Vol. 329(2006/8/13)

[今日の観察]Google Earthで動物紀行・日本編

衛星写真というと、私はだいたいGoogleマップを使っています。これとは別にGoogle Earthというアプリケーションがあることは知っていましたが、どちらも同じようなものだろうと思っていたのでもっぱらGoogleマップの方を使っていました。
ある時、Google EarthにはMac版もあることを知って、試しに使ってみたところ、これがとても面白いものであることがわかりました。Google Earthはインターフェイスが面白いのです。自由に画面をドラッグでき、縮尺率もマウスホイールで自在に変えられる。しかも視点方向を東西南北、見下ろす角度まで自由に設定できますから、鳥や飛行機から見たような風景を作りだすこともできます(標高も反映されるのでリアル)。
これはこれで楽しいので、今ではGoogle EarthとGoogleマップを目的に応じて使い分けています。地図を利用する場合はGoogleマップ、旅行気分を楽しみたいならGoogle Earth、といった感じです。

ということで、今回と次回は夏休み企画として、Google Earthで日本と世界の名所を巡りたいと思います。この「いきもの通信」でやるからには当然、動物名所ばかりを取り上げます。
まずは国内編から。

※Google Earthのホームページ
http://earth.google.com/

※Google Earthの入力ボックスに「」のように示されている数値をコピー&ペーストしてENTERキーを押せば、目的の場所が表示されます。この方法は、実はGoogleマップでも有効です。お好きな方でやってみてください。

※今回の解説は2006年8月時点でのデータを元にしています。衛星写真画像は随時更新されていますので、今回の解説も近い将来に衛星写真画像にそぐわないものになるでしょう(例えば、季節の判別や土木工事の状況)。この点ご了解ください。


●霧多布湿原
43° 5'10.32"N 145° 5'3.95"E

霧多布といってもまだ有名ではないので知らない方も多いでしょう。私もよく知らないのですが、以前ここの写真を見た時に「ぜひ行きたい!」と直感的に思った場所です。鳥とか虫とか、いろいろいそうです。
霧多布湿原センターのホームページ

●蕪島
40°32'18.46"N 141°33'29.44"E

ウミネコの繁殖地として有名です。

●伊豆沼
38°43'2.32"N 141° 6'14.88"E

説明不要なほど有名な渡り鳥の飛来地です。
前の2ヵ所に比べると、ここの画像の解像度がかなり高いことがわかります。Google Earthの画像解像度はこのように場所によってかなり差があります。一般的に都市部ほど高解像度になります。

●渡良瀬遊水池
36°13'12.42"N 139°40'25.27"E

ここも野鳥観察の名所です。

●證誠寺
35°22'47.12"N 139°55'16.45"E

「証城寺の狸ばやし」で有名なあの證誠寺です。證誠寺は実在するのですよ!

●水元公園
35°47'37.13"N 139°52'16.45"E

「東京のはずれ」にある大公園です。
ここの芝生広場の北辺に注目してください。よく見ると、どうもこいのぼりが泳いでいます。つまり、この場所の衛星写真が撮られたのはゴールデンウィークかその直前、ということがわかります。これは周囲の樹木や水路の水生植物(ハスなど)の繁茂の具合からも確認できます。都心部や住宅地の場合だと、建築や土木工事の状況からいつごろ撮影されたのかが判明することもあります。

●麻布狸穴町(あざぶまみあなちょう)
35°39'34.64"N 139°44'23.08"E

東京のど真ん中に「タヌキ」のつく地名、ということで紹介しました。江戸時代の頃は確実にタヌキ(あるいはアナグマ?)がいたはずですが、現在はいるでしょうか。

●石神井公園
35°44'17.06"N 139°35'42.47"E

東京の公園をさらに紹介。ここの池(西側の三宝寺池)は周囲の厚い林によって隔離されたとても静かな場所です。

●井の頭公園
35°42'1.30"N 139°34'37.28"E

「いきもの通信」で過去たびたび登場した公園です。池の東側水面に白い物体が多数写っていますが、これは全部ボートです。これだけのボートが出ているのは休日、しかも冬以外の時期です。中央の橋の上に点々と見えるのは人間です。この解像度だと人間の存在もわかってしまうのです。公園の南西部には陸上グラウンドとテニスコートが見え、やはり点々としたものが見えますが、これもやはり人間なのです。
植物の繁茂と人出の様子から、やはりここもゴールデンウィークの頃の休日のように思えます。

