さて、前回は子供たちも巣から遠く離れて行動するようになった頃までの話でしたが、今回はその続きです。途中省略しているところもありますが、毎週1回か2回は現地に足を運んでいます。
7月21日
メンテナンスが放棄されていた巣ですが、この日はとうとう土台だけになってしまいました。土台? そう、この巣は偶然この場所に作られたのではなく、人間がわざわざ巣の土台を提供していたのです[写真A]。この土台はしっかりとロープに結びつけられていました。道理で雨風にもびくともしなかったわけです。この場所に土台を設置できるのは公園の管理者たちだけでしょう。しかも、後日この土台は無くなっていましたので、毎年シーズンになると設置しているようです。カイツブリたちに代わってこの配慮には感謝したいと思います。7月下旬(孵化後 1ヶ月)
この頃には子供だけで行動していることが多くなりました。親が近くに来ると近寄ったり、親からエサをもらうこともまだあります。
子供の胴体の羽毛の模様が消えました[写真B]。8月23日(孵化後 約2ヶ月)
この頃には子供も親と同じ行動をするようになっていました。単独で行動し、自分でエサもとっています。潜水時間も長くなりました。これは、潜水後どこに浮上するかの予測も不可能になったということでもあり、この時期以降、探すのが急に難しくなりました。
それでも親からエサをもらったり、親を見ると近づく行動は時々見られます。ただ、この行動も以後ほとんど見られなくなります。代わりに、親が子供を追い払うような行動を時々見るようになりました。といっても本格的な子離れではなく、追い払った直後でも親子がそばにいる姿を見ることができました。この日は、別の場所にテリトリーを持つつがいが営巣しているのを発見しました。こちらの巣は水面に垂れ下がった木の枝に作られていました[写真E]。この時期からの営巣はいくらなんでも時期が遅すぎでしょう。こちらも約1ヵ月観察を続けましたが、卵はついに孵化しませんでした。
こちらの巣の観察で面白かったのは、カイツブリではなく、人間の方でした。私が巣に向けてカメラ、ビデオカメラを構えているにもかかわらず、巣に気づかない人がほとんどだったのです。カイツブリは抱卵しているし、距離的にも遠くはありません。皆さん、意外と周りを見ていないのですね。9月6日
子供の頭の模様も消えつつあります[写真C]。それでも親との区別は難しくありません。なぜなら羽毛の色が子供の方がやや薄く、くちばし全体が黄色だからです。かなり遠くからでも判別はできます。9月下旬(孵化後 3ヶ月)
カイツブリの子供は3羽いるのですが、ここしばらく3羽全てを確認できていません。2羽までなら見つかるのですが、もう1羽が見つからないのです。
と思っていたら、隣のなわばりにそれらしい1羽が。この個体が3羽の内の1羽なのかは確信が持てません。
[写真D]は本来のなわばりの方にいる子供です。頭の模様も消えました。くちばしが黒くないので親とは区別できます。9月22日撮影。10月16日
先月から断続的にカモたちが北から戻ってきていましたが、この日は主なカモたちがほぼ勢ぞろいしました。マガモ、オナガガモ、ハシビロガモ、キンクロハジロ、ホシハジロといった連中です。これらに常駐しているカルガモとオシドリを加えると、この公園の冬の顔がそろったことになります。
この公園では人間がほいほいとエサを与えるために、カモたちが大集団で待ちかまえています。カイツブリの方はというと、その混雑を嫌ってか離れたところにいました。
親子は羽毛の色の薄さ、くちばしの色の違いで今でも判別可能です。
さて、いずれ子供たちが親から離れる日が来るのですが、いつになるのでしょうか。ということで、この観察日記はまだ続くのです。
Vol. 58(2000/8/27) カイツブリ子育て日記 その1
Vol. 84(2001/4/15) カイツブリ子育て日記 その3
Vol. 93(2001/7/1) [今日のいきもの]カイツブリ/カモの子供ではありません!