Vol. 205(2003/12/28)

[今日の勉強]試験に出ない動物英単語

哺乳綱食肉目編

なんだか巷では「萌える英単語 もえたん」なる英語参考書が売れているそうです。その本のことについてはここでは触れませんが(笑)、まあ、それに対抗しようとかそういうわけでもなくて、ただネタが無い時とか忙しい時とかに、ささっとごまかせるネタがほしいよね、ということで突如不定期連載が始まる「試験に出ない動物英単語」なのです。略して「どうたん」。いや、無理に略さなくてもいいですし、そもそももっと楽しいネーミングをしたいものです。
動物といっても範囲は広大なので、まずは哺乳類あたりからやっつけていこうと思います。今回はイヌ、ネコでなじみの深い食肉目です。

(第2回(霊長目編)第3回(クジラ目・カイギュウ目編)第4回(齧歯目編)第5回(偶蹄目編その1)第6回(偶蹄目編その2)第7回(翼手目・食虫目)第8回(残り全部編))


ここでは「種」の名前と「〜の仲間まとめて」の名前を区別せず書いていきます。例えば、「キツネの仲間」は何種類もいますが、一般的なキツネ類は「fox」、種アカギツネは「red fox」という具合になります。「〜の仲間」は「〜類」という言葉をつけて区別します。


イヌ科

タイリクオオカミ(ハイイロオオカミ)→gray wolf
二ホンオオカミ→Japanese wolf
コヨーテ→coyote
 北米〜中米に分布する、オオカミより小型の動物です。
ジャッカル類→jackal
 主にアフリカに生息。
キツネ類→fox
 単にキツネといっても世界中に13種もいます。
アカギツネ→red fox,silver fox,cross fox
 キツネの代表がアカギツネ。日本のキツネもアカギツネです。
フェネック(フェネックギツネ)→fennec fox
 これもキツネの仲間。アフリカ〜アラビア半島の砂漠に生息。大きな耳は放熱版の役割があります。
タヌキ→raccoon dog
 タヌキもイヌの仲間です。でも英名は「アライグマ犬」。もともとはアジアの動物なので欧米ではなじみがなかったのでしょう。
ドール→dhole,Asian wild dog,red dog
 有名ではありませんがアジアに広く生息しています。
リカオン→(African)Wild dog,tri-colored dog
 アフリカに生息。「tri-colored」とは体の不規則な3色模様のことを指します。「リカオン」というのは英名ではないんですねえ。Lycaonは属名です。1属1種なので他の動物との混同の心配はありません。

クマ科

「食肉目」は主に動物食ですが、その中でもかなりの植物食に移行してしまったのがクマの仲間です。
ツキノワグマ→Asian black bear,Himalayan black bear
ヒグマ→brown bear
 なんだか簡単すぎる名前ですね。ちなみに、グリズリー(アメリカヒグマ、grizzly bear)はヒグマの亜種です。
ホッキョクグマ→Polar bear
 英語でも「極地グマ」であり、「シロクマ」ではありません。

アライグマ科

アライグマ→common raccoon
カコミスル→ring-tailed cat,cacomistle
キンカジュー→kinkajou
オリンゴ→olingo
 アライグマはさておいて、「キンカジュー」とか面白い名前が並びます。どれもアメリカ大陸の動物ですので日本ではなじみがありません。

パンダ科

ジャイアントパンダ→giant panda
レッサーパンダ→lesser panda,red panda
 分類的にはいろいろな論がありますが、ここではパンダの仲間としておきます。元々「パンダ」といえばレッサーパンダの方だったのですが、あまりの人気沸騰のために今では「ジャイアントパンダ」の方が「パンダ」になってしまいました。レッサーパンダの方も、最近は英語でも「レッドパンダ」というそうです。