●柿田川
35° 6'10.42"N 138°54'8.83"E

日本一の清流、と呼ばれる川です。非常に短い川です。

●兵庫県立コウノトリの郷公園
35°33'5.51"N 134°51'18.76"E

昨年のコウノトリの放鳥でご存知の方もいるでしょう。「いきもの通信」でもたびたび取り上げてきました。「公園」という名前なので誤解されがちなのですが、コウノトリの繁殖・研究の施設です。もちろん、一般の方も利用できる施設はあります(ただし、飼育施設などは立ち入り禁止)。
マークした地点の少し東側にまっすぐ南にのびた谷があります。その谷に沿って飼育施設が点々と並んでいるのがわかります。また、公園の北のたんぼはコウノトリのために無農薬稲作を実施しています。
なお、この豊岡市は「日本で最も暑い場所」とも言われており、毎夏になると日本最高気温を連発します。

●知夫里島
36° 1'3.48"N 133° 1'37.53"E

タヌキが増えすぎて困っていることでニュースにもなった島です。

●向島
34° 0'25.16"N 131°34'54.55"E

一方、こちらは以前は非常に多くのタヌキがいたにもかかわらず現在は絶滅してしまったといわれる向島です。タヌキ生息地として天然記念物にもなっている場所なのですが、主役がいないのでは…。

●アクロス福岡
33°35'29.73"N 130°24'8.61"E

以前紹介した建物です。記事の写真とあわせてみるとよろしいかと思います。衛星写真だとわかりにくい建物ですね。

●和白干潟
33°40'58.59"N 130°25'28.47"E

水鳥の観察で有名な和白干潟です。すぐ南にあるのは最近できたばかりの巨大な人工島です。撮影時点ではまだ造成中のようですね。和白干潟の真正面にこんなのができたのですから、景観が台無しです。また、潮の流れがどう影響するのかが心配されます。

●今津湾
33°35'51.12"N 130°15'24.99"E

ここも渡り鳥の飛来地として有名な場所です。目玉はクロツラヘラサギ。国内で観察できる場所は他に数ヵ所しかないはずです。また、カブトガニが生息することでも有名なのですが、今津湾のカブトガニは天然記念物ではありません。

●諌早湾
32°52'8.44"N 130° 9'32.00"E

悪名高き閉切り堤防で有名になった諌早湾です。しかし…なんか、干拓はほとんど進んでないように見えますが…? 農地になっている場所のほとんどは以前から干拓されていた場所です。

●南大東島
25°49'53.34"N 131°13'49.73"E

ダイトウオオコウモリが生息する島。行ってみたいです。島の周囲は白波砕ける断崖になっていて、船が接岸できる場所がほとんどないことがわかります。島もほぼ完全に開墾されてしまってるんですね。
すぐ北に北大東島があります。

●鳥島
30°28'9.78"N 140°19'28.53"E

これが鳥島のはずですが…。残念ながら解像度が低すぎて島の様子が全然わかりません。アホウドリの繁殖地として有名です。解像度が高くなればアホウドリのコロニーも見えると期待しています。

●上野動物園
35°42'59.12"N 139°46'20.90"E

さて、ついでに動物園もいくつか回ってみましょう。まず、日本を代表する上野動物園。マークはパンダ舎のあたりにつけています。サル山とかペンギンプールとかも判別できますね。ゾウ舎では…なんか、アジアゾウが写ってるように見えます。

●多摩動物公園
35°38'58.91"N 139°24'10.39"E

マークは入場門のあたりにつけています。緑豊かな山の中にあるので、道路がほとんど隠れてしまってますね。ここのゾウ舎にもやはりアフリカゾウがいるような…。

●旭山動物園
43°46'7.10"N 142°28'47.10"E

今、日本で最も有名な動物園になってしまった旭山動物園です。ただし、解像度が低すぎて何もわかりません。

次回は世界編です。


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