いきもの通信 Vol.414[今日の勉強]地球の動物たちの分類をビジュアル化する/その3 解説編1 

Vol. 414(2008/7/6)

[今日の勉強]地球の動物たちの分類をビジュアル化する

その3 解説編1

Vol. 411(2008/6/15) その1 準備編
Vol. 412(2008/6/22) その2 実践編
Vol. 414(2008/7/6) その3 解説編1
Vol. 415(2008/7/13) その4 解説編2

今回と次回は、「動物分類のビジュアル化」の詳細な説明をしていきます。

まず、この「ビジュアル化」について、元ネタになったホームページを紹介します。

http://www.kochi-u.ac.jp/w3museum/Fish_Labo/Member/Endoh/Metazoa/metazoa.html

「高知大学バーチャル自然史博物館」の中の「高知大学理学部自然環境科学科海洋生物学研究室ホームページ」の中の1ページです。このページでは、動物の分類と、それぞれの種類数について列記してあります。
今回紹介している「動物分類のビジュアル化」は、このホームページに書かれたことをビジュアルに表現したら面白いだろうな、と思ったことに始まります。このアイディアを思いついたのはもう数年前になります。


今回の「動物分類のビジュアル化」の参考図書も上記ホームページと同じものです。
ひとつは「Invertebrates Second Edition」(著:Richard C. Brusca、Gary J. Brusca・出版社:Sinauer Associates Inc・2003年)という分厚い洋書です(900ページ以上あります!)。紀伊國屋書店BookWebによればUS$116.95となっています。普通なら1万円以上の価格です。中身は当然、英語ばかりです(そして専門用語ばかり)。図版はカラーもありますが、モノクロが多いです。本当に専門家向けの本なので、学校の授業用にわざわざ買うようなものではありません。アマチュアが読みこなせるものではないでしょう。
ちなみに、私はイラストレーターであり、生物のモルフォロジーにも関心を持っているので、この本は文章を読まなくても図版だけで「えへえへ」と喜んでしまうような人物です(笑)。こういう人はめったにいないでしょう。

もうひとつの参考図書は「水の生物」です。詳細は以前「Vol. 384(2007/11/4)[今日の本]小学館の図鑑NEO・水の生物」で紹介しました。この図鑑は小学生向けのもので、普通に読んでも面白いものです。貝とかタコとかカニといったタイトル通りの動物が収録されているだけでなく、日常生活ではまずお目にかかれない超マイナーな動物も載っています。一般的な動物図鑑ではカバーしていない動物が載っているので、動物分類を語るには必須のものです。
学校用にはもちろん、哺乳類、鳥類、魚類、昆虫といったメジャーな図鑑も同時にそろえておいた方がいいのは言うまでもありません。


次は、それぞれの分類グループの種の数のリストです。分類と種の数は、「Invertebrates Second Edition」に基づきます。分類も種の数も、細かなところではいろいろな異なる見解があるのですが、どこかで統一を図らなければなりませんので、今回は「Invertebrates Second Edition」のものを採用しました。
ただ、昆虫をはじめとする節足動物はもっと数が多いのは確実です。また、線形動物(センチュウ)もおそらくもっと多いだろうと言われています。人間はすべての生物を研究しつくしたわけではありませんので、このような誤差は当然含んでいることは理解しておいてください。

以下は「門」レベルでの種数の一覧表です。それぞれの代表的な動物の名前も書いておきました。赤数字は、ビジュアル化された図に掲載された「門」です(全体の割合が0.5%以上のもの)。それ以外は「その他の動物」にまとめられています。