イタチ科

イタチ類→weasel,stoat
オコジョ→ermine,stoat,short-tailed weasel
ヨーロッパミンク→European mink
ヨーロッパケナガイタチ→European polecat
 フェレット(ferret)はヨーロッパケナガイタチを家畜化したものとされています。
タイリクイタチ、チョウセンイタチ→kolinsky,Siberian weasel
 日本にいるイタチがこれなのですが、「コリンスキー」って、なんだかロシア人みたい。
テン類→marten,sable
タイラ→tayra
グリソン→grison
ゾリラ→zorilla
クズリ→glutton
 また面白い名前が並んでいます。ゾリラは別名アフリカスカンク、外見もスカンクです。タイラ、グリソンはイタチっぽい外見。クズリはずんぐりしていて小型のクマみたいな動物です。
アナグマ→Eurasian badger
スカンク→skunk
カワウソ類→river otter
ラッコ→sea otter
 そうなんです、ラッコはイタチの仲間なんです。カワウソ類とは属は異なります。

ジャコウネコ科

ジャコウネコ類→civet
ハクビシン→masked palm civet
 ジャコウネコも日本人にはピンとこない動物ですが、今年、SARSで大ブレイクしたのがその仲間のハクビシンです。
ジェネット→genet
ビントロング→binturong,bear cat
 「クマネコ」って命名もすごいですが、本当にクマみたいな体つきで、とても長い尾を持っています。

マングース科

マングース類→mangoose
スリカータ→suricate
 この名前よりも「ミーアキャット(meerkat)」の方が有名でしょうか。キャットといっても「cat」ではありません。

ハイエナ科

ハイエナ類→hyena

ネコ科

カラカル→caracal
コロコロ、パンパスキャット→pampas cat,colocolo
ピューマ→puma,cougar,mountain lion
 別名クーガー。ピューマは南北アメリカに生息していますが、北米の亜種がクーガーと呼ばれているようです。「ヤマライオン」の異名のように、外見はメスのライオンに似ていますが、ライオンよりはずっと小柄です。
コドコド→kodkod
オセロット→ocelot
サーバル→serval
ヨーロッパヤマネコ→wild cat
ヤガランデ(ジャガランディ)→jaguarundi
 「jaguar(ジャガー)」という語が入っているのですが、何か関係があるのでしょうか?(現地の言葉で「小さなジャガー」という意味だそうです。) 外見は胴長短足で、まるでイタチのような姿です。でも、顔はやっぱりネコです。
オオヤマネコ→Eurasian lynx
ボブキャット→bobcat,red lynx
チーター→cheetah

ここからはヒョウの仲間です。
ライオン→lion
ジャガー→jaguar
 ジャガーはアメリカ大陸に生息します。
ヒョウ→leopard,panther
 アフリカ、アジアに生息するのがヒョウです。体の紋様が大きいものを「パンサー」、細かいものを「レパード」と呼び分けているそうですが、世間一般的には、クロヒョウ(体色が真っ黒の変異個体)を「パンサー」と呼ぶようですね。
トラ→tiger


ここからは海にすむ食肉目です。一般に「海獣」と呼ばれる種類です。「海獣」は英語では「seal」となります。

アシカ科

アシカ類→sea lion,eared seal
 「耳たぶがある海獣」がアシカ科の特徴です。
オットセイ類→fur seal
 「fur」とは「毛皮」のことです。二重構造の、耐寒性の高い毛のことを指しているのです。
トド→Steller's sea lion,northern sea lion
ステラーとは動物学者の名前です。
オタリア→South American sea lion
 「オタリア」は属名の「Otaria」からきています。これも1属1種。

セイウチ科

セイウチ→walrus,seahorse
 長い牙が特徴のセイウチ。とても「海の馬」には見ませんが…。

アザラシ科

アザラシ類→seal,earless seal
 「耳たぶが無い海獣」がアザラシ科の特徴です。
アゴヒゲアザラシ→bearded seal
 「beard」とは「ヒゲ」のこと。英語でもそのまんまです。
ゴマフアザラシ→spotted seal
ワモンアザラシ→ringed seal
カニクイアザラシ→crabeater seal
 他のアザラシも、体の模様そのままを、あるいは生息地域を名付けたようなものが目立ちます。

以上で食肉目編は終わりです。次回にやる時は、2004年の干支、サル年にちなんで霊長目をやることにしましょう。でもいつになるかは未定です。


参考文献

今泉吉典 監修「世界哺乳類和名辞典」(平凡社)
「決定版 生物大図鑑 動物 哺乳類・爬虫類・両生類」(世界文化社)


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