区の他の公園にもトラップが設置されていると推測できます。

残念ながら、これらのトラップはほとんどが立ち入り禁止の場所または人目につかない場所に置いてあるため、実物を近くから見ることは難しいでしょう。人があまり来ない方がカラスをおびき寄せるには好都合だからなのですが、別の意味では、第三者の目に触れない所でひそかに捕まえているということです。何かの問題が発生してもそれを隠すことが簡単ですし、きちんと作業が行われているか外部の検証が難しくなっています。
カラス捕獲の是非は別にしても、こういった状態のままにしておくのも不安があります。もし、ご近所にトラップがあるようでしたら探してみて、観察しやすい場所にあるなら様子をご覧になってみてください。

7月26日、たまたま水元公園に行く機会があったのでトラップの様子を見てみたら、草ぼうぼうのつる植物伸び放題の姿になっていました(写真下)。まるで幽霊屋敷みたいな雰囲気です(笑)。やはりカラスの霊が某知事を呪って夜な夜な徘徊するのでしょうか?

追記

カラスとは別の用事であちこち歩く機会がありましたので、発見できたカラス捕獲トラップの場所について報告しておきます(2003年度分)。トラップのある所を選んで行っているわけではないのですが、なぜか遭遇率が高いです。

・代々木公園 原宿門から入って右手の、資材置き場のようなところに3台設置されているようです。ホームレスの方々が陣取っているので近づけません。

・光が丘公園 バードサンクチュアリの北東側、道路から見える位置に1台設置されています。

・野川公園(調布市) 上記リストにはない、「多摩地区の公園」のトラップです。野川北岸の、自然観察園の一番北西側(西武線の鉄橋に近い)に1台設置されています。

・多摩川台公園 池(水生植物園)のすぐ上に1台設置されています。

・日比谷公園 テニスコートの東側に1台設置されています。

・多摩動物公園 南側にほとんど展示が無い道がありますが、その途中の道路脇にあります。この1台しか発見できませんでしたが、他にもある可能性大です。


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