Vol. 234(2004/8/22)

[今日の勉強]試験に出ない動物英単語

哺乳綱クジラ目・カイギュウ目編

はい、またお会いしましたね、役に立たない動物英単語の時間です。
夏といえば海、というわけで、今回は海の哺乳類であるクジラ、イルカなどを取り上げてみましょう。

(第1回(食肉目編)第2回(霊長目編)第4回(齧歯目編)第5回(偶蹄目編その1)第6回(偶蹄目編その2)第7回(翼手目・食虫目)第8回(残り全部編))


ところで、クジラとイルカの違いをご存知でしょうか。厳密な区別があるわけではないのです。普通は大型のものをクジラ、小型のものをイルカ、と呼んでいます。
分類学的には、セミクジラ科、ナガスクジラ科、コククジラ科、アカボウクジラ科、マッコウクジラ科、イッカク科がクジラに分類され、その他のマイルカ科、ネズミイルカ科、カワイルカ科がイルカに分類されます。これも一般論で、マイルカ科のシャチは「killer whale」と呼ばれています。やはり大型のものは「クジラ」になってしまうわけです。

まずは「whale」と呼ばれる大型鯨類から見ていきましょう。

セミクジラ科
セミクジラ→northern right whale
何が「right」なのかというと、泳ぎが遅いので捕獲に「適した」種類、という意味なのだそうです。
ホッキョククジラ→bowhead whale
口の部分を横から見ると弓なりになっていることからきた名前でしょう。

ナガスクジラ科
シロナガスクジラ→blue whale
世界最大の哺乳類。現生動物の中でも最大です。「ブルー・ホエール」、いい響きですね。
ナガスクジラ→fin whale
背中に背びれがあることからきた名前だと思いますが、背びれを持つクジラは他にもいます。
イワシクジラ→sei whale
ニタリクジラ→Bryde's whale
ミンククジラ→minke whale
毛皮で有名なミンクは「mink」なのでつづりが違います。
ザトウクジラ→humpback whale
背中にこぶ(hump)状の盛り上がりがあることからの名前です。

コククジラ科
コククジラ→gray whale
見た目そのままの、灰色クジラです。

マッコウクジラ科
マッコウクジラ→sperm whale
「sperm」とは精液のこと。頭部に「脳油」という油がつまっていて、それが精液に似ていたことから名付けられました。

イッカク科
イッカク→narwhal
「unicorn whale」=「一角獣クジラ」という呼び方もあるようです。
シロイルカ→white whale
日本語では「イルカ」、英語だと「クジラ」という不思議な名前です。大きさから言うとクジラでしょう。「beluga(ベルーガ)」という別名も有名です。

アカボウクジラ科
あまりなじみがない種類です。目撃されることも少ない種類が多く、今もなお謎に満ちたグループです。

ツチクジラ類、オウギハクジラ類→beaked whale
口の部分がとんがっているのでこのような名前になっています。名前のつけ方は、発見者(あるいは関係者?)の名前が冠されることがほとんどです。例えば、ツチクジラは「Baird's beaked whale」となります。

マイルカ科
「イルカ」の英語を調べると、dolphin(ドルフィン)とporpoise(ポーポイス)の2つがあることがわかるでしょう。これは分類上の違いをそのまま表しています。まずは、「dolphin」であるマイルカ科から見ていきましょう。

シャチ→killer whale
実はシャチもイルカの仲間なのです。別名「orca(オルカ)」は映画のタイトルにもなったことがありました。

オキゴンドウ→false killer whale
シャチに似てるからこのような名前になったのでしょうが、直訳すると「偽シャチ」とは、本人には嫌な名前でしょうね。

カマイルカ→pacific white-sided dolphin
水族館のイルカショーといえばたいていカマイルカです。「white-sided」は側面の模様を表したものです。

ハナゴンドウ→Risso's dolphin
日本では属名「Grampus」の方が有名なのではないでしょうか。そう、サッカーのJリーグのチーム「名古屋グランパス」なのです。「名古屋」というと「しゃちほこ」→「シャチ」との連想から、グランパスのことをシャチのことだと思っている人は多そうですが、本当は全然違うのです。
「名古屋なんだからシャチでなきゃダメ!」という人もいるでしょう。そこで、考えてみました。シャチの属名「Orcinus(オルシナス)」を使うのはどうでしょう。「名古屋オルシナス」。うん、強そうな名前ですよ。さあ、さっそく改名運動を!(笑)

ハンドウイルカ→bottlenose dolphin
やはり水族館のイルカショーに登場するいるかです。カマイルカよりも一回り大きいです。口の部分がとんがっているのでこのような名前になりました。

マダライルカ→pantropical spotted dolphin
ハシナガイルカ→spinner dolphin
マイルカ→common dolphin
「普通のイルカ」です。数も多く、大群を作るのでよく目立つ種類です。

カワイルカ科
イルカの中には淡水に棲むものがいます。

カワイルカ類→river dolphin
だいたいは地名を冠して
ガンジスカワイルカ→Ganges river dolphin
などとすれば通用しますが、
アマゾンカワイルカ→boto
ヨウスコウカワイルカ→baiji
などのように固有の名前も持っています。

ネズミイルカ科
ここからがもうひとつのイルカ、「porpoise(ポーポイス)」です。小型のイルカを指します。

イシイルカ→Dall's porpoise
ネズミイルカ→harbour porpoise
スナメリ→finless porpoise
名前の通り、背中に背びれがないイルカです。

カイギュウ目

クジラやイルカとは別の海の哺乳類のグループにカイギュウの仲間がいます。沖縄などで目撃されるジュゴンの仲間です。

ジュゴン科
ジュゴン→dugong

マナティー科
アメリカマナティー→west indian manatee


参考文献

海の哺乳類 FAO種同定ガイド
著:トマス・A・ジェファソン、スティーブン・レザウッド、マーク・A・ウェバー
訳:山田 格(やまだ・ただす)
発行:NTT出版

クジラ・イルカ大百科
著:水口 博也(みなくち・ひろや)
発行:TBSブリタニカ


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