いきもの通信 Vol.254[今日の観察]すぐできる自然観察/水鳥を観察する 

Vol. 254(2005/1/16)

[今日の観察]すぐできる自然観察

水鳥を観察する

「いきもの通信」について、時々「内容が難しすぎる」という意見をいただくことがあります。文章はなるべく平易に書いているつもりですが、内容の方がマニアックに受け止められることもあるようです。「動物事件学」なんかは特にそうなんでしょうが。ということで、たまには初心者向けのわかりやすい内容を書いてみようと思います。といっても座学ではなく、実際に読者自身が体験し、実感できるようなテーマを選んでみました。それは「バードウォッチング入門」です。


野鳥観察=バードウォッチングの入門に最適な季節は間違いなく冬です。なぜなら、木の葉が落ちて林や森の見通しが良くなり観察しやすいからです。また、北からは渡り鳥が越冬のため日本にやって来ます。鳥の観察の中でも初心者に最適なのが水鳥(水辺で見られる鳥)です。水面は普通、障害物があまりありませんから遠くからでも観察できますし、水鳥の代表であるガン・カモ類は比較的大型なのでやはり観察は容易です。
ということで、冬に池、川、海などへ行って水鳥を観察するというのが初心者おすすめコースなのです。

初級編

まずは池、川、海に行ってみましょう。あなたの家に近い場所でかまいません。池はあまり小さすぎたり浅すぎると水鳥はいません。また、川も都会の三面コンクリート張りの場所ではあまり期待できないでしょう。まあ、無理をしないで行ける範囲の場所を選んでください。
最初にすることは、そこにいる鳥の名前を調べることです。鳥の図鑑を持っていって名前を調べてみましょう。図鑑もコンパクトで安いものがあります。大きくて詳しい本も結構ですが、野鳥観察に持っていくにはコンパクトなもので十分役に立ちます。あと、双眼鏡もあった方がいいですね。8〜10倍程度の小型のもので十分です。大きすぎると重くなってお荷物になりますからね。
水面にぷかぷか浮いている水鳥はたいていがガン・カモの仲間です。他にはバンの仲間、カイツブリ、カワウ、カモメの仲間といったところでしょうか。浅い水辺や岸、浜を歩いているのはサギの仲間、シギ・チドリの仲間です。種類は意外と限られているので、図鑑から名前を探すのは難しくないと思います。
ちょっとだけ注意点を挙げておくと、カモ類はオスとメスとで体の模様が異なっているのが普通です。また、オスの方が派手な色であるのが普通なので、まずはオスから覚えていくのがいいでしょう。そして、オスのそばにはたいていメスもいっしょにいます。
春になると、渡り鳥であるガン・カモ類は北へ去っていきますが、そこにとどまる種類の鳥もいます。同じ場所でも長期的に、できれば1年を通じて定期的に観察を続けてみてください。時々かわった訪問客がやって来ることもあります。

中級編

鳥の名前を覚えたならば、もうちょっと深い観察をしてみましょう。
その方法のひとつは、いろいろな場所を巡ってみることです。これは当たり前のことですが、場所によって生息する水鳥の種類は異なりますし、数も違います。ある場所ではほとんど見かけることのない鳥が、別の場所ではたくさんいたりするのです。ここでもやはり、鳥の名前を確認することから始めましょう。また、その鳥がなぜそこにいるのか、理由を推測してみるのも面白いでしょう。例を挙げれば、オシドリは数が多い場所と少ない場所がかなりはっきりと分かれます。オシドリがいる場所をよく観察すると、水面に樹木がおおいかぶさるような暗い場所を好むことがわかるでしょう。「オシドリは暗い場所が好き」という推測ができるわけです。
いろいろな場所へ行くといっても、やはり無理のない距離の場所で十分です。例えば東京都内なら、水元公園、新宿御苑、石神井公園、井の頭公園、多摩川など観察に適した場所はいくつもあります。余裕があるならもっと遠くに足を伸ばしてみるのもいいでしょう。

中級編のもうひとつの観察方法は数を数えることです。単純なことのようですが、これは意外と重要なことです。これは同じ場所で長期的に継続していくとその意味がわかってくるでしょう。例えばカモ類に注目してみると、北から飛来した時期、北へ去った時期がわかりますし、徐々に数が増減していくのがわかるでしょう(渡り鳥はいっせいに移動するのではなく、移動時期に幅がある)。また、何年も続けて数を数えてみると、生息する/飛来する鳥の数が変化していくことがわかるでしょう。変化をするのも何か理由があるはずです。それを推測するのも面白いでしょう。

中級編にもなれば、ちょっと詳しい書籍や図鑑を読んでみるのもいい勉強になるでしょう。鳥たちの行動の謎が判明したり、新たな観察のポイントがわかってくると、観察はますます面白いものになっていくでしょう。

上級編

ここまで来れば、後は自分自身で何かテーマを決めてやってみてください。水鳥のこだわることなく、陸鳥に転向してもかまいません。


水鳥ウォッチングは本当に簡単で、初心者におすすめできる「自然観察入門」です。自然観察といっても何から始めればいいかわからないという方はぜひこれをやってみてください。


[いきもの通信 HOME]