Vol. 412(2008/6/22)

[今日の勉強]地球の動物たちの分類をビジュアル化する

その2 実践編

Vol. 411(2008/6/15) その1 準備編
Vol. 412(2008/6/22) その2 実践編
Vol. 414(2008/7/6) その3 解説編1
Vol. 415(2008/7/13) その4 解説編2

ひな形(上図)が完成したところで、授業の本題が始まります。

このひな形を提示したら、生徒たちに動物の名前を1つずつ言ってもらいます。1クラスあたり30〜40人ぐらいでしょうから、2周ぐらい回してもらえばいいでしょう。
動物の名前は、本当は正確な種名を言ってもらった方がいいのですが、このひな形自体があまりにもおおざっぱなので、あまり気にしなくてもいいでしょう。
(例えば、「ゾウ」「クマ」よりも「アフリカゾウ、インドゾウ」「ツキノワグマ、ヒグマ、ホッキョクグマ」の方が望ましいのだが、無理はしなくてよい。)
さすがに「鳥」とか「魚」では漠然としすぎなので、具体的な名前を挙げてもらってください。
恐竜など絶滅してしまった動物はダメです。この図は、現在存在している動物についてのものですから。

例として、私が適当に動物名を入れてみました。

これを見ると、はは〜ん、とわかる人もいるでしょう。この図はつまり、動物の種類数の比率を面積に置き換えたものなのです。

ここで種明かしをすると、この図は次のような分類を表しています。
まず、「門」レベルでの分類はこうなっています。

次に、「節足動物門」と「脊索動物門」の中の分類です。

さらに、「六脚亜門」(=昆虫)の中の分類です。

具体的な種類の数は次回紹介しますが、ちょっとだけピックアップしてみると、

哺乳綱は約5000種
節足動物門は1,097,289種
六脚亜門(昆虫)は948,000種

といった数になります。

昆虫というのは地球上で最も反映しているということがこの図からよくわかるでしょう。人間は哺乳綱の中の1つの種にすぎません。
しかし、実生活の中では人間や脊椎動物ばかりが目立ちます。なぜでしょう。
その理由のひとつは、体の大きさです。昆虫は小さいため、あまり目につきません。しかし、よく目を凝らしてみると、地面にはアリが、花にはチョウが、草原にはバッタがいます。
昆虫をはじめとする無脊椎動物は大きな体を持つことができません。「骨」(内骨格)を持っていないため、大きな体を支えることができないのです。最大の無脊椎動物はダイオウイカですが、この大きさは水中だから可能なのです。地上ではヤシガニとかヘルクレスオオカブトとか、そのあたりが大きさの限界になります。
人間以外の動物が目立たないもうひとつの理由は、人間は他の生物を排除するような方向に生活環境を変化させてきた、ということです。人間の歴史は自然を開拓して人工物を作っていくことだったと言ってもいいかもしれません。その結果が日本にもあるような大都市なのです。


地球全体で見ると、とても多くの種類の生物がいろいろな場所に生息しています。それを表しているのが今回紹介している図なのです。
地球は人間だけで成り立っているわけではありません。いろいろな動物、そして今回の図には含まれていない植物や菌(キノコやコケ)、その他の小さな生物が集まって地球の生物世界を構築しているのです。そういうことを実感してもらうのが、今回の「動物分類のビジュアル化」の目的なのです。

この図から他に何を説明するかは、現場の先生方にお任せしましょう。
例えば「タコやイカは貝の仲間なんだ」とか「脊椎動物の体のつくり」とか「昆虫はこんなにいろんな種類がいるのだ」とか、いろいろな方向に話を展開させることができます。


次回は、「解説編」として、ひな形となった図について詳細な説明をしていきたいと思います。


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