Vol. 521(2011/7/10)

[東京タヌキ探検隊!の歴史]
2008〜2010年ごろのこと

2007年7月の報告書は画期的なものでしたが、問題点もありました。それは情報の質が必ずしも良くないということです。例えば、日時がはっきりしない、場所がはっきりしない、などといった情報が少なくなかったのです。また、目撃時の状況がはっきりしないものが多いのも残念なことでした。目撃情報の内容があいまいだと、データベース自体の信頼性も低くなってしまいます。
これは紙のアンケートの場合は普通のことと言えます。アンケートに記入してもらい、回収する。それ以上の確認作業は行われないものです。
しかし私がやっている方法、メールを使う場合は1往復のメールだけで聞き取りが完了することはほとんどありません。私(宮本)と目撃情報についてメールをやりとりをした方の多くがご存知と思いますが、私は不明な点があったら必ず確認をとるようにしています。タヌキかハクビシンかアライグマか、正体がはっきりしないような場合はなおさらです。

このようなていねいな情報収集の結果、データベースの質はかなり良くなりました。すると、過去の情報の精度が良くないことがますますはっきりしてきたのです。特に都市動物研究会関連の情報は相対的に精度が悪く、いつかは切り捨てなければならないだろうと考えていました。
また、都市動物研究会の情報を用いて私が報告書等を書くと「都市動物研究会の情報を勝手に使うな」と言われかねないおそれもありました。ですので、いずれは都市動物研究会からは離れて活動せねばならないと思っていました。それが2008年のことです。
2009年に宮本は都市動物研究会を退会し、2010年1月の報告書からは都市動物研究会(および佐々木洋)関連の情報は除外するようにしました。また、2011年3月のデータベース再構築の際に都市動物研究会(および佐々木洋)関連の情報をデータベースから削除しました。それでもデータベースの質は下がることはありませんでした。メールで寄せられる目撃情報は都市動物研究会関連の情報をはるかに上回る数になっていたからです。そもそも都市動物研究会とは2008年以降、情報の交換はまったくやっておらず、都市動物研究会に頼る必要性はなくなっていました。

メールによる目撃情報の収集は、2008年以降軌道に乗ったと言える状態になりました。1999年の開始から10年もかかって、ようやくシステムができあがったのです。10年はちょっと長すぎる時間です。営利企業ならありえない話です。こんなに時間がかかってはビジネスにはなりません。大学のような研究機関でも10年もかかるようでは評価はされないでしょう。しかしこのシステムによる調査研究の結果は、誰もこれまで知らなかったことを明らかにできました。私自身はこれを「アマチュアの快挙」と自賛することにしています(誰もほめてくれないので(笑))。
私の調査活動のことを「趣味」だと思っている人は多いでしょう。確かにこれは「仕事」ではありませんし、私は「プロ」ではありません。ですが「趣味」と見なされることには非常に違和感があります。私は個人的な楽しみだけでやっているのではありません。研究結果が社会に、多くの人にインパクトを与えるだろうことを意識しながら活動しています。また、この調査研究は「何かのついで」でやっているようなものではなく、ここ数年はかなり本腰を入れて取り組んでいます(取り組まねばならない状況になっています)。もはや趣味の領域をはるかに越えたものなのです。

システムが軌道に乗ったこと、これはつまりメールの数が増えたということなのですが、これはネット検索で上位にランクされるようになった影響が多いです。「タヌキ」あるいは「ハクビシン」という単一の単語でも上位に表示されるのは非常に大きなアドバンテージになっています。
新聞で紹介されたりするのも影響はいくらかあります。タヌキ関係の事件があるとYahooニュースからリンクされ、瞬間的にアクセスが殺到することも何度かありました。
ネット検索で上位になるには、ホームページにきちんとしたコンテンツを用意することが重要です。有名人なら名前だけでお客は来てくれるでしょうが、無名人は地道にコンテンツを構築することが大切です。


[東京タヌキ探検隊!の歴史]
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Vol. 517 2006〜2008年、東京タヌキ探検隊!の開始/情報収集の安定化へ
Vol. 522 予想もしなかった大発見

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