さて、今年も東京都内某公園でトンボを探しました。その結果報告です。これまでの探索については
「Vol. 112(2001/12/2) [今日の観察]都会にトンボは何種類いるか、調べてみました」
「Vol. 199(2003/11/9) [今日の観察]都会にトンボは何種類いるか、調べてみました 2003年版」、
そして自著「動物の見つけ方、教えます! 都会の自然観察入門」にも書いてありますのでそちらもご覧ください(その他トンボ関連は「トンボ 関連情報」もご覧ください)。
昨年までに発見できたのは計17種。今年はどこまで探せたのでしょうか…。アジアイトトンボ
今年最初に見つけたトンボがこのアジアイトトンボです。しかもこれまで見たことがなかった種ですから、幸先のよいスタートに思えました。発見したのは4月下旬。トンボのシーズン到来の時期です。トンボは夏とか秋のイメージが強いのですが、ゴールデンウィークを過ぎればシオカラトンボも現れます。夏前に出現のピークが来る種もいますので、春〜初夏も気が抜けない時期です。
アジアイトトンボについては
「Vol. 239(2004/10/3) [今日の観察]アオモンイトトンボとアジアイトトンボ、どう違う?」
で詳しく紹介していますので、ここでの解説は省略します。ただ、某公園ではこの1回だけしか見ることができませんでした。全国でも広く普通に見られる種とはいえ、この場所に長期的に定住できるのか心配されます。ナツアカネ
ナツアカネなんて都会でもそれほど珍しくもないはずなのですが、去年まではなぜか見つからなかった種でした。今年はこれまでに見ていなかった場所を早くから観察していたので、ナツアカネを簡単に見つけることができました。探してみるといるわいるわ。こんなにたくさんいるなんて想像外でした。
ナツアカネを夏に見つけるヒントは、「水場(産卵場所)を離れたところ」と「涼しいところ」を探すことです。ナツアカネ、アキアカネ、ノシメトンボなどアカネ属のトンボは暑いところが嫌いで、アキアカネは標高の高いところまで避暑に行ってしまいますし、その他の種は林の中など気温の低めのところに入ってしまいます。
秋になって気温が下がってくると、日の当たる場所にも出てきて、水場近くで交尾・産卵の準備に入ります。
ただ、不思議なことに某公園では秋になると姿を見なくなってしまいました。産卵をするために水場に移動したと思われるのですが、それがどこなのかはわからずじまいでした。ネキトンボ
これは9月下旬に催した、私が講師をした自然観察会で発見したものです。姿は明らかにアカネ属の仲間ですが、すぐには判別できませんでした。本で調べると胸の模様からすぐにネキトンボだとわかりました。また、翅の根元がオレンジ色であることからも判別できますね。
某公園には、今は使われていないプールがあるのですが、観察会の後日、そのプールにオスらしき個体がいるのも確認できました(プールの中には入れないので近づけないのです)。某公園では数は多くないようで、ピンポイントで見つけなければならないようです。
これで某公園ではっきりと確認できたのは全20種になりました。他にも捕まえられませんでしたがオオヤマトンボらしきトンボも目撃しましたし、オナガサナエを見たという報告もありましたので、20種超のトンボが生息しているのは確実です。もっとねばれば25種ぐらいになりそうな感じもします。立ち入りができない場所も多いので、そういう所も探せればなあ〜と思います(無理そうだけど)。
来年以降も探索は続けるつもりですが、見つけられるものはほぼ見つけてしまったので効率悪くなりそうですね。
そういえば今年の夏はNHK(首都圏のみの放送)でトンボ観察の紹介をしましたが、トンボは都会でも意外と多くいることが某公園での探索からもわかると思います。読者の皆さんも、来年のシーズンはトンボに注目してみてはどうでしょうか。