Vol. 368(2007/7/8)

[今日の動物探偵!]屋根裏の散歩者、ハクビシンとアライグマ

注意
タイトルに「動物探偵」という言葉を使っていますが、私の本職は動物探偵ではありません。また、動物関係の事件を無条件に扱っているわけでもありません。特に、迷子ペットの捜索は一切やりません。動物探偵の仕事もタダでやっているわけではありません。ギャラは高いです。

前回は本所七不思議のうち、「足洗邸」の謎を解きました。犯人はハクビシン、という結論になったのですが、足洗邸ミステリーは現在もあちこちで発生している事件です。

時々ですが、「民家の天井裏に何か動物が入り込んでいる」という話やニュースを聞くことがあります。天井裏ならネズミだろう、と思う人も多いでしょうが、「いや、ネズミよりもずっと足音が大きい」と住人は言います。その動物とは、前回も書いたようにハクビシンあるいはアライグマのどちらかとみて間違いありません。

この天井裏動物の害は、まず「うるさい」ということです。しかもハクビシンもアライグマも夜行性で(足洗邸も夜の話でした)、寝静まった頃にどたばたどたばたやるのですから、住人はびっくり仰天、夜も眠れなくなります。
害の第2は、糞尿が天井にしみ込むことです。天井裏でそれなりの時間をすごすのですから当然糞尿もします。そのにおいのくささだけではなく、天井にしみが広がってくるのですから見た目にもイヤ〜な感じです。リフォーム代どうしよう、と悩みの種が増えてしまいます。
害の第3は、繁殖する、つまり子どもを産むということです。出産=数が増えるということですから、天井裏の騒ぎはますます大きくなってしまうのです。

この天井裏動物問題の対策は簡単なものではありません。
まず、アライグマは外来生物法で特定外来生物に指定されているので、基本的に駆除は可能です。ただ、どんな手段をとってもいいというわけではないはずで、都道府県の鳥獣担当部署に相談するべきでしょう。
ハクビシンの場合は鳥獣保護法とからんできます。鳥獣保護法では「有害駆除」が認められていますが、これは主に農業被害についてのもので、ハクビシンが天井裏にいる状況が「有害」と言えるかどうかは微妙なところです。また、ハクビシンは同法では狩猟鳥獣に指定されていますが、狩猟免許がない人が狩猟をするのは違法です。都道府県の鳥獣担当部署に相談するべきでしょう。
つまりアライグマでもハクビシンでも、まずは都道府県に相談することをお勧めします。

実際に駆除の許可が出たとして、どう実行すればよいのでしょうか。
駆除をするのは素人ではなかなか難しいものです。ここはやはり業者にやってもらう方が無難でしょう。もちろん、必ず見積りは前もって出してもらいましょう(残念ながら私は相場までは知りません)。

「駆除は1日にしてならず」という格言(←今、私が考えた)があるように、駆除は簡単にできるものではありません。よって、私は駆除を引き受けることはありませんが、もし駆除をするならばこういう方法をとるでしょう。
まず、大原則として動物を殺さない方法を採用します。つまり、家の中に入ってこれないようにするのです。このような考え方は「物理的防御」と呼べるものです。ハクビシンでもアライグマでも、一日中天井裏に閉じこもっているはずはありません。食事をしに必ず外に出ます。そこで、家の中に戻れないように侵入路をふさいでしまうのです。
ハクビシンやアライグマは玄関や勝手口から入ってくるのではありません。人間が気づかないすき間から侵入してきます。必ずどこかに侵入路があるはずなので、それを発見することが最初の作業になります。床下、壁の破損箇所、屋根のすき間…そういったところを調べていきます。床下や壁からでは天井裏に行けないだろう、と思いがちですが、壁の中身が例えばウール状の断熱材だと、かきわけて通路を作り、天井裏にたどり着くことができるようです。
侵入路を発見できれば、動物たちが出かけた頃合いを見計らって侵入路を板などでふさぎます。これらの動物たちは夜行性なので、夜の工事になります。

このような対策はご家庭でも不可能ではありませんが、難しいと思ったらやはり業者に依頼するのがいいでしょう。ただ、簡単に解決しないことも予想されることなので、業者だからといって完全解決を期待しすぎてもいけません。動物探偵の私でも難しい仕事と言わざるをえないほどなのですから。


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