種数
全体の割合
海綿動物門 かいめんどうぶつもん
カイメンの仲間
5500
0.42%
平板動物門 へいばんどうぶつもん
トリコプラックスのみ
1
0.000075%
?胞胚様動物門 はいほうようどうぶつもん
これまでに1度しか記録されておらず、存在が疑問視されている。
1
0.000075%
直泳動物門 ちょくえいどうぶつもん
70
0.0052%
菱形動物門 りょうけいどうぶつもん
20
0.0015%
刺胞動物門 しほうどうぶつもん
サンゴの仲間、イソギンチャクの仲間など
10000
0.75%
有櫛動物門 ゆうしつどうぶつもん
100
0.0075%
扁形動物門 へんけいどうぶつもん
プラナリアの仲間、ヒラムシの仲間、サナダムシの仲間など
20000
1.50%
ひも形動物門 ひもがたどうぶつもん
ヒモムシの仲間
900
0.067%
輪形動物門 りんけいどうぶつもん
1800
0.13%
腹毛動物門 ふくもうどうぶつもん
イタチムシ類など
450
0.034%
動吻動物門 どうふんどうぶつもん
150
0.011%
線形動物門 せんけいどうぶつもん
センチュウの仲間
25000
1.87%
類線形動物門 るいせんけいどうぶつもん
ハリガネムシの仲間
320
0.024%
鉤頭動物門 こうとうどうぶつもん
1100
0.082%
内肛動物門 ないこうどうぶつもん
150
0.011%
顎口動物門 がくこうどうぶつもん
80
0.0060%
鰓曳動物綱 えらひきどうぶつもん
16
0.0012%
胴甲動物門 どうこうどうぶつもん
10
0.00075%
有輪動物門 ゆうりんどうぶつもん
パンドラムシのみ
1
0.000075%
星口動物門 ほしくちどうぶつもん
320
0.024%
ユムシ動物門 ゆむしどうぶつもん
135
0.010%
環形動物門 かんけいどうぶつもん
ゴカイの仲間、ミミズの仲間、ヒルの仲間など
16500
1.24%
有爪動物門 ゆうそうどうぶつもん
カギムシの仲間
110
0.0082%
緩歩動物門 かんぽどうぶつもん
クマムシの仲間
800
0.060%
節足動物門 せっそくどうぶつもん
昆虫、クモ、エビ、カニ、ミジンコ、ムカデなど
1097289
82.15%
軟体動物門 なんたいどうぶつもん
貝類、カタツムリ、ウミウシ、タコ、イカなど
93195
6.98%
ほうき虫動物門 ほうきむしどうぶつもん
20
0.0015%
外肛動物門 がいこうどうぶつもん
4500
0.34%
腕足動物門 わんそくどうぶつもん
335
0.025%
棘皮動物門 きょくひどうぶつもん
ヒトデの仲間、ウニの仲間、ナマコの仲間など
7000
0.52%
毛顎動物門 もうがくどうぶつもん
100
0.0075%
半索動物門 はんさくどうぶつもん
ギボシムシの仲間など
85
0.0064%
脊索動物門 せきさくどうぶつもん
魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類など
49693
3.72%
合計
1335751
100%

さらに、節足動物門は次のように分類できます。

亜門
種数
全動物中での割合
六脚亜門 =昆虫
948000
70.97%
鋏角亜門 =クモ、ダニ、サソリ、カブトガニなど
70000
5.24%
甲殻亜門 =エビ、カニ、ミジンコ、ダンゴムシなど
67829
5.078%
多足亜門 =ムカデ、ヤスデなど
11460
0.86%
合計(=節足動物門)
1097289
82.15%

さらにさらに、六脚亜門(=昆虫)の内、比率が大きいのは次の5つの目です。詳しくは「Vol. 251(2004/12/26)[今日の本]昆虫の誕生」も見てください。

六脚亜門内での割合
全動物中での割合
甲虫目 =カブトムシ、クワガタムシ、コガネムシ、テントウムシ、カミキリムシ、ハムシ、ゾウムシなど多数
42%
29.81%
膜翅目 =ハチ、アリ
15%
10.65%
鱗翅目 =チョウ、ガ
14%
9.94%
双翅目 =ハエ、アブ、カ、ユスリカなど
11%
7.81%
半翅目 =セミ、アメンボ、カメムシなど
10%
7.10%


脊索動物門の中には脊椎動物が含まれます。その中の種の数については、私がおおざっぱな数字を出してみました。この数字を合計すると、「Invertebrates Second Edition」での数字を上回ってしまいます。そこで、私が算出した数字を、「Invertebrates Second Edition」での種数に合うように係数を乗算して割合(パーセント数)を出しました。

種数
全動物中での割合
魚類=硬骨魚類、軟骨魚類、ヌタウナギ類など
30000
1.81%
両生綱
6000
0.36%
爬虫綱
7000
0.42%
鳥綱
10000
0.60%
哺乳綱
5000
0.30%
合計(=脊椎動物亜門)
58000
3.49%


次回は、以上の数字が図のどこに配置されているのか確認していきます。


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