Vol. 411(2008/6/15) その1 準備編 Vol. 412(2008/6/22) その2 実践編 Vol. 414(2008/7/6) その3 解説編1 Vol. 415(2008/7/13) その4 解説編2 |
解説の最後は、それぞれの枠に位置する分類群とその割合を再確認しましょう。
まずは全体です。
次は、脊索動物門と節足動物門の詳細です。
さらに、昆虫類を分類します。
解説は以上です。
これらを参考に授業で活用してください。
…と言いたいところですが、やはり内容的に難しすぎますかね? まず、先生方がこれを理解してくれないことにはうまく行きそうもないですね。動物学をやったことがある先生ならば、図鑑と格闘しながら理解できるのではないかと思います。
さて、最後にこの「動物分類のビジュアル化」から読み取れることの例をいくつか並べてみたいと思います。この図はいろいろなことを語っているので、それをどう取り上げるかは先生によりけりでしょう。以下に挙げるようなことも参考にしてみてください。
●地球は人間だけで成り立っているのではありません。そして、脊椎動物だけで成り立っているのでもありません。「動物」=「哺乳類」と思っている方が意外といるようなのですが(「動物図鑑」=「哺乳類図鑑」だったりするのでそう誤解されるようです)、そうではないのです。
●希少動物を大切にしよう!とよく言われますが、希少動物というのはパンダとかホッキョクグマだけではありません。100万種以上いる動物の中には、私たちが知らない目立たない希少動物がたくさんいます。そういうものまで全部まとめて大切にしなければならないのです。
●「動物分類のビジュアル化」で紹介したのは動物だけです。地球上には他にも植物や原生動物などといった生物がいます。それも忘れないでください。
ですが、生物全体で見てもやはり昆虫が最大多数のグループなのです。「地球は昆虫の惑星」と言われることがありますが、否定することなどできません。
●地球の生態系は、これら100万種以上の動物、そしてさらに植物や原生動物などといった生物によって構築されている、ち密なシステムなのです。これまで人間はこの壮大なシステムをいじりまわしてきました。それがどのような結果をもたらすのか理解しないままに…。もちろん、このシステムは永遠不変ではなく、長い年月の間には変化していきます。しかし人間による改変はあまりにも速く、あまりのも大きなものです。
●「目」レベルで最大派閥は、図からも明らかなように甲虫目です。全動物種の30%は甲虫目になってしまうのです。
その下の「科」レベルでの最大派閥は、甲虫目コガネムシ科です。カブトムシ、コガネムシ、ハナムグリが代表的なもので、他にもカナブンやスカラベ(フンコロガシ)なども含まれます。知らない人には信じられないでしょうが、コガネムシ科は非常に多様なバリエーションを持っています。あまりにも微妙すぎて普通の人の理解を超えていますが…。でも、マニアにはその微細さがたまらないのでしょう。
●動物のほとんどは小さな体です。昆虫が大多数を占めているからでもありますが…。それでも、全体を見渡すと人間というのは非常に大きな動物の部類であるのは事実です。「人間なんてちっぽけだ!」なんて言っても、昆虫やミミズやクマムシから見れば人間は超巨大な生物なのです。
4回に渡って説明してきた「動物分類のビジュアル化」はどうだったでしょうか。実際に授業でやってみるには難しいところがあるでしょうが、説明を聞く側なら面白い発見がいろいろできるのではないでしょうか。
こうなったら私自身が説明に出向いた方がいいのかもしれませんね。