Vol. 78(2000/2/25)

[今日の事件]最近の事件から

ガラパゴス諸島石油流出/カズハゴンドウ集団座礁/

ネコ洋弓銃射殺事件

おまけ:今日のテレビ/愛犬ロシナンテの災難

最近、いろいろな動物関連事件が起きました。以前に似た話題を紹介していたりしますので、詳しくは書きません。まとめて簡単に紹介しておきます。


[ON THE NEWS]ガラパゴス諸島石油流出

2001年1月19日、エクアドル領ガラパゴス諸島の東端に位置するサンクリストバル島沖でタンカーが座礁、燃料油が流出した。油はサンクリストバル島、サンタフェ島に漂着した。油は海流に流され、また救出活動もあったため動物への影響は最小限ですんだ。
(SOURCE:朝日新聞(東京版) 2001年1月22日夕刊、1月23日夕刊など)

[EXPLANATION]

地球の裏側の事件のせいか、ほとんど情報も得られないまま終息してしまいました。大きな被害にはならなかったのは幸運でした。しかし、とにかく情報が無い! よって書くこともほとんど無いのです。
さて、このガラパゴス諸島、名前が有名なわりには場所を知らない人が多かったり、何で有名なのか知られていなかったりします。ガラパゴスについてはここで説明しきれるものではありませんので、以下の本を紹介しておきます。

ガラパゴス大百科
著:水口 博也(みなくち・ひろや)
発行:TBSブリタニカ
価格:4700円
初版発行日:1999年7月8日
ISBN4-484-99300-7

水口氏は写真家として有名で、この本でもきれいな写真が多数収録されています。ガラパゴスというとやはり動物が中心になるのですが、それ以外の植物、地理、人間社会のことも取り上げられている広範な内容の本です。


[ON THE NEWS]カズハゴンドウ集団座礁

2001年2月11日朝、茨城県波崎町の海岸にカズハゴンドウ約50頭が約1kmにわたって打ち上げられているのが発見された。半数近くは死んでいたが、残りはサーファーや地元の人たちが海に戻した。
(SOURCE:朝日新聞(東京版) 2001年2月12日)

[EXPLANATION]

クジラ・イルカの座礁は珍しくないのですが、集団座礁はそう頻繁にあるものではありません。また、ゴンドウクジラの仲間はマイルカ科に分類されるのですが、一般的によく知られているわけではない種類です。集団で行動するため、集団座礁を起こすことがあるようです。
カズハゴンドウの体重は160kg。テレビのニュース映像では、数人がかりで持ち上げて海に戻していましたが、相当重かったのではないでしょうか。もうちょっとていねいに扱った方がいいのではないかとか、注意しないと暴れてお互いにケガをしかねないよとか思うことはいろいろあったのですが、座礁の救出は時間との戦いでもあるわけで、現場を見たわけでもない私がとやかく言うものではないでしょう。結果的にも半数は救うことができたわけで、悪くない対処だったといえるでしょう。

クジラ・イルカの座礁について

EXTRA 2(2000/10/8)「季刊Relatio」連載「動物事件の読み解き方」補足
 第2回 マッコウクジラ座礁事件

Vol. 41(2000/4/16) [今日の事件]マッコウクジラ座礁事件/あのクジラを救出する方法はあったのか?

クジラ・イルカの本について

Vol. 54(2000/7/30) [今日の本]クジラ・イルカの図鑑を3冊/完璧版 クジラとイルカの図鑑、海の哺乳類 FAO種同定ガイド、クジラ・イルカ大百科


[ON THE NEWS]ネコ洋弓銃射殺事件

2001年2月5日、警視庁成城署は、ネコを洋弓銃(クロスボウ)で射殺したとして、「動物の愛護及び管理に関する法律」(通称:動物愛護法)違反容疑で銀行員を逮捕したと発表した。自宅庭に入ってきた近所の飼い猫を射殺したのが直接の容疑だが、容疑者は昨年夏頃から約10匹を撃ったと話しているらしい。最初は庭にフンをするのに腹をたててのことだったらしいが、庭にエサを置いておびきよせることもしていたらしい。
(SOURCE:朝日新聞(東京版) 2001年2月5日夕刊)

[EXPLANATION]

この事件は改正された「動物愛護法」が適用された最初の事件なのではないでしょうか。この手の虐待事件というのは、たいてい夏に発生し、若い男性が犯人であるということが多いものですが
、そういう思い込みはいけませんよね。それにしてもどうやって犯人を割り出すことができたのか、そっちの方が気になる事件でもあります。
ただ、ネコのフン害は確かにやっかいなものであることは認めなければなりません。においはするし、大切に育てている庭を荒らすことになるのですから、被害は深刻です。しかしフン害を避ける方法はまったく無いわけではありませんので、人間が知恵を絞って上手に回避するようにするべきでしょう。ただし、ペットボトルなんかは全然効果ありませんよ。


おまけ:今日のテレビ/愛犬ロシナンテの災難

日本テレビ 土曜夜9時 2001年1月〜3月放映

よくあるコメディーものかなと思っていたら、意外と面白いドラマでした。八王子大学獣医学部のお人よしの学生を主人公にしたお話です。というと、獣医学部マンガの傑作「動物のお医者さん」を思い出される人もいるでしょう。このTVドラマも「動物のお医者さん」をかなり意識しているようで、ストーリーがだぶらないように苦心しているのではないかと思わせるところがときどきあります。そのわりには人物設定にあまり工夫が無いような感じもします。
この手の動物ドラマの場合、単純な「動物可愛い路線」とか「動物絶対保護」とかいう安易な方向になるのではないかという懸念をいつも持たざるをえないのですが、この「愛犬ロシナンテの災難」は社会的問題としての動物問題をしっかりと取り上げていて、コメディーでありながらかなり真剣な問いかけもしている内容になっています。番組では動物もよく死にますし、主人公の担当教授の浦島先生は辛口の発言をばんばんします。動物は愛でるだけの対象ではなく、人間とかかわりながら生きていく存在であることをよく表現しているドラマだと言えます。
ただ作劇的にいうと、ヒロインの存在理由がよくわからないなー、と正直思うのでした(苦笑)。これから活躍する場面が増えるんでしょうか。


